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記事更新日:2017年09月26日

うつ病になった原因が仕事や職場にあり改善が難しい場合は、転職を考える人もいるでしょう。
うつ病療養後の転職活動や、転職後に再発せず続けられるか?が不安ですね。
この記事ではうつ病で転職を考えている人のために、復職・休職についてや、成功する転職活動のポイントを解説します。

1. うつ病になって初めて判る「辛さと仕事を続ける大変さ」

多くの人は、自分が発病するまでは「うつ病」を軽く考えていたのではないでしょうか。

自分ではどうしようもない焦燥感・不安、このまま永遠に朝が来なければいい…うつ病の辛さは、なった人でなければわかりませんね。

うつ病になって、今まで通りの仕事・生活を続けると悪化することが多いです。
うつ病は「気持ちの持ち方」ではなく、脳の機能が変調を来たす病気です。重症になる前に、治療と共に仕事や生活の仕方を変えなければいけません。

うつ病の原因が仕事や職場にある場合は、ストレス源を取り除くことが難しく、復職後の再発率も高いことが問題になっています。

しかし仕事をして収入を得なければ生活できませんね。

1-1. うつ病になった場合の選択肢。9割は休職か退職(転職)している

うつ病かもしれない場合は、心療内科などに受診しましょう。
「うつ病」と診断されたら、仕事の状況を話して医師のアドバイスを受けましょう。
うつ病と診断されたら、とにかく休養をとるのが大切です。

実際に「うつ病」と診断され人は、どのようにしているのでしょうか?
2012年の、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査(※)から見てみましょう。

  • 休職せずに、通院治療しながら働き続けている=9.7%
  • 休職を経て、通院治療しながら働いている=53%
  • 休職を経て、通院治療せずに働いている=5.2%
  • 長期の休職・復職を繰り返している=5.1%
  • 休職期間中または復職直後に退職している=13%
  • 休職を経て、復職後しばらく勤務した後に退職=10.5%
  • 休職せずに退職=3.5%

(※)独立行政法人労働政策研究・研修機構「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」(2012年11月調査)

休職せずに治療しながら働き続けている人は約10%で、90%は休職や退職など、何らかの形で一時的に仕事を離れています。

大きく分けると、「休職せずに治療しながら働く」「休職して治療」「結果的に退職」の3つに分かれます。
それぞれについて、次に解説します。

1-1-1. 休職せずに治療しながら働き続ける

通院治療しながら働く場合は、医師の診断が「うつ病だが、休職の必要はない」と診断された場合でしょう。軽症の範囲かもしれませんが、「薬を飲んでいれば大丈夫」と考えるのは間違いです。
うつ病は、薬だけでは改善しません。休職の必要はなくても、無理は禁物です。

できれば会社や同僚には知られたくないと思う方もいるかもしれません。しかし、直属の上司には話すことが必要でしょう。
通院治療しながら働き続けるのであれば、会社や上司の協力が必要です。

上司に診断書を提出して、医師の指示や助言をしっかり伝えて、業務内容や責任・時間の軽減などを相談しましょう。

うつ病と診断された時の仕事については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

1-1-2. 休職を経て通院治療しながら働く

休職を経て通院治療しながら働くケースが一番多いのですが、このケースでは復職後の再発の問題があります。
2017年1月8日の毎日新聞電子版では以下のように報じています。

「厚生労働省の研究班の調査では、2002年から6年間でうつ病で休職後に復帰した社員540人の経過を調査した結果、再発して再度休職した人は、復帰後1年で28.3%、2年で37.7%と、復帰後2年以内に再発・休職する人が66%にも上っています。」(出典:2017年1月8日、毎日新聞)

再発をできるだけ防ぐには、①最初の休職期間にしっかりと治療すること、②復職前の準備、③復職後の仕事環境がポイントになります。

①最初の休職期間にしっかりと治療することが大切です。
休職期間の制限もあるでしょうし、休むのが申し訳ないという気持ちもあると思います。しかし復職・再発を繰り返すと、重症化することが多いのです。一時的に良いように思えても、良い状態が安定して続くかが大事です。

復職のタイミングについては医師とよく相談して決めましょう。

②体調が良くなってきたら、復職に向けて身体や生活を慣らすことが必要です。
独立行政法人 高齢・障害者・休職者雇用支援機構の「地域障害者職業センター」では、うつ病の休職中で職場復帰を考えている人へのリワーク支援をしています。センターに通所して生活リズムを整えたり、就労相談や援助を無料で行っています。

基本的に離職してしまうと対象外ですが、センターによっては退職者向けの相談会などもあるようです。センターは全国主要都市にあります。
うつ病などで休職しており、職場復帰をお考えの方へ

③復職後の仕事環境については会社側の協力が必要です。
業務の軽減や配置転換などで対応してくれる場合は良いのですが、とても無理という所もあるでしょう。そのような場合は、転職も視野に入れて考えることになりますが、まず健康回復に専念しましょう。

1-1-3. 休職期間中または復職直後に退職、または休職せずに退職

会社にもよりますが、休職制度の利用に勤続年数などの条件を設けている所もあります。入社後1年未満では、休職制度が使えないこともあります。会社の休職制度を事前に調べておくことが大切です。

休職制度の主旨は、就労できない状態になった場合に治療などに必要な期間を待つということですから、復帰が前提です。しかし復職にあたり原状復帰しか道がなく、仕事環境から再発が考えられる場合は退職を選ぶこともあるでしょう。何よりも優先されるのは健康です。

但し、退職する場合は、失業保険の受給条件を満たしているかを確認しておきましょう。
離職日以前の2年間で、雇用保険加入期間が12ヶ月以上あることが必要です。
例えば、前の会社で1年間加入しており、今の会社を6ヶ月で退職した場合などは、受給資格があります。

受給資格など詳しくは、下記のサイトでご確認ください。
(※)ハローワークインターネットサービス雇用保険の手続き

退職を考えている場合は、次の仕事を探すことになりますが、うつ病を抱えながらの転職活動は心身共に負担がかかります。

1-2. うつ病で転職すべきかどうか?

基本的には、今の会社の休職制度を利用してまず治療することが大切です。
その後、今の会社で続けるか転職するかは、うつ病になった原因や、仕事環境、病状・体調によっても個々に事情が違い迷いますね。
うつ病になった原因が仕事環境にあり、復職しても環境が変わらないということが判っている場合は、転職を考えた方がいいかもしれません。

<転職を考えた方が良い人>

  • 仕事内容や人員規模から、短時間勤務や責任の軽減など、できるような状況ではない
  • 人間関係がこじれて修復が難しい
  • 会社や職場がうつ病等への理解が低く、協力は望めない

<転職、ちょっと待った方がいい人>

  • 過重な労働時間や明らかなパワハラなどが原因でうつ病になった場合は、全国にある総合労働相談センターに相談するのも方法です。
    (※)厚生労働省 総合労働相談センター
  • うつ病の原因が仕事環境でなく、家庭問題や経済的問題にある人
    夫婦仲や親の介護などのストレスを抱えている場合は、その対策をしないと同じことになります。
  • 自分のスキル不足やミスが多いために、人間関係が悪くなった人
    転職すること自体が難しいかもしれません。休職中に、自分のスキルアップを考えましょう。

次の章で、うつ病を抱えながら転職活動をする場合について解説します。

2. うつ病で転職活動を成功させるには

治療を疎かにして転職活動などを進めると悪化する場合もありますので、しっかりと治療して体調が安定してからにしましょう。

うつ病の場合は「完治」はなかなか難しく、うつ病の症状が見られなくなることを「寛解」といいます。寛解状態が安定して続くようになると、医師も「仕事しても大丈夫」という判断をするでしょう。

しかし治療はそれで終りではなく、再燃・再発の可能性もあるので服薬などは続き定期的な通院はしばらく必要でしょう。

求職・転職活動は、就業できる状態であることが前提ですから、医師の判断を仰ぐことが大切です。
寛解状態ではあっても、うつ病後の転職活動については色々な不安があるでしょう。

2-1. うつ病で休職中に転職活動してもいいの?

休職中にかなり体調が良くなり、転職活動したいと思う人もいるでしょう。
法的な問題はありませんが、うつ病で休職中に転職活動をするのは望ましくありません。

休職中でも自分で求人情報を調べたり、転職サイトに登録して情報収集する分には問題ないでしょう。しかし、採用試験や面接を受けるなど就職活動をすると問題になる場合もあります。
その理由は以下です。

①休職制度の目的は、現職復帰を前提とした治療などのためです。
ほとんどの会社では休職制度について利用規定があるでしょう。旅行など、休職理由以外の活動に当てることが制限されている所もあります。

退職の際に余計なトラブルに合わないためにも、休職期間中の転職活動は避けた方が良いでしょう。

②転職活動中に休職中であることを隠して就職が決まっても、休職していたことがバレる場合があります。
年金手続きや保険料などで前職の給料の状況がわかります(休職中は無給なので)。

源泉徴収票の提出を求められることもあります。そこで、なぜ休職したのか?ということになります。大きな問題になる可能性は低いものの、バレると心証は良くありませんね。

休職中は治療に専念して医師の就業可能の判断が出たら、まず現職の復帰後のやり方を会社側と相談した上でダメなら退職というケジメをつけるのが望ましいでしょう。

転職が決まっても、後ろめたい気持ちを抱えていると、それもストレスになります。

また、うつ病で休職中の人は、ほとんど傷病手当を受給していると思います。
傷病手当を受給中の転職活動について、次に解説します。

2-2. 傷病手当を受給中の転職活動はして良いの?

収入が途絶えると困るので、傷病手当を受給中に次の仕事を決めたいと考える人もいるでしょう。

傷病手当は、健康保険組合による「疾病で就労できない場合の補償」です。
求人募集に応募するということは、要求される業務について労務を提供できることが前提です。

傷病手当を受給中は、「就労できない状態」と認定されているわけです。
その状態で求人に応募するのは、「就労できない状態」で応募していることになります。ここが問題です。

民間の転職サイトなどを利用しての転職活動では、傷病手当受給中かなどは相手にもわかりませんが、実際に面接を受けると健康問題について質問されることがあるでしょう。その場合は、結果的にウソをつくことになりますね。

公共のハローワークでは、傷病手当中は「就労不能」なため求職活動はできません(求人情報の検索等はできます)。退職後も継続給付で傷病手当受給中であれば、就労可能の医師の診断の上、失業保険に切り替えて求職活動をするように指導されるでしょう。

例えば会社の定めた休職期間を過ぎても病状が回復せず、会社を退職後も継続給付で傷病手当を受給する場合もあるでしょう。その場合、退職後に失業給付の延長手続きをしていないと離職日から1年で消滅します。

離職日から1ヶ月以内に延長申請が必要です。傷病手当受給中であっても、退職したらハローワークに行って相談・手続きをしましょう。

休職制度利用中や傷病手当受給中は、治療に専念して就労可能な状態にすることが最優先です。

2-3. うつ病だったことを言うと転職に不利になるか?

うつ病後の転職活動で、うつ病歴を隠していても良いのか?正直に言うと、不利になるのではないか?という不安があります。

一般の求人募集の場合は、うつ病で退職したことを言うと不利になる場合が多いようです。企業としては、複数の応募者がいれば健康に問題のない人を優先するのは当然でしょう。現実的には、うつ病だったことを言わずに応募する人も多いようです。しかし、ここで下記の問題があります。

<うつ病歴をクローズにする場合の問題点>
①ほとんどの企業では面接や採用時に、「健康状態は良いですか?」という確認をするでしょう。つまり業務を遂行するに当たり、健康状態に問題はないか?ということです。

その際に、就業可能な健康状態であれば(医師の判断による)問題ありませんから、特に自分からうつ病の病歴を言う必要はありません。

しかし「うつ病など、過去に心身の疾患はありませんか?」などと聞かれた場合は正直に言う必要があります。このような場合にウソを言うと、後で問題になることもあります。

②例えばSEや営業職など、以前の業務内容がハードでそれが原因でうつ病になった人は、違う職種に転職する人も多いでしょう。うつ病は再発率が高いので、負担の少ない仕事を選ぶのは正しい選択でしょう。しかし相手先にしてみると、なぜ違う職種を選んだのかは疑問に思うでしょう。それなりに説明できるように準備しておくことが大切です。

③転職後は誰でも、新たな職場に馴れるまで緊張や不安があります。また新人スタートですから、時間短縮はもとより残業を断ることさえ難しいでしょう。

有給休暇も、入社後半年過ぎないと発生しません。体調が悪くて休みたくても休めないという状況もありえます。うつ病後の社会復帰で徐々に慣らして行きたい時期には、かなり厳しい環境と言えます。

次に、うつ病療養後に転職するとしたら、どのような仕事・職種が適当なのか考えてみましょう。

2-4. うつ病で療養後に転職するとしたら、どんな仕事がいいのか?

まず、厚生労働省の休業した人の元の職場に復帰する場合の手引きを参考に見てみましょう。
元の職場復帰支援が目的ですが、就業上の配慮の具体例が挙げられています。

元の職場復帰でも転職の場合でも、うつ病療養後に社会復帰する場合は同じでしょう。
最初は労働負荷を軽減して、段階的に馴らす配慮が重要だとしています。

<就業上の配慮の具体例>

  • 短時間勤務
  • 軽作業や定型業務への従事
  • 残業・深夜業務の禁止
  • 出張制限
  • 交代勤務制限
  • 危険作業、運転業務、高所作業、窓口業務、苦情処理業務などの制限
  • フレックスタイム制度の制限または適用
  • 転勤についての配慮

(※)出典:厚生労働省 中央労働災害防止協会 「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き

などが挙げられています。

厚生労働省の手引きは、膨大な統計調査、医学的根拠・専門家の意見などから導き出された結果です。うつ病で療養後の仕事は、上記のような観点が大切ということです。

しかし、うつ病歴をクローズにしたままで、上記のような条件が可能な転職先などあるでしょうか?

非正規のパート勤務ならば、軽作業やデータ入力などで一日5~6時間勤務という求人はあるでしょう。ただ、そういう求人は配偶者控除範囲内で働く主婦を想定していることが多く、社会保険などないものがほとんどでしょう。

健康保険に加入していないと、再発して治療休養が必要になった時に傷病手当が受給できません(一般の市町村の国民健康保険では傷病手当は支給されません)。非正規のパートで働く場合は、最低でも労災や雇用保険がある所が望ましいでしょう。

以上のように、うつ病で療養後の転職には難しい問題があります。
うつ病であったことを言わずに就職できたとしても、そこで再発せずに長く続けられるか?が最も気になる点でしょう。
うつ病は体調の波があります。転職していきなりフルタイム勤務はかなりの負担です。

通常勤務はできないけれども、時間短縮や業務内容など、就業時に配慮が受けられれば働けるという方もいると思います。

そういう場合は、障害者手帳を申請して、うつ病をオープンにして支援を受けながら働くという方法もあります。

次に、障害者手帳を申請して転職することについて解説します。

3. 障害者手帳を申請して転職する

通常の転職活動では、うつ病の病歴を隠さないと就職は難しい現実があります。かといって隠したままで就職すると、他の社員と同じ土俵で働くことになります。うつ病療養後の通常勤務は体力的にも精神的にも相当な負担でしょう。再発が心配です。

うつ病は寛解状態になっても、完治までに長い時間がかかります。その間、治療や再発予防と仕事を両立して長く働くためには、職場の理解や協力が大切です。
そのためには、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)の申請も視野に入れると選択肢が広がるでしょう。

「障害者手帳」というと、抵抗のある方もいると思います。しかし、うつ病歴をクローズにしたままでは再発のリスクが高いのも事実です。

うつ病と付き合いながら長く働きたいという方は、障害者手帳の申請を考えてみるのもよいのではないでしょうか。障害者雇用枠で就職すると、就労上の支援が受けられます。

まず、うつ病をクローズにした場合と、オープンにした場合のメリットやデメリットを見てみましょう。

3-1. うつ病をオープンにする?クローズにする?

転職活動や転職先に「うつ病」の病歴をオープンにするか、クローズにするかは迷いますね。
うつ病をクローズにした場合と、オープンにした場合のメリットやデメリットを見てみましょう。

3-1-1. うつ病をクローズにして働く(転職活動の)場合のメリット・デメリット

○求人募集が圧倒的に多く、就職先の選択肢が多い。
○偏見を持たれずに働ける。
○前職のスキルを活かした職種や業務では、それなりの収入がある。
×仕事量や業務内容など、業務上の配慮をしてもらえない。
×無理な仕事や残業を断ったりすると、周囲との人間関係が悪くなる場合がある。
×体調が悪くても休みにくく、通院など治療との両立が難しい。
×周囲は病気のことを知らないので、辛くても誰にも相談できず孤独になりやすい。
×うつ病を隠して就職活動(した)ことへの後ろめたさ
×クローズにしていることでのストレスがあり、再発の心配がある。

3-1-2. うつ病をオープンにして働く(転職活動の)場合のメリット・デメリット

○障害者手帳を持っている場合は、「障害者枠」と一般枠の両方で転職活動ができる。
○就労支援や相談などの援助や福祉サービスを受けることができる。
○業務内容や時間短縮など、就労上の配慮をしてもらえる。
○通院治療と両立しやすく、相談にも乗ってもらいやすい。
○周囲の理解が得られやすく、1人で悩まずに済む。
○体調や回復状況に合せて働けるので、長く働くことができる。
×前職よりも収入が下がることが多い。
×障害者枠は定型業務などが多く、前職のキャリアが活かせないことも多い。
×障害者ということへの抵抗感や、一部の偏見

以上、うつ病をオープン・クローズにする場合のメリット・デメリットを見てきました。

クローズにしたまま前職のキャリアを活かして就職すると、それなりの収入が得られますが、成果や責任も求められます。オープンにしてうつ病に配慮した仕事では、前職のキャリアが活かせるとは限らず収入も下がるでしょう。

前職でバリバリ仕事をしてきた人は、挫折感があるかもしれません。クローズにして再発の不安を抱えながら働くか、多少収入が下がってもオープンにして、うつ病と付き合いながら長期的視野で働くかは考え方次第でしょう。

就労支援や障害者枠が利用できる、障害者手帳について、次に解説しましょう。

3-2. うつ病で障害者手帳が申請できるの?精神障害者保健福祉手帳のこと

うつ病で障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)が申請できることを知らない人も多いようです。

精神障害者保健福祉法により、精神疾患のために日常生活や社会生活に制約がある人の社会復帰や自立支援を目的としています。障害者手帳を持っていると、就職活動や就業に際して、さまざまな支援が受けられます。

ハローワークでは「障害者相談窓口」もあります。
また所得税・住民税控除や公共施設利用料割引などの優遇措置があります。(優遇措置や福祉サービスなどは、各自治体により異なります。)

3-2-1. 障害者雇用促進法~精神障害も雇用義務の対象になった

障害者雇用促進法は、障害者の雇用促進を目的とし、企業の規模に応じて一定数の障害者の雇用義務を定めたものです。雇用した企業には助成金があり、未達だと人数分の納付金を払わないといけません。

平成28年に改正された障害者雇用促進法が施行され、精神障害者も「障害者枠」とし雇用義務の範囲に追加されました。障害者手帳を持っていると、障害者枠としてカウントされるわけです。企業側としても、一定の配慮をすれば能力を発揮する人材を採用でき、雇用率も達成できます。

3-2-2. 精神障害者雇用の状況

うつ病など精神障害がある人が実際にどの程度雇用されているのでしょう?
厚生労働省の平成28年度障害者雇用状況(※)から見てみましょう。

民間企業では、

  • 身体障害者=327,600人(前年対比2.1%増)
  • 知的障害者=104,746人(前年対比7.6%増)
  • 精神障害者=42,028人 (前年対比21.3%増)

(※)厚生労働省「平成28年度障害者雇用状況」平成28年12月

と、精神障害者の伸び率が大きくなっています。精神障害者が新たに障害者雇用枠として追加されたのが最近なので絶対数はまだ少ないですが、この数年、精神障害者の雇用数が着実に伸びています。

こうした状況に伴い、ハローワークはもとより民間の転職サービスでも、障害者向けの求人情報やサービスが増えています。うつ病で一時的に仕事ができなくなった人でも、体調さえ安定していれば(安定するような配慮をすれば)有能な人が沢山います。

そういう人材を活かす転職サービスが増えるのもうなずけます。

必ずしも前職のキャリアが活かせなくても、仕事経験がある場合は、仕事能力・スキルはあると判断されることは多いでしょう。
うつ病の病歴があっても、オープンにして働く土壌ができつつあると言えるでしょう。

3-2-3. うつ病で障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を申請する方法

精神疾患で障害者手帳を申請する場合は、1級~3級があります。1級・2級は日常生活が難しいか著しい制限を受ける程度なので、就業できるケースに該当するのは3級でしょう。

3級は、「精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、または日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」とされています。

時間や業務内容などについて援助が必要という状態であれば、認定される可能性はあるでしょう。自治体の窓口で相談してみましょう。

障害者手帳の申請には以下の条件があります。
・申請時期=初診から6ヶ月以上経っていること。
・精神障害者保健福祉手帳は、障害の状態が改善することもあるので2年毎の更新が必要です。

うつ病で障害者手帳を申請する方法を簡単に説明します。

区市町村の障害福祉窓口に行って、申請したい旨伝える(申請書類をもらい説明を受ける)

申請(申請書・障害者手帳申請用診断書・写真・マイナンバーカード・身分証明書)
↓ 
審査が行われ認定されると、1~2ヶ月程度で交付の連絡が来ます。

診断書は所定の様式や指定医がありますので、詳しくは各自治体にお問合せください。

4. うつ病の病歴がある場合の転職エージェントや求人サイトの活用法

うつ病の病歴があって転職活動する場合は、オープンにするかクローズにするかによって下記の選択肢があります。

  • 障害者手帳を申請して「障害者枠」で転職活動する場合
  • 病歴をクローズにして転職活動する場合
  • 障害者手帳はないけれど、病歴をオープンにして転職活動する場合

それぞれによって、利用する転職サービスなども違ってくるでしょう。次に説明しましょう。

4-1. 障害者手帳を申請して「障害者枠」で転職活動する場合

障害者手帳を申請してオープンにして就職活動する場合は、一般枠/障害者枠の両方を利用できます。障害者手帳がないと「障害者枠」求人には応募できません。

・ハローワーク
障害者枠の求人では実績があり求人数でもダントツに多く、全国規模で求人が検索できます。
障害者専門窓口があり、専門相談員が求職から就職後のケアまで相談に乗ってくれます。
また、地域障害者職業センターなどと連携しての就労支援なども行っています。
ハローワークインターネットサービス

・ラルゴ
株式会社アスリートプランニングが運営する障がい者専門の就職・転職支援サービスです。拠点は東京の高田馬場となりますが、600社以上の非公開求人を扱っています。
障害者求人紹介「ラルゴ高田馬場」

・アビリティ・スタッフィング
リクルートグループの障害者向け転職サービスです。リクルートグループの他の転職サイトとは別会社なので、他に登録しても情報は伝わることはありません。

サービスの対応範囲は今の所、首都圏です。求人例を見ると、時間短縮スタートOKや正社員の案件、研修・相談などへの対応などがわかりやすいです。
アビリティ・スタッフィング

他にも民間の障害者向けの求人情報サイトがあります。サービス対応地域が限定されているものもありますので、お住いの地域によっても利用できる情報サービスが異なります。自治体の相談窓口や、ハローワーク、地域障害者職業センターなどを積極的に活用すると良いでしょう。

4-2. 病歴をクローズにして転職活動する場合

クローズにして就職活動する場合は一般枠のみですが、求人数は多いです。
ハローワークや通常の転職サイトの利用が一般的でしょう。

病歴をクローズにして転職活動する場合は、寛解状態が比較的長く安定していることが大切です(医師の就労可能の判断は必要)。休職期間が長い場合や、休職~転職を繰り返していると、理由を聞かれることもあります。

4-3. 障害者手帳はないけれど、病歴をオープンにして転職活動する場合

一般的には、障害者手帳がなく、うつ病の病歴をオープンにすると不利な場合が多いようです。

しかし先々のことや再発予防を考えると、就職活動の段階で病歴をオープンにするという考えもあります。例えば、既に障害者雇用の実績がある企業ならば、障害者雇用枠としてカウントできなくても理解は得られやすいでしょう。

ハローワークに相談するのもよいでしょう。障害者手帳がなくてもアドバイスをしてくれるでしょう。

転職エージェントを利用する場合は、病歴を伝えた上で希望に合う仕事を提案してもらうことも可能でしょう。自分の状態を把握して、何が出来るかということをきちんと伝えることが大切です。

就職はゴールではなくスタートですから、無理をしても結局は長続きしないことになります。

5. まとめ

うつ病で休職後は、元の職場に復帰するか、退職・転職するかのどちらかでしょう。
休職後に元の職場に復帰した人のうち、2年以内に66%が再発し再び休職しています。

元の職場復帰でもこれだけの再発率ですから、休職後に転職してフルタイム勤務となるといかにハードルが高いかがわかります。

収入や安定性の面から正社員を望むと、うつ病歴をクローズにして転職せざるを得ないというのが実情でしょう。

再発予防しながら安定的に長く働くためには、職場の理解や支援が欠かせません。そのためには、病歴をオープンにした方が無理せずに働けますが、就職が難しいという現実があります。

解決策のひとつが、障害者雇用枠での転職でしょう。
平成28年から、うつ病などの精神疾患でも精神障害者保健福祉手帳の交付を受けると、障害者雇用枠として認められるようになりました。

障害者雇用枠で就職すると、働く上で時間短縮や障害への配慮・支援が受けられるので、一般枠の就職よりはるかに負担が軽くなります。正社員求人や正社員登用の道があり、福利厚生も充実している場合が多いです。

うつ病から社会復帰して、安定的に長く働きたい場合の選択肢と言えるでしょう。

企業にとっても労働者にとっても、安定的な就労は双方にとってメリットになることです。
仕事で実績を積んできた人が、うつ病のために能力を発揮できなくなるのは社会的にも大きな損失です。うつ病になった時は、人生や働き方を見直す機会でもあります。

「雌伏して時の至るを待つ」という言葉があります。今は雌伏の時と考えて、今までとは違う働き方や経験をするのも視野を広めることにつながるのではないでしょうか。

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