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記事更新日:2019年03月07日

理学療法士がはたらく場所といえば病院などの医療期間をイメージする人が多いですが、介護や福祉の分野でもたくさんの理学療法士が活躍しています。

そのなかでも近年急速に増えているのがデイサービスです。デイサービスは実はコンビニの数よりも多く地域に欠かすことのできない介護サービスになっています。
また小人数で運営するため求人は欠員が出たときに速やかに募集・採用するケースが多いのが特徴です。

この記事ではそんなデイサービスについて、理学療法士の仕事や職業事情、転職のポイントをご紹介します。

1. デイサービスで働くなら知っておきたいこと

1-1. デイサービスってどんなところ?

デイサービスとは、介護保険を使って行われる介護サービスのことで通所介護ともよばれています。基本的には在宅で生活をしつつ通いながら1日の一定の時間を介護専門の施設で過ごすという形態をとります。デイサービスが担う社会的な役割は

  • 入浴や排泄、食事といった介護のサポート
  • 身体の機能を維持・改善させ自立した生活を促進する
  • 社会参加を促し、孤立した環境を予防・改善する
  • 介護をしている家族の身体的・精神的な負担を減らす

といったことを目的としています。高齢化が進むなかで、「できるかぎり住み慣れた環境で自立した生活をサポートしよう」というのがデイサービスの担う大きな役割だといえます。

1-3. 特徴あふれるデイサービスが増加中!

デイサービス(通所介護)と聞くと、どんなイメージがあるでしょうか。

入浴や排泄、食事といった「介護」という印象が強いかもしれませんが、実はデイサービスは施設によっても提供しているサービス内容が違います。各施設によって特徴があり、そこではたらくスタッフに求められる内容も異なってきます。

高齢の人が通う場所とは限らず、病気によっては比較的年齢の若い人たちも利用しています。食事や入浴などのサービスを提供しているところもあれば、そういったサービスは一切なく、機能訓練とよばれる運動を主体としたサービスを提供しているデイサービスもあります。

機能訓練を主体としたデイサービスは運動に特化して3時間程度の短いところも多いです。また古民家を改装してアットホームな中で軽い運動をしたり社交の場としての利用にフォーカスしたデイサービスもあり、施設によってもかなり特色があります。

デイサービスの多くは利用する人が10名〜と比較的小さな規模で運営されるところが多く、地域のどこにでもみられる介護サービスです。

デイサービスの数は全国に66287施設あり(平成25年厚生労働省・介護給付費実態調査より)、これは全国のコンビニエンスストアの総店舗数54413店舗(日本フランチャイズチェーン協会・2016年8月度統計調査より)を大きく上回るほどで、利用する人の数も年々増加しています。

デイサービスは、利用する人と家族、行政機関、医療期間をつなぐという役割もあり、地域には欠かせない介護サービスのひとつとなっています。

デイサービスの利用者数

※資料:平成25年6月6日厚生労働省・社会保障審議会 介護保険部会(第45回)資料2より作成

2. デイサービスで活躍する理学療法士

2-1. 理学療法士の仕事内容は?

座る、立つ、歩くといった基本的な動作を中心に、運動のプロである理学療法士。デイサービスであっても理学療法士に期待されるのは身体機能の維持や改善をサポートすることになります。

デイサービスでは機能訓練とよばれますが、重りやチューブ、トレーニングマシンを使った筋力トレーニング、平行棒や杖などの福祉用具を使った歩行訓練などを行います。この機能訓練を担当する専門者をデイサービスでは機能訓練指導員という名称で位置付けられています。

機能訓練指導員になるには一定の資格が必要となりますが、これは理学療法士だけを指すものではありません。ほかにも作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、看護師(准看護師)なども機能訓練指導員としてはたらくことができます。

デイサービスではたらく理学療法士は、この機能訓練指導員として身体の運動などを行うことになります。さらに機能訓練の計画書・報告書の作成を毎月作成しなければならないので書類業務も重要となります。

また担当者会議といって利用者さん、家族、介護保険の計画を作るケアマネージャー、かかりつけの病院の医師や看護師を交えた全体ミーティングなどへの参加が求められることもあります。施設によっては送迎などの運転業務も必要となる場合もあります。

2-2. 一人職場になることも多い

全国で約1500名近くの理学療法士がデイサービスではたらいているといわれています。ただデイサービスではたらく場合は、病院と違って同僚となる理学療法士がいないケースが多いのが現状です。

一般にデイサービスは小さな規模で運営されているため、複数の理学療法士が同じ時間帯に勤務するというのは少ないものです。デイサービスの主なスタッフは、施設管理者、機能訓練指導員、生活相談員、看護師、介護スタッフとなります。

介護スタッフは人数や施設の規模によって人数が決められていますが、機能訓練指導員は1人である施設が多いのです。

そのため責任や周りからの期待、やりがいといったものを感じる一方で、相談できる同僚の専門者が周囲に少ないため寂しさを感じることがあるかもしれません。そうはいうものの、理学療法士は病院も含めて1つの施設にたくさんの人数がいる勤務しているものでもありません。

なかには数十名以上の理学療法士が勤務する医療機関などもありますが、約4割の理学療法士は「一人職場」で勤務しているといわれています。また約6〜7割は1〜3人規模の職場ではたらいているとされていますので、デイサービスだけが極端に理学療法士が少ないというわけではないのです。

3. 気になる給料・年収の待遇面。他職場と比較すると?

3-1. デイサービスは平均年収と同水準

理学療法士の給与は年齢、経験年数、施設の規模や種類などによって違いがあります。

医師や看護師、歯科医師といったほかの医療職者に比べると平均年齢が約31歳と若く、平均年収は約390万〜400万円前半くらいで、月収にすると25万〜30万円くらいが目安となります(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より)。

理学療法士平均年収の推移

※資料:厚生労働省・賃金構造基本統計調査より作成

訪問看護ステーションなどでは、担当する患者さんの数や訪問件数などによって収入に大きな違いがみられる施設もありますが、デイサービスでは収入に大きな差がでるということは少ないようです。

実際にデイサービスの求人情報をみてみると、おおむね300万〜360万円としているところが多くなっています。

手取りにすると20万円台前半となるため、ほぼ平均的な理学療法士の給与水準となっています。ただ管理者など施設の責任者を兼務したりすると管理者手当などがついたりします。

年収以外の福利厚生面などは一般的な施設と同様に、有給休暇、慶弔休暇、交通費、在宅手当などがあります。ただし最近は祝日や土曜日なども営業するデイサービスも多くなっているため、休日はシフト制や平日+日曜日などとなることもあります。

3-2. デイサービスで起業する理学療法士も

待遇面でみるとほかの施設と比べてデイサービスが特別なものというわけではありませんが、見方によってはデイサービスは理学療法士にとって貴重な存在になります。それは資格を生かして起業できるということです。現在の日本では理学療法士に開業権はありません。

開業したとしても医療保険などが使えないので利用する人は全額自己負担となってしまいます。そのため開業権をもつ医師や歯科医師、柔道整復師のように自分で施設を構えるということが難しいのが現状です。

そこで理学療法士という資格を生かし、デイサービスを利用して起業する人もいます。理学療法士には機能訓練指導員としての資格があるため、自らが機能訓練指導員としてデイサービスをはじめるというものです。

もちろん看護師、介護スタッフ、生活相談員などの人員を雇わなければなりません。ですが「保険を使える施設が開設できる」という点では開業権のない理学療法士にとって貴重な存在となっています。

4. 理学療法士がデイサービスに転職する方法

4-1. デイサービスで求められる人物像

デイサービスではたらくにあたって、どんな理学療法士が求められるのを知っておくことが大切です。一人職場となる可能性もある場所だけに専門的な知識や技術、強い責任感といったことはもちろん求められる人物像だといえます。

しかしそれだけではなく、ほかのスタッフと協力しあえる「協調性」が特に重要となります。

一人職場だからといって、全て自分だけで業務にあたるというのは難しいものです。介護スタッフや看護師といった他職種の人たちの協力が必要となる場面も多いため、自分以外の職種の人たちを尊重し協力し合う人間性が求められます。

さらにコミュニケーション力も必要となります。サービスの利用者さんをはじめ、職場を枠をこえて施設以外のケアマネージャー、病院の医師や看護師、行政機関と直接やりとりをする機会を持つ場合もあるため、コミュニケーション力に優れた人材が求められます。

4-2. 理学療法士に強い転職支援サービス(人材紹介会社)を利用する

デイサービスは少人数で運営しているため欠員が出た時のみ求人を募集する傾向があります。
ですので条件にマッチするデイサービスに転職をするなら、転職支援サービスにも登録をしておき情報のアンテナを貼っておくことは大切です。
転職支援サービスでは登録さえしておけば先方からメールや電話でデイサービスを含め非公開の就職先を紹介してくれます。

雇用形態もパートタイムや正社員など、あらかじめ希望を伝えておくことで自分の要望に近い就職先の情報が送られてきます。
自分で探す手間も省けるので、現在はたらいていて時間がないといった人にとっては利便性の高いサービスだといえます。

理学療法士や介護業界に強い転職支援サービスでは以下が代表的です。

マイナビコメディカル
大手人材紹介のマイナビグループが運営するリハビリ職に特化した転職サービス。デイサービスの案件にも強いので登録しておきましょう。

スマイルSUPPORT介護
デイサービスを含め介護業界の機能訓練に強い転職サービスです。全国で求人数も多いです。

メドフィット リハ求人.com
リハビリ職に特化した転職支援サービス。理学療法士・介護の分野にも強いです。

参考:理学療法士・PTにおすすめの転職エージェント&転職求人サイト【20選】

4-3. ハローワークや求人サイトを利用する

条件を選ばなければ理学療法士を募集しているデイサービスはたくさんあります。

すでにご紹介したとおりデイサービスの数は多いのでデイサービスで就職することが特別に難しいということはなく、随時募集しているところもあります。手軽な就職・転職活動としてはハローワークや求人サイトを利用するという方法もあります。

求人サイトはインターネットを利用していつでも簡単に就職先をみることができるので活用しましょう。しかし都市部以外の地域、地方などによっては求人サイトよりもハローワークの方が探しやすい場合もあります。
また先ほどご紹介した転職支援サービスは求人サイトの役割も兼ねているので、求人サイトとして活用するのもいいでしょう。

4-4. 母校に来る求人情報を利用する

新卒の理学療法士に向けて学校に求人情報を送る病院や施設は多いものです。なかにはデイサービス施設もあります。学校に送られる求人だからといって必ずしも新卒者だけを対象にしているわけではありませんので、出身校に問い合わせてみるのも有効な就職・転職活動です。

すでに学校との関係性をもっている施設であったり、教職員がよく知っている施設であったりするので、事前に多くの情報を得られるというメリットがあります。

4-5. 直接の申し込みもOK

電車や新聞の折り込み、あるいは看板などをみて申し込むのもOKです。ただ、なかには採用がすでに決まっているという場合もありますので、その点には注意しましょう。

5. デイサービスを職場として選ぶメリットは?

職場を選択するにあたって、人間関係や職場の雰囲気などはたらきやすい環境も大事ですが、理学療法士としてデイサービスを職場とすることで得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

5-1. 介護保険の情勢に詳しくなる

保険制度のなかではたらく理学療法士にとって介護保険を学べるというのはとても貴重な経験となります。介護保険は理学療法士にとっても重要な制度のひとつですが介護保険に関わっている理学療法士は全体の約1割程度だといわれています。

病院ではたらくとどうしても医療保険を意識してしまいがちです。そのため病院勤務だとなかなか介護保険について学ぶ機会は少ないものです。介護保険に詳しくなると、病院を退院した後の患者さんの生活像が描きやすくなります。

「退院後にどんなサービスが必要になるのか」、あるいは「どんなサービスを使えばもっと円滑な生活ができるか」といったことを考えられるようになり、退院後の生活を見据えてリハビリの計画・実施する力をつけることができ、理学療法士として大きな強みとなります。

5-2. 他職種と接する場面が多くコミュニケーション力が磨かれる

デイサービスではたらくと、必然的にケアマネージャーや他の医療機関、行政機関とのやりとりをする機会が増えてきます。他職種と接する機会が増えるため、その分だけコミュニケーション力を養うことができます。

5-3. 利用者さんの生活がトータルで考察できるようになる

デイサービスではたらくと、施設内以外のことも考えなければなりません。他の事業所や医療機関を交えた会議などへ参加する機会が増えます。

また全体的な介護サービスプランなども定期的にケアマネージャーから報告されるため、利用者さんが普段はどんな生活をしているのか、どんな医療・介護・福祉サービスを利用しているのかといった全体像がみえるようになります。

そういった意味では、より広い視野をもって利用者さんの生活をサポートすることを学べる機会が増えます。

5-4. 将来的に独立したい人はノウハウを得られる

理学療法士の資格を生かして独立している人の多くがデイサービス、訪問看護ステーションに携わっています。独立という夢を描く理学療法士にとって、デイサービスは貴重なノウハウを得られる機会となります。

専門的な知識や技術は必要ですが、独立となると経営や運営といった施設のマネジメント力が問われます。めまぐるしく変化する介護保険情勢にも詳しくならなければなりません。将来は起業したいと考えている理学療法士にとっては大きなメリットとなります。

まとめ:デイサービスの魅力は地域に密着していること

デイサービスは小規模ながら施設数が多く、同じ圏内に複数の施設が存在することもあります。それだけ地域、利用者さんの生活に密着したサービスだといえます。

地域のケアマネージャー、行政機関、近隣のクリニックなどとの関わりも増えることから交流の幅も増えます。そういったなかで、利用者さんの身体だけでなく、生活という大きな視点からサポートすることになります。

高齢化が進む日本において、介護情勢に詳しくなる、地域に密着したサービスを学べるということは、理学療法士にとっても貴重な経験となるはずです。

《参考文献》
*平成22年度保健福祉部業務研究等報告会資料・デイサービスと理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の連携モデルに関する考察
*公益社団法人 日本理学療法士協会 広報誌2015Vol.18 「地域包括ケア病棟~地域をつなぐ医療とリハビリテーション~
*公益社団法人 日本理学療法士協会 広報誌2015Vol.19 「社会参加と理学療法
*『介護サービス事業の経営実務』追録第83~86号別冊より
岐阜県ソーシャルワーカー協会第4回研修会報告
*一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会HP コンビニエンスストア統計データ
*佛教大学保健医療技術学部論集 第 9 号(2015 年 3 月) 介護保険領域における 理学療法士・作業療法士の就業について
*佛教大学保健医療技術学部論集 第 7 号(2013 年 3 月) 理学療法士・作業療法士の給与総額とその規定要因について
*平成25年6月6日厚生労働省・社会保障審議会 介護保険部会(第45回)資料2
*厚生労働省・賃金構造基本統計調査

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記事更新日:2019年03月07日

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