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記事更新日:2017年09月26日

働く人のうつ病は近年増えており、「メンタルヘルス不調」による休職者が多くなっています。
うつ病は職場のストレスが要因のことが多く、厄介です。

そのために再発や退職も多く、早期に適切な対処が大切です。
うつ病になった時、なりそうな時、仕事や治療はどうすればよいのでしょう?実態と対策を紹介します。

1. うつ病かも?と思った時。「うつ病とは脳の機能不全」です

朝起きるのが辛い、何をするにも意欲が涌かない、眠れない…毎日そんな日が続くようなら、うつ病かもしれません。私達は勿論落ち込むこともあります。健康な状態ならば、友達と映画に行って美味しい食事でもすると気分が晴れます。

嫌なことがあっても、一晩寝れば翌日にはまたいつものように生活できる…そういう安定した身体状態を作り出している主役がセロトニン神経です。

セロトニン神経の疲弊やノルアドレナリンの過剰分泌から起こる脳の機能不全が「うつ病」です。
長時間労働による疲労や睡眠不足、慢性的なストレスはセロトニン神経を疲弊させます。また、自律神経がバランスを崩すことにより身体にもさまざまな不調が現れます。

うつ病は決して「甘え病」でも「弱い人」だからなるわけではないのです。
うつ病かも?と思った時は、受診することが大切です。

1-1. うつ病を放置するリスク~継続就労の実態から

厚生労働省の平成22年の統計によると、うつ病による自殺者が7020人となっています。自殺原因が特定できた人のうち、実に28%にのぼります。

そこまで行かなくても、放置する期間が長いほど回復が難しくなり再発を繰り返します。次項で詳述のように、メンタルヘルス不調で休職した社員のうち、42.3%が結果的に退職しています(※)。受診が遅れ、休職する段階で既に相当悪化している状況が読み取れます。

セロトニン神経は、睡眠や呼吸・食欲など身体の恒常性維持に重要な働きをしており、放置すると脳の機能が低下し悪循環に陥ります。そして残念ながら、結核のように薬で治るものではありません。

1-1-1. うつ病で休職した人の4割が退職している

独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が2012年に実施した調査(※)をもとに、うつ病で休職した人の実態を見てみましょう。

過去3年間で、メンタルヘルス不調で休職した社員の退職率(全産業平均)は、42.3%となっています。規模別に見ると中小規模の事業所が高いです。中小規模では休職制度の上限期間が短い傾向にあるのが要因と考えられます。

メンタルヘルス不調で休職した社員の退職率(事業所の規模別)

  • 50人未満=43.4%
  • 50~100人未満=48%
  • 100~300人未満=41%
  • 300~1000人未満=28.3%
  • 1000人以上=33.1%

(※)独立行政法人労働政策研究・研修機構「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」(2012年11月調査)

1-1-2. 過去3年間で、メンタルヘルスで罹患した社員の、継続就業の実態

休職せずに通院治療しながら働き続けている=9.7%
休職を経て通院治療しながら働いている=53%
休職を経て通院治療せずに働いている=5.2%
長期の休職・復職を繰り返している=5.1%
休職期間中または復職直後に退職している=13%
休職を経て復職後しばらく勤務した後に退職=10.5%
休職せずに退職=3.5%

これは医療機関に受診した人(患者)の調査です。うつ病等メンタル不調患者数は、平成26年患者調査で111万6千人となっています。しかし産業医は、受診患者以外の「うつ病予備軍」が5~6倍はいるであろうと警鐘を鳴らしています。

1-2. うつ病の受診率の低さが問題~うつ病は早期発見が重要だが、難しい

厚生労働省の「こころの健康についての疫学調査に関する研究」によると、何らかの精神的障害を経験した人のうち受診したのは約30%で、過去1年以内に限ると17%という受診率の低さです。

裏返すと、メンタル不調があっても8割以上の人は受診するまでに1年以上も放置しているということです。それがうつ病による退職率の高さにもつながっていると考えられます。

受診が遅れる理由は、精神科や精神病院への抵抗感もあるでしょう。また、うつ病の症状を自覚しにくい、認めたくないという理由も大きいようです。男性の場合は、「まさか自分が」、「うつ病になるような弱い人間ではない」という思いもあるようです。

女性の場合は鉄欠乏姓貧血が多く、うつ病の初期症状と非常に似ており気付きにくいという理由もあるでしょう。

うつ病の厄介なところは同じ業務に就いていても、なる人とならない人がおり、個人差があるということです。生得的な気質によるストレス耐性の違いもあります。また個々の生活・家庭環境の差も大きいです。

そういう違いを見ずに、業務だけで見ると、「他の同僚は普通に出来ているのに…自分にできない訳がない」と無理してしまう傾向があります。個人差はありますが、「自分だけが」ではなく、状況次第で誰でもなる可能性はあるのです。

うつ病対策には早期発見が重要ですが、自ら気付いて受診するのが難しいという現実があります。厚生労働省ではうつ病早期発見の対策として、2015年12月から「ストレスチェック制度」を施行しました。

この制度は50人以上の従業員のいる事業所を対象にストレスチェックを義務化したものです。しかし、制度の施行から日も浅いために実施の方法や委託先を決めていない事業所も多いようです。また非正規社員などは行われないこともあるようです。

うつ病かも?なりそうかも?と気になる方は、今すぐ出来るストレスチェックを紹介します。これは「ストレスチェック制度」と同じ質問内容で、あなたの職場におけるストレスレベルが測定できます。うつ病早期発見や予防対策に活用しましょう。

厚生労働省「こころの耳」 5分でできる職場のストレスセルフチェック

1-3. うつ病になる仕事上の原因とは?

ストレスとは広い意味で「刺激・負荷」ということです。嬉しいことでも悲しいことでも同じようにストレスですが、うつ病になりやすいのは継続的・慢性的なストレスです。嫌なことばかりでなく、好きな仕事に没頭するあまり、慢性的な睡眠不足・疲れによってうつ病になることもあります。

慢性的な長時間労働や人間関係による緊張や不安が継続した状態に、人事異動や小さな仕事のミスなどが重なるとなりやすいのです。ちょっとゴムひもを想像してみてください。

ずっと引っ張り続けると元にもどらなくなります。慢性的な疲れや緊張によって弾力性を失い、伸びきってしまったゴムひもの状態がうつ病です。

[仕事の場でうつ病になりやすい慢性的ストレス]

  • 長時間労働(拘束時間が長い、サービス残業が前提となっている、休みがとりにくいなど)
  • 圧倒的に仕事量が多い
  • 不規則勤務による睡眠不足や生活リズムの乱れ
  • 職場の人間関係の悪さ
  • 日常的なパワハラ、セクハラなど
  • 自分の適性・能力と職務で求められることのミスマッチ
  • 給料や待遇の悪さが呼び起こす、生活や将来への不安
  • 低温・高温環境での作業や、危険な作業などの職場環境
  • 人事や制度、方法・内容などがコロコロ変る職場
  • 会社業績、リストラへの不安

職場の慢性的ストレスにはこのようなものがあります。上記のような慢性的ストレスを複数抱えている場合は要注意と言えるでしょう。

1-4. うつ病になると、仕事にどんな支障が出るか?

うつ病の初期は、ほとんどの人が「大したことはない」と思うものですし、周囲も気付かないでしょう。ところが脳内で乱れ始めた歯車は、徐々に意欲や仕事能力を低下させミスを招き、さらなる不安増大…という悪循環を引き起こします。

そうなると業務に支障が出て、続けられる状態ではなくなります。下記のような兆候があったら、受診して休養をとりましょう。

[うつ病の悪循環による支障]
①意欲や好奇心の低下⇒物事に消極的になる⇒他人とのコミュニケーションや気分転換も面倒になる⇒心が閉ざされて悩みすら話せない⇒人との協調が苦痛になる⇒さらに悪化

②考えることや目の前のこと、人の話に集中できなくなる⇒連絡ミスや単純なミスが増大して、仕事能率が著しく低下⇒仕事に時間が掛かる⇒残業時間が増える⇒疲労・睡眠不足⇒さらに悪化

③朝起きるのが辛くて、遅刻や欠勤が増える⇒自分を責める、上司や同僚の目が気になる⇒重圧と不安が増大⇒通勤が苦痛になる⇒さらに悪化

④物事の悪い側面ばかりを見てしまう⇒自分や業績、仕事に対してネガティブになる⇒周囲との関係が悪くなる⇒職場で居ずらくなる⇒不安が増大⇒さらに悪化

⑤判断しようとすると、失敗した時の不安感で考えが堂々巡りして判断ができない⇒判断や指示を先延ばしにする⇒仕事の期限を守れない、優先順序や段取りがつけられない⇒自分を責める・不安が増大⇒さらに悪化

2. うつ病と診断された時の対応は?

うつ病は薬では治らないので、ストレスの原因を取り除く/セロトニン神経の機能を正常にする、この2つが治るための大原則です。ところが、仕事環境や職場の人間関係がストレスの主原因である場合は、取り除くのは非常に困難です。

休職しても再発を繰り返したり、4割が結局退職する理由は、ここにあります。だからと言って、すぐに退職や転職の判断をしてはいけません。うつ病の時は判断力や思考力が低下していますから、人生に関る大きな判断は保留しましょう。

2-1. うつ病と診断された時、会社に言う?言わない?

結論から言うと、会社に言わないままに同じように仕事を続けると、悪化する可能性が非常に高いです。確かに、自分が休むと仕事に支障を来たすとか、白い目で見られるなど言いにくいことはあるでしょう。

しかし、悪化すればいずれ会社には知られますし、何より自分自身の職業人生の多大な時間を犠牲にすることになります。まず診断書を持って直属の上司に相談するのが常道でしょう。

その上で、仕事内容や治療時間をどう確保するかなど、会社に協力を求めましょう。家族にもきちんと話して、理解と協力を得ることが非常に大切です。

但し、会社に言わない方が良いケースもあります。いわゆるブラック企業と言われる事業所などで、使い捨てを当然のように考える事業所の場合です。病気だとわかると退職を迫ったり、退職せざるを得ないような状況に追い込まれることもあるようです。

そういう場合は、労働相談の窓口を利用するなどして自分にとってより良い対策をしましょう。厚生労働省の総合労働相談コーナーは各地の労働基準監督署内に相談コーナーを設けています。

2-2. うつ病になった時、仕事は継続できる?休職すべきか?

うつ病と診断された時、多くの人は「仕事しながら、通院治療できないか」と考えるでしょう。通院治療しながら仕事している人もいます。休職せずに仕事を継続できるかは、以下のような場合でしょう。

  • うつ病の症状が軽い(医師が休職の必要はないと判断している場合)
  • 勤務時間の短縮や仕事量や内容・責任を軽減してもらえる
  • ストレスの原因となっている職場の要因を緩和できる(配置転換など)

ここで注意したいのは、「医師が休職までの必要はなし」と判断した場合に、本人も会社も軽く考えてしまうという点です。また、抗うつ剤を処方されて薬を飲んでいるから大丈夫と考えて、仕事や生活の仕方は従来のままというのは悪化する場合が多いようです。

この段階で大事なのは、充分な休養睡眠が取れるような仕事環境、生活リズムにするということです。配置転換まではしなくても、会社の理解・協力と本人の努力が大切です。もし医師に休職を勧めらたら、指示に従ってしっかり治療しましょう。

2-3. うつ病で休職する場合

うつ病で休職する場合、何ヶ月休職するか?ということが大きな問題になります。①治療期間の目安、②会社の休職制度がどうなっているか?③休職期間中の収入という問題があります。

職場に申し訳ないという気持や、失職や降格の不安を持つ方も多いでしょう。しかし中途半端に復職すると再発することも多いのです。しっかり治療できる方法を考えることが大切です。

①治療期間
通常の怪我や疾病の場合は、平均的な治療期間の目安は医師から教えてもらえるでしょう。ところが、うつ病の場合は医師でも明確な判断はできず、状況を見ながらということがほとんどでしょう。

うつ病の場合は症状の軽重にもよりますが、休職が必要なくらいだと中程度には重いというケースでしょう。うつ病は再発率が高い病気です。細切れに休職するより、しっかり休養治療して健康を取り戻すことが大切です。

②休職制度の上限
およそ8割の事業所で、就業規則に休職制度を設けているので、会社に勤めている場合はほとんど休職制度があるでしょう。まず、会社の休職制度の規定を確認しましょう。通算などの条件などは違いますが、大体3ヶ月以上は休職期間があるようです。

[休職制度の上限]

3ヶ月まで=9.6%
3ヶ月~6ヶ月まで=13.3%
6ヶ月~1年まで=22.3%
1年~1年半まで=17.2%
1年半~2年まで=12.6%
2年~3年まで=12.1%
3年以上=5.9%

出典「労働政策研究・研修機構

③休職期間中の収入
健康保険に加入している事業所であれば、傷病手当が支給されます。申請すると標準報酬日額の3分の2が健康保険組合から支給されます。申請書類を医師に記入してもらう必要があります。傷病手当は、同一の傷病について1年半まで支給されます。

事業所によっては、傷病手当などの制度を別途設けている場合もあるようです。有給休暇が貯まっているような場合は、有休日数も加算されるでしょう。総務部などに規定を確認しましょう。

2-4. うつ病で休職から復職のタイミングは?

復職可能かどうかは、回復状態によるでしょう。うつ病の回復状態は、本人しかわからないものです。うつ病になったのが職場・仕事に要因がある場合は、回復したとしても同じ状況に戻ると再発する可能性もあります。

現実的には、中小規模のところでは配置転換など難しい職場もあるでしょう。復帰後の職場の状況や労働条件がどうなのか?によっても復職の判断が変わってくるでしょう。

本人の健康状態・回復の自覚と、復帰後の職場の状況、医師の判断によって、個々の事例に合せて総合的に考えるということになります。

2-4-1. 復職後の配置転換の有無

下記の調査から見ると、復職後に配置転換を考慮してくれる事業所は半数弱です。半数は休職前と同じ状況のようです。特に中小規模の場合、配置転換は難しそうです。配置転換を期待するより、休職中にしっかり治すのが大事です。

[復職後の再発の状態に合わせた配置転換の有無]

  • 配置転換をすることがよくある=47.4%
  • 配置転換はほとんどない=36.8%
  • 現場復帰が原則で配置転換しない=15.8%

出典「労働政策研究・研修機構

2-4-2. 休職中にやっておくべきこと

傷病手当金の支給期間上限は、同一傷病につき通産で1年半です。再発の場合も考えると、1年位を目処に健康を取り戻せるようにできればよいですね。抗うつ剤を飲んで、休んでいるだけではうつ病は改善しません。最初は心身の疲労回復のために、休養と充分な睡眠が必要です。

ある程度身体を動かせるようになったら、生活リズムと体調改善に努めましょう。疲弊したセロトニン神経の機能を正常に戻し、身体全体のバランスを整えることが大切です。バランスを取り戻す過程では、一時的に良くなったように思えても、また悪くなったりと不安定な状態が起こります。

不安定なうちは、仕事のことを考えるのは保留しておきましょう。復帰後に再発しないためには、身体の健康づくりに専念することが大切です。

①休職中にやっておくべきこと

  • 生活リズムを整える=起床・睡眠のリズム、食事時間を規則正しくすること。
  • 適度な運動、体力づくり、軽作業で身体を動かす
  • バランスの良い食生活、胃腸の調子を整える

うつ病は脳の機能不全ですから、脳の活動を活性化するためには、ベースとなる健康な身体つくりが最も大切です。

②休職中にやってはいけないこと

  • 休職することに引け目を持つ⇒引け目を持つことがストレスになります。健康を取り戻すのが今の仕事と割り切ることです。
  • 退職や転職のことを考える⇒判断力が鈍っている時に、重大な判断をしてはいけません。焦って転職を考えるだけで大きなストレスになりますし、そういう状態では不採用が重なると悪化します。
  • 時差ボケを生じるような旅行や活動⇒気分転換は生活リズムを崩さない方法にしましょう。

うつ病で長期休職していると自己管理が難しかったり、焦りや不安などもあるでしょう。職場復帰についての支援プログラムや相談所もあります。自分で抱え込まずに、専門家の援助を受けるのも有効でしょう。

・独立行政法人 高齢・障害者・休職者雇用支援機構の「地域障害者職業センター」では、うつ病の休職中で職場復帰を考えている人への援助(リワーク)をしています。

離職してしまうと対象外になります。センターに通所して生活リズムを構築するなどの援助を無料で行っています。センターは全国主要都市にありあす。
うつ病などで休職しており、職場復帰をお考えの方へ
独立行政法人高齢・障害者・休職者雇用支援機構

・独立行政法人労働者健康安全機構が運営する「産業保健総合支援センター」では、小規模事業者や働く人を対象とした産業保健サービスを無料で提供しています。
産業保健総合支援センター

・医療機関では、うつ病復帰の支援プログラムを実施している施設もあります。認知行動療法なども行っています。うつ病の場合は、薬物療法と精神療法を併用することで効果が上がることも多いようです。

有料ですが、ほとんどが保健適用になるようです。休職期間が長期に渡る場合は、このような復帰支援プログラムを利用するのもよいでしょう。
参照「うつ病リワーク研究会

2-5. 復職する場合の対策~うつ病を再発しないために

生活リズムが整い体調が良くなってくると、意欲も蘇ってきます。そうなったら、そろそろ復職への対策を考えても良い時期でしょう。次の4点を総合的に考えて、復職の対策を立てましょう。

2-5-1. 復職の条件

復職を決断するタイミングとは、いつなのでしょうか?自分の回復状況と他の条件を考えて決めましょう。

  • 本人の意欲や心身の回復が一時的なものでなく、安定していること(本人でなければ判らない)
  • 医師の見解を聞き、復職できる状態であると判断されること。
  • 会社の休職期間や傷病手当の支給の残り期間
  • 会社側の理解・協力の度合い

①心身の健康が正常なバランス状態に戻っているか?
朝はスッキリ起きられる/睡眠の状況/食欲/気持ちの浮き沈み/など、これらが安定した状態が続くようなら、回復に向かっているといえるでしょう。

②医師の見解
治療継続中でも、うつ病の症状がおおむねなくなる状態を「寛解」と言います。「寛解」の状態が半年以上続くと「回復」とされるようです。医師が「寛解」と判断すると復職は可能でしょう。

③傷病手当の支給期間
理想を言えば、期間に拘らずにきちんと治すことですが、現実問題として傷病手当が期限切れになると収入がなくなります。上限が間近で、「寛解」レベルなら復職する人が多いでしょう。

④会社側の協力
復職後に、短時間勤務や負担の軽減など配慮してくれるか相談してみましょう。もし復職後はいきなり通常勤務なのであれば、復職前に自分で馴らし出勤をしてみましょう。長く自宅療養していると通勤することだけでも疲れます。

復帰の一月ほど前から、会社の近くまで行ってみましょう。馴れてきたら通勤時間帯に行ってみましょう。その際に疲れたら無理しないことです。

2-5-2. うつ病の原因が職場にある時

うつ病になった主要因が職場の人間関係であったり、仕事内容である場合、復職後も環境や条件が変わらないとまた再発する場合もあります。体調が良くなり意欲が出てきたら、なぜその要因がストレスになったのかを考えてみましょう。

労働時間の問題なのか、仕事内容の問題なのか、相手の対応の問題なのか、自分の対応や考え方の問題なのか、などです。仕事環境が変らなければ、自分の対応を変えることが必要かもしれません。仕事や生活に対する考え方や方法を、根本から見直すチャンスでしょう。

自分の考えや行動をすぐに変えることは難しいでしょう。自分の健康と生活のペースを守りながら、職場との距離を適度に保つことも大切です。そのためにも心身の健康維持が非常に大切です。

3. すでに、うつ病で仕事を辞めてしまった人は?

うつ病が辛くて退職したという人もいるでしょう。しかし仕事しなくてはいけない場合は、次の就職先を探すことになります。しかし大切なことは、健康を取り戻すということです。
「休職中にやっておくべきこと」と並行しながら仕事探しをすることになります。

3-1. うつ病の治療をしながら、仕事探しをする

うつ病治療しながら仕事探しする時に、就労支援の機関もあります。行政機関、福祉機関、医療機関、NPO法人などが行っています。実際の職業紹介までトータルに相談するなら、まずハローワークに相談してみましょう。ケースによって利用できるサービスや手続きなどを教えてくれるでしょう。

ハローワークでは、心身に障害を持った人の就労を支援する窓口もあります(※)。専門の相談員が求職指導から職業紹介や指導を行っています。

「障害者雇用促進法」という法律によるもので、ハローワークの書式に沿って主治医の意見書を提出するか、精神障害者福祉手帳を申請すると、障害者枠に登録できます。

生活面も含む幅広い相談援助が無料で受けられます。ハローワークでは障害者枠に登録しない人でも、さまざまな相談に乗ってくれます。

3-2. うつ病には向かない仕事とは

うつ病は、意欲や思考力を低下させます。健康な時なら、責任の大きさや仕事のやりがいは適度な刺激となりプラスに働きます。しかし、うつ病で意欲や思考力が減退してしまったら、それらが逆風となって大きいプレッシャーになります。うつ病には向かない仕事を挙げてみましょう。

①うつ病には向かない仕事

  • 責任の大きな仕事
  • 考える仕事、創造性が必要な仕事
  • 仕事量、拘束時間の長い仕事
  • 勤務時間が不規則な仕事
  • 緊張を要する仕事
  • チームワークやコミュニケーションが重要な仕事
  • 対応する相手・状況が頻繁に変化する仕事

うつ病の時には、ルーティンワークや軽作業のような仕事が良いでしょう。
再就職で周囲の環境に馴れるまでは、ストレスも大きくなります。最初からフルタイムや正社員は負担が大きいでしょう。収入が下がることは覚悟して、責任と時間拘束の少ないパート勤務なども選択肢でしょう。

うつ病でも出来る仕事を探す場合は、健康時の自分のキャパの半分くらいで出来る仕事を探しましょう。プライドや職種・収入への拘りは捨てて、治療と両立することが大切です。

②うつ病の原因別 仕事探しの注意点

  • うつ病になった原因が、職場の人間関係だった場合は、人間関係やコミュニケーションの煩わしさがない業種を選ぶのも方法です。どの職場でも大なり小なり人間関係はついてまわります。職場は仕事をする所と割り切って、仕事以外は深入りしないことが大切です。
  • 原因が仕事内容そのものであれば、同種の職種に拘らずに選択肢を広げてみましょう。前職が集中力を要するような専門職であったり、営業職の場合はうつ病治療と両立するのが難しいかもしれません。
  • 原因が責任感の強さや完璧主義という気質によるのであれば、一般的には経験のある仕事で、レベルを下げると楽に出来るものです。経験者の場合は就職もしやすいでしょう。責任の範囲や時間を制限して同じ職種の仕事をするという選択もあるでしょう。
  • 原因が長時間労働や不規則労働によるものであれば、日中労働で5~6時間勤務で済む仕事を探しましょう。

4. うつ病の治し方

うつ病=精神的ストレスが原因と思いがちですが、そればかりではありません。ストレスとは広い意味で「刺激=細胞の興奮」ということです。良いことでも悪いことでもストレスになるのですが、その判断は体内環境によってなされます。うつ病の原因から、対策を探っていきましょう。

4-1. うつ病の原因

①今や現代病と言われる「うつ病」ですが、その原因の本質は、私達の身体のしくみと環境とのギャップでしょう。

現在の私達の身体の仕組みが完成したのは、10万年~5万年前と言われています。飢餓・外敵の攻撃…厳しい自然環境の中でいかに生存するかに適応して仕組みが創られており体内には様々な防御システムが備わっています。

ところが身体の仕組みが創られた前提と、現代の環境は大きく変化しています。今は、食糧不足の代りに、経済環境。外敵の攻撃の代りに複雑な人間関係など…そのギャップが現代のストレスフルな状況を生み出し、うつ病などの問題に繋がっているといえます。

②人間はじめ生物は生存のため、恐怖や不安に最も敏感に出来ています。
不安などの感情や気分のもとになるのは情動で、意識で制御できるものではありません。生存にとって快か不快かを、血圧や血糖値・体温・心拍数などの生体反応によって判断しているからです。情動に関る主な場所は扁桃体です。

ストレスや不安を察知すると扁桃体が不快と判断して興奮しストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。コルチゾールは糖代謝をはじめ、タンパク代謝、脂質代謝、骨代謝、免疫機構などに関与しており、生命維持に不可欠なホルモンです。

外傷や感染等も含め生体的なストレスを解消するための役割も果たしています。敵に攻撃されて恐怖を感ずると、コルチゾールは食欲や安定感等を抑制するためにセロトニン分泌を抑え、ノルアドレナリンを刺激して闘いのために筋肉を収縮させ、アドレナリンを刺激して血液中の糖を急増させます。

闘いで怪我した場合に炎症を癒すといったように生体防御の要です。一方このホルモンは過剰なストレスにより多量に分泌された場合、記憶に関る脳の海馬を萎縮させることが判っています。

③扁桃体が判断するのは、外敵に襲われているかどうかではなく、体内の状況が快か不快かという判断です。上司に叱られても、外敵を見つけた時と同じように不快と判断すると、コルチゾールが分泌されます。

つまり、ストレスによって扁桃体が興奮する⇒コルチゾール分泌⇒情緒安定作用のセロトニン抑制⇒不安・気分障害・睡眠障害などとなります。
そして、ノルアドレナリンが頻繁に過剰に分泌されると、身体全体が緊張状態となり血流が悪くなりさまざまな支障が出ます。
さらにノルアドレナリンが減少・枯渇して、意欲や活動の減退を招きます。

4-2. セロトニン神経とは

うつ病の大きな特徴としては、精神状態に症状が強く現れることです。精神状態には脳内の神経伝達物質が深く関っています。それが、ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン、セロトニンです。

セロトニン以外の伝達物質は、不安・恐怖・緊張・喜び(報酬)などの刺激によって分泌されます。セロトニンだけはそれらの外部刺激では分泌されず、自律的に一定のペースで発火しています。

セロトニン神経は覚醒時の安定した状態を作り出し、外部刺激に左右されずに活動の土台を整える役割を果たしています。セロトニンは脳内各所や交感神経に軸索を送って、指揮者のような働きをしています。

セロトニン神経は、刺激(ストレス)から身を守るストレスブロックのような役割を果たしていることになります。セロトニン神経の機能が低下すると、自律的な発火ペースが乱れて、自律神経の働きも悪くなります。意欲減退や寝起きが悪い状態が起こるのもこのためです。

4-3. うつ病を改善する対策~ストレスを避けるだけでは改善できない

うつ病を改善するには、セロトニン神経の自律的発火ペースを正常に戻すことと、ノルアドレナリンの過剰分泌を防ぐことが根本的な対策となるでしょう。
一般的な抗うつ剤(セロトニン再取り込み阻害剤など)は自己受容体にフタをするだけの対症療法で、根本的な対策にはなりません。

ストレスを避けるのは、ノルアドレナリンの過剰分泌を防ぐ対策です。ここでは主に、セロトニン神経を鍛える対策を紹介しましょう。セロトニン神経が活性化されるのは太陽光とリズム運動です。

①生活リズムを整える
セロトニン神経は睡眠・覚醒サイクル(概日リズム)と深く関っています。概日リズムは朝の太陽光によってリセットされます。夜明け頃の最低体温から数時間が体内時計のリセットに効果的と言われています。

昼夜逆転してしまった人は、次第に馴らしていきましょう。早朝起床に拘るよりも、まずは起床・食事・睡眠時間を一定にすることが大切です。

②リズム運動
歩く、腹式呼吸、咀嚼など、一定のペースで単純に繰り返される運動は、セロトニン神経を活性化します。もちろん、ダンスでも自転車でも良いのです。大事なのは意識して集中することです。座禅も効果的です。

一日30分程度、朝のウォーキングは非常に効果的でしょう。

③セロトニン神経を鍛える10か条(有田秀穂著「セロトニン欠乏脳」より)
セロトニン研究の専門家である、有田秀穂著「セロトニン欠乏脳」より引用抜粋して紹介します。

[セロトニン神経を鍛える10か条]

その1.無理なく継続できるリズム運動をする。
その2.リズム運動によるセロトニン神経の活性化は20~30分位がピーク。30分以内が適切。
その3. セロトニン神経は、行動を意識的に起こさせる大脳皮質の前頭前野とつながっているので、リズム運動に意識を集中させることが大切。
その4. セロトニン神経が活性化されると爽快感が得られる。爽快感が感じられない時は、運動の種類や意識の集中具合を再検討する。
その5.セロトニン神経の働きは疲労物質によって弱められる。やりすぎは逆効果。やさしいことの繰り返しを30分以内で終える。
その6. セロトニン神経の活動レベルが恒常的に上がるには、再取り込みの自己受容体の数が減るまで継続が必要。毎日の継続が望ましい。効果が現れるまで約100日かかる。とにかく継続が不可欠。
その7.朝の寝起きがよくなり体調が良くなったと自覚できるようになったら、それらに関心を向ける。好奇心が涌いてきたとか、人と話すのが億劫でなくなったなど。
その8. セロトニン神経は生活習慣が乱れると、また弱まる。3年間以上継続するのが望ましい。
その9. セロトニン神経は太陽光で活性化される。1~2時間でセロトニン神経の自己抑制が現れ、逆に元気がなくなるので、長く光を浴びるのは逆効果。
その10. セロトニンの原料は、必須アミノ酸のトリプトファンという物質。大豆製品やチーズ、バナナ、豚肉などに多く含まれる。またトリプトファンは炭水化物と共に摂取すると脳内に取り込まれやすい。

セロトニン神経を鍛えて根本的にうつ病を改善するには、早朝に30分ほどウォーキングをして、ご飯に味噌汁・納豆の朝ごはん、夜は10時頃に就寝、というのが理想的なようです。

5. まとめ

以下の結果、悪循環が形成されてしまうのが「うつ病」です。

  • 複数の慢性的ストレスが生じているときに、周りのサポートを充分受けられない環境が重なる
  • 疲労や睡眠不足によって、脳の機能回復が不十分
  • 脳は出来事を処理しきれず、機能不全が起こる
  • 脳の機能不全は不定的な見方を引き起こす
  • 否定的な見方によって周囲のサポートを過少評価し、一人で問題を抱え込んでしまう
  • 同時に負荷を過大評価して、普段なら気にならなかったことも実際以上にストレスと感じてしまい、不安が生じてさらに睡眠不足や不安定になる

悪循環に陥る前に、充分な睡眠と適度な運動・バランスの良い食生活を心掛けることが一番の予防策です。そのためにストレスチェックなどを利用して、ストレス度を把握しましょう。

「うつ病と仕事」という視点で考える時に、健康と収入のどっちが大事か?という二者択一の考えに陥りやすいものです。どっちも大事ですが、心身が健康でなければ働けません。

多様な生き方や自分にとっての幸福とは何か、何のために収入が必要で何のために働くのかということを考えるチャンスでもあります。

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