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記事更新日:2018年10月10日

新卒入社したけど「仕事を辞めたい」と考えている人は多いでしょう。
しかし、1年以内で離職すると、その後正社員になっているのは男性で半数程度です。
第二新卒という言葉が広まり、若ければ若いほど企業の需要もあるのは事実ですが、短期離職の現実は厳しいこともあります。
新卒で仕事を辞めたいと思った時、後悔しないための対処法を解説します。

1. 新規学卒者(新卒)の離職の現状

新卒の3年以内の離職率が3割というのは、かなり知られています。
3年で会社を辞めるのは珍しいことではなくなり、第二新卒の転職市場も活性化しています。

しかし、「イヤなら、辞めればいい」と安易に退職すると後悔することも。
仕事を辞めるにしても、1年で辞めるのと3年で辞めるのでは大きな違いがあります。

まず、新卒1年~3年の離職率を全体、事業規模別、産業別に見てみましょう。
また、勤続期間別の離職理由から状況を見てみましょう。

1-1. 新卒の離職率(規模別と産業別)

下記は、厚生労働省が雇用保険加入者をもとに毎年集計している「新規学卒者の離職状況」(※)の資料です。

①新卒のうちの10人に1人強が1年目で離職し、3年目までに3人に1人が離職する
3年以内の離職者の中では、1年目で離職する人が最も多いです。

  • 1年目で辞めた=12.8%
  • 2年目で辞めた=10% (2年目まで累計22.8%)
  • 3年目で辞めた=9.1% (3年目まで累計31.9%)

②事業所規模別でみると、規模が小さいほど離職率は高い傾向がある

1年で辞める人の全体離職率平均は12.8%ですが、規模別に見ると100人以下で平均より高くなっています。30人未満の規模では、新卒1年目で3~4人に1人が辞めています。

小規模の事業所では人手が少なく、教育やフォローが十分ではない、繁忙期に無理をして対応せざるを得ないという状況があり、離職率が高くなると考えられます。
少人数の場合は、職場の雰囲気にもかなり左右されるでしょう。

平成25年3月卒業者の1年目までの事業規模別の離職率

  • 5人未満=32.4%
  • 5~29人=24.2%
  • 30~99人=16.2%
  • 100~499人=12.3%
  • 500~999人=11.1%
  • 1000人以上=7.8%

③産業別では「宿泊・飲食・サービス業」「生活関連サービス業」などにおいて離職率が高く、約半数が3年で辞めている
不規則なシフト勤務などの負担が大きい産業で、離職率が高い傾向が見られます。

サービス業等では、慢性的な人手不足→正社員がカバー→長時間労働のため離職者が多い→さらに負担がかかる→人間関係に余裕がなくなる→職場環境悪化というケースも多いようです。

<3年後離職率30%以上の産業>

  • 宿泊業・飲食サービス業=50.5%
  • 生活関連サービス業・娯楽=47.9%
  • 教育・学習支援業=47.3%
  • 医療・福祉=38.4%
  • 他に分類されないサービス業=36.4%
  • 小売業=37.5%
  • 不動産・物品賃貸業=35.9%
  • 学術研究・専門・技術サービス業=32.2%
  • 建設業=30.4%

(※)厚生労働省「新規学卒者の離職状況」産業分類別(大分類)卒業3年後の離職率

1-2. 新卒の勤続期間別の離職理由~1年未満は「仕事が自分に合わない」

同じ厚生労働省の調査から、3ヶ月未満~3年以上の勤続期間別の離職理由を見てみましょう。

1年未満で辞めた人と1年以上勤続で辞めた人の離職理由では違いがあります。
1年未満では「仕事が自分に合わない」が多く、1年以上になると逆に減っています。
一方、労働時間は勤続期間による差はあまりなく、勤続期間よりも産業や職場環境の要因が大きいと考えられます。

離職理由 3ヶ月
未満
3~
6ヶ月
6ヶ月
~1年
1~2年 2~3年 3~5年
仕事が自分に合わない 48.5% 30.8% 27.3% 21.1% 19.9% 12.3%
人間関係が良くなかった 35.3% 37.5% 24.2% 19.8% 19.2% 15.6%
労働時間・休日・休暇の条件が良くなかった 25.2% 26.0% 21.8% 27.3% 25.5% 24.7%
賃金の条件が良くなかった 9.9% 22.6% 20.0% 20.5% 23.3% 18.2%
会社に将来性がない 9.6% 13.7% 13.1% 10.1% 14.9% 16.2%
ノルマや責任が重すぎた 13.7% 11.5% 14.2% 11.6% 15.6% 8.7%
自分の技能・能力が活かせられなかった 13.5% 7.0% 8.8% 9.6% 9.7% 6.6%
健康上の理由 8.1% 11.8% 10.9% 8.5% 8.4% 6.9%

※色付きは各期間で最も多かった離職理由

ある程度仕事が判らないと、仕事が自分に合うか合わないかは判断できません。
仕事や会社の事を把握するのに最低2~3年はかかり、3ヶ月未満では何も判らない状態です。
ところが早期離職者ほど「仕事が自分に合わない」や「自分の技能・能力」の理由が多いです。

入社して1年くらいの新人は、どこの職場でも雑用やアシスト的な仕事が多いものです。

雑用やアシスト的な仕事も必要であり、それすらも上手く出来ないと、自分のやりたい仕事を任せてもらえるわけがありません。
3年以上経つと、仕事のやり方が判り自分の能力を活かせるようになってくると考えられます。

1年未満で離職する人は、仕事とは何かを理解する前に辞める、または自分の仕事能力を理解できずに辞めていることになります。社会経験で得るべきものを得られないまま辞めている現実が見えてきます。(辞めたい主な原因と対処法については、後述します)

その結果、辞めるとどうなるのか?次に見てみましょう。

2. 新卒で早期・半年で仕事を辞めるとどうなる?

新卒で入社後、早期・半年に仕事を辞めるとどうなるのでしょう?
半年・1年で離職した人と、2~3年で離職した人では離職後に違いはあるのでしょうか?
新卒正社員の離職後の状況を勤続年数別にデータで見てみましょう。

2-1. 新卒正社員の離職後の状況~1年(半年)で辞めると正社員として転職するのは半数以下

正社員離職後に転職して正社員になる割合は、全体としては半数以下です。(男女で違う)
勤続年数が長くなると、正社員への転職が成功しています。
正社員として働きたければ、短期離職は不利であることがわかります。

男性で1年未満で離職した人のうち、54.5%は正社員になっていますが、29.2%は非正規労働に従事しており、16.3%は労働していない(求職活動含む)情況にあります。

男性の場合は2年以上勤続していれば、正社員に転職する割合は、7割近くに高まります。
女性の場合は、正社員を退職後に正社員で働く人は24%程度に留まり、非正規が多いです。

女性の場合、4年超で正社員への再就職が激減します。これは結婚や家庭との両立を考えて、非正規の働き方を選ぶことが考えられます。

正社員と非正規では、生涯賃金も各種生活保障の面でも非常に大きな違いがあります。

勤続期間別に、離職後の情況を男女別に見てみましょう。

男 性 正社員 非正規 非労働
1年以内 54.5% 29.2% 16.3%
1~2年 57.3% 33.1% 9.6%
2~3年 67.1% 20.5% 12.4%
3~4年 68.1% 19.3% 12.5%
4年超 70.8% 17.7% 11.5%
女 性 正社員 非正規 非労働
1年以内 23.8% 40.7% 35.5%
1~2年 25.2% 35.7% 39.1%
2~3年 27.3% 35.1% 37.5%
3~4年 28.1% 30.4% 41.5%
4年超 14.0% 32.5% 53.5%

(※)独立行政法人 労働政策研究・研修機構「若年者の離職情況と離職後のキャリア形成」平成28年2~3月。

データから見ると、1年未満の短期離職はキャリア形成には不利な状況と言えます。
以前に比べると第二新卒の転職市場も活性化していますが、1年未満の退職の場合は厳しい現実があります。次に見てみましょう。

2-2. 新卒後、短期間・半年で仕事を辞めた場合の現実

新卒入社後、1年で仕事辞めた場合の現実を考えてみましょう。

2-2-1. お金の現実問題

  • 1年未満で辞めると、失業保険の受給資格が得られず、失業保険がもらえません。
  • 貯金もできていないため、離職後の生活が苦しいでしょう。(転職活動にも費用がかかる)
  • 各種福利厚生の恩恵がなくなる。(健康保険や傷病手当、住宅補助など)
  • 年金や健康保険など各種手続きをしなければならず、保険料は全額自己負担になる。
  • 無職や非正規になると社会的信用はほぼなく、新たにクレジットカードなどを作る場合、審査が通りにくいです。
  • とりあえずの生活のために短期バイトのつもりが辞められなくなり、そのままズルズルとバイト生活という人もいます。

2-2-2. 転職の現実

①転職は当り前になっている昨今でも「1年で仕事を辞めた」事実は、ネガティブに受取られます。書類段階ではねられる事もあります。

なぜなら採用にはコストがかかり、さらに採用後にペイできるまで時間がかかります。採用した人がすぐに辞めるのは企業にとって大きな損失で、長く続きそうな人を求めるのが当然です。

②2~3年勤続していれば、社会人としての基礎や業務遂行能力は一応あるものと見られます。
専門スキルは別として、日常業務に必要な基本的な仕事能力があるかは大きなポイントです。

「1年で仕事を辞めた」のは、基本的な仕事能力や人間性に問題があるのではと不信感を持たれます。「またイヤになって、すぐ辞めるのではないか?」と考えるのが普通です。

そのために、なぜ前職を辞めたのか理由などを、相当シビアに尋ねられるでしょう。

③新卒1年程度では社会人経験は全く評価されず、マイナスからのスタートになってしまいます。
自分の希望通りの転職ができるとは限りません。

転職価値が低くても入りやすい所は、労働条件に問題があったり、離職者が多く常に求人募集しているような所が多いものです。安易な離職~転職は「ジョブ・ホッパー」(短期間で転職を繰り返す人)になってしまう可能性もあります。

問題企業や正当な理由があれば別ですが、できれば3~5年、最低でも2年以上は勤続した方が良いでしょう。
4~5年しっかりと最初の会社で仕事を覚えると、良い条件で転職できる人が多いようです。

2-2-3. 転職後の現実

めでたく転職できたとしても、転職後にも厳しい現実があります。

①同期がいない
新卒ならば同期が何人かいて励ましあったりできますが、転職ではほとんど同期はいないでしょう。気軽に話ができる人を作りにくい状況です。

②新卒ならば大目に見てもらえることも「社会人経験あるのに、そんなことも判らないの」と見られてしまう

③自分と同じ年齢の人が、先輩として働いている場合は、お互いに微妙な人間関係
また年下の新卒と同じスタートになる場合も、立ち位置が微妙です。浮いてしまったり、新卒と比較されたり気苦労が多いでしょう。割り切って、謙虚な気持ちで臨む覚悟が大切です。

3. 新卒で仕事を辞めたい!原因と対処法

新卒1年までの離職理由で、主な原因に挙がっていた上位5位は下記の通りでした。

  • 仕事が自分に合わない
  • 人間関係が良くなかった
  • 労働時間や休日の条件が良くなかった
  • ノルマや責任が重すぎた
  • 賃金の条件が良くなかった

実際辞めてなくても上記のような理由で、辞めたいと思っている人は多いでしょう。
それぞれについて、原因の解説と対処法を説明しましょう。

3-1. 新卒で仕事が自分に合わない時の原因と対処法

「自分の技能・能力が活かせられない」という理由も、このカテゴリーに含まれるでしょう。

前項1-2の表でわかるように、3ヶ月未満の離職では48.5%が「仕事が自分に合わない」理由です。その後、勤続期間が延びると共に確実に低下していき3年超では12.3%と激減しています。

これは、入社前のイメージと現実の「仕事」のギャップやミスマッチが原因と言えるでしょう。
学生から社会人への変化に伴い、程度の差はあれ多少のギャップはあるものです。
そのギャップが、許容範囲か?我慢できないか?が、辞めるか辞めないかの違いです。

3-1-1.「自分のやりたいこと」にこだわり過ぎることによるギャップ

「商品開発部でどんどん提案して企画を実現したいと思ったのに、単調なアンケート集計やサンプル整理の雑用ばかり」と不満を言う人もいます。入社したら雑用や下積み的な仕事ばかりでやりたい仕事じゃなかった、あるいは希望する配属先じゃなかったという人は多いでしょう。

就職活動を通じて「自分のやりたいこと」の大事さを植えつけられます。やりたいことは大事ですが、やりたい事を実現するためには「やるべきこと」を成さないといけないのです。

自分のやりたい仕事が与えられないから辞めるという理屈には、「やるべきこと」の意識が欠落しています。
「やりたい仕事じゃないから」と辞めて転職してもまた下積みからのスタートです。
いつまで経っても「自分のやりたい仕事」はできません。

アンケート集計もサンプル整理も開発には重要なのですが、その重要さを判ろうとしないのです。

アンケート集計をしている時に「あれ、ここだけ数字が大きいな、なぜだろう?」などと気付くことによって数字の感覚やデータの見方が実感として養われるものです。

現場の下積み期間の、このような体験が将来の大きな仕事に役立つのです。仕事の出来る人・説得力のある人・問題に気付ける人は、このような現場感覚をしっかり持っています。

ただ「数字を集計すりゃいいんでしょ」という意識で「仕事が自分に合わない・つまらない」オーラを発していると、職場では「アイツわかってないな~、仕事なめてるヤツ」と判断されます。

自分の能力を仕事に活かすかどうかは、自分次第です。高学歴や優秀な成績で入社した人は、現場の下積み的仕事を「こんな仕事は、自分がやる仕事じゃない」と思う人もいるようです。
どんな仕事でも真剣に取り組むと、気付きや学びがあります。それが仕事の面白みであり成長です。

<対処法>

  • 仕事で必要とされる目の前の「やるべきこと」を真剣に取り組むのが、やりたいことを叶える近道
  • 仕事・職場全体の中で、今の自分が果たすべき役割を理解する
  • 与えられた仕事の目的や位置付けを理解することで、目の前の仕事の意義を見出す

※仕事が自分に合わない悩みについては「「仕事が合わない」は甘え?転職すべき?原因と正しい解決策」の記事でも詳しく解説しています。

3-1-2. 入社前の説明会等と、配属された時のギャップ

新卒採用の場合はポテンシャル採用(潜在力に期待する)が多く、内定段階では「就社内定」であり配属先が決まるのは入社後というのがほとんどです。
それがギャップやミスマッチが生まれる要因にもなっています。

また学生の場合は、外側から見た華やかなイメージを抱きがちです。
入社前には女性が活躍できる会社だと思っていたのに、配属された支店では旧態依然とした意識のおじさん社員ばかりだったということもあります。

入社前の説明会等では、企業側も良い面のアピールに偏りがちでしょう。
企業・学生双方に、ウソはつかないけれど不利な情報を積極的に言わないのは同じでしょう。

そのためにOB訪問やインターン制度で、できるだけ企業の実態に触れることが大切なのですが、入社後に気が付く人が多いということでしょう。

<対処法>
説明会等のアピールは企業方針に則っているので、現実に行き渡っていないとしてもアピールの内容が目指す方向性です。
会社の目指す方向に向かって現実とのギャップを埋めるような努力をすれば、評価が高くなります。

希望の配属先と違った場合は、将来のためのキャリア形成の一環と考えることです。
実際に商社などでは、人材育成のために長期的視野で複数部署を経験させることが多いです。
今の部署で仕事を覚え貢献することが、希望の部署に行った時・将来に必ず役に立ちます。

3-1-3. ミスが多いと「仕事が合わない」と思う~仕事のミスが多いのは基礎能力不足

新入社員は、ポカミスや社会常識・経験不足によるミス軋轢などが多いものです。
度々ミスして叱られると「この仕事は自分に合わない」と考える人も多いようです。

また仕事の現実を知らない入社前は、仕事に必要な能力とは簿記や語学力・ITスキルのような専門スキルだと勘違いする傾向にあります。

自分は専門スキルがあるのにミスをするのは「仕事が合わない」からだと勘違いする人もいます。
確かに専門スキルも必要ですが、新入社員の場合はそれ以前にコミュニケーション力や主体性・自己管理能力といった基本的な仕事能力がより求められます。

日々の業務は流れであり、人同士の関りの中で行われるものです。
基本の仕事能力が不充分だと、業務がスムーズに行かずミスや軋轢につながります。
新入社員の場合、仕事が出来るかどうか?は基本的な仕事能力があるかにかかっています。

<対処法>
・社会人基礎力を身につける(※)
・ミスは誰でもある。ミスの原因を知り、ミスから学び対策を考えることが大事。

※社会人基礎力については、「「仕事が合わない」は甘え?転職すべき?原因と正しい解決策」の記事で詳しく解説しています。

3-1-4. 既存社員と自分とのギャップ

入社してから、既存社員と自分の能力ギャップに気付く場合があります。
①周りはこんな優秀な人達ばかりなのか?自分の能力でやっていけるかな?
②周りはこの程度?レベル低すぎ!話がかみあわない!

<対処法>
①それでも採用されたということは、今は出来なくても出来る力があると判断されたからでしょう。

新卒採用は「ポテンシャル重視」なので、期待値です。周囲から吸収し、勉強して努力するしかありません。それが出来れば、自分にとって非常に大きな成長になり仕事力がつきます。

新卒だからこそ仕事を覚えるまで猶予があり力を蓄えることが出来る、新卒のメリットです。

②同じ期待値でも、周囲に良い刺激を与えて欲しいという期待かもしれません。
ただ「周りはこの程度?」と思ったのが勘違いということも多々あるので、自分を過信せずしっかりと状況を観察することが大事です。

くれぐれも周囲の人を見下してはいけません。そういう気持ちを持つと、必ず人間関係が悪くなります。
他の人の仕事を手伝ったり周囲と協調して、チーム全体がレベルアップすれば、評価が高まるでしょう。

3-2. 人間関係が良くなかった

人間関係はどの年代でも上位に来る離職理由ですが、勤続年数が長いと同僚との人間関係の問題が多くなります。
新卒後間もない時期の人間関係と言えば、上司(指導役の先輩)との関係が大きいでしょう。

原因のひとつは、新卒者が仕事における人間関係に馴れていないということです。
学生時代までのぬるま湯的な人間関係・経験を基準にすることと、実社会とのギャップです。

学生時代までは

  • イヤな相手なら、自分から遠ざかればよい
  • お互いに傷つくようなキツイことを言われることも言うこともなく、「ビミョウ」で避けてきた
  • 相手と真剣に議論することがなかった(必要がなかった)
  • 責任を負うことがないので、少々の失敗や曖昧さも許される
  • 学校教育では丁寧な指導があり、指導に従っていればよかった
  • 付き合う相手はほとんどが同世代の友人で、中でも価値観の共通する人

仕事の現場では

  • 小さなミスが大きな損害や危険につながるので、容赦なくミスを指摘され怒鳴られることもある
  • 会社では年代も価値観も多様な人が集り、否応なく日常的に接する
  • 日常業務が優先で、新卒に手取り足取り教える余裕がない
  • 職場の上司は、仕事のプロではあるけれど指導のプロではない
  • 新卒の心情を察しながらミスを注意してくれるわけではない
  • 新卒と上司の関係では、上司の言うことに逆らえない

このように学生時代と仕事の現場では、多くのギャップがあります。
学生時代は利害に関ることはほとんどありませんが、企業活動は全て利害に関ります。
それが仕事の厳しさです。

新入社員で「人間関係が良くなかった」と思うキッカケは、上記のギャップから生じることです。

例えば、些細なミスで先輩に叱られた ⇒ 先輩はいつも重箱の隅をつつくようにうるさい事を言う ⇒ 先輩が嫌いだ ⇒ 先輩にその気持ちが伝わり先輩から嫌われるというようにして人間関係が悪くなります。

「上司に言われた通りやったのに、やり直しさせられた」こんなことは良くあるでしょう。
仕事では10の事を10教えてくれるわけではなく、重要なポイントだけ指示されることが普通です。

「きちんと指導するのが当然」というのは授業料を払っている学生の価値観です。
指示が不充分と考えるか、どこが違うのかを考えるかで成長や意欲に差が出ます。

中には本当に理不尽な事を言ったり、明らかに無駄な仕事をやらせる上司もいるでしょう。
そういう人は仕事の出来ない人ですが、そんな人はどこの職場にもいます。
ですから、無能な上司のために入社早々仕事を辞めるのは損です。

新入社員の場合は、半年とか1年で適性を見直して再配置する企業もあります。
しばらくは社会勉強だと思って、「こういう人もいるんだなぁ」と人間観察することです。
但し、パワハラなど重大な問題のある場合は人事部や労働相談窓口に相談しましょう。

<対処法>

  • 人間関係が悪くなったキッカケや原因を考え、自分に問題のある場合は改善する
  • 学生時代の価値観で考えていないか?見直してみる
  • 自分と相手(上司・先輩)の価値観や立場の違いを理解し、相手を尊重する努力をする
  • 企業や仕事の目的・価値観が優先されるので、それに合せて考えることが大事
  • 仕事は自ら覚えるという主体性を持ちながら、謙虚に教えてもらう姿勢を持つ
  • 他人や会社のせいにしないで、自分に何ができるかを考え実行する

※職場の人間関係については、「人間関係で仕事を辞めたい!後悔しないための原因別13の対処法」の記事で詳しく解説しています。

3-3. 労働時間や休日の条件が良くなかった、採用時説明の労働条件と違った

労働時間や休日については、入社前にある程度の説明や資料があります。
しかし、有給があっても取りにくい職場や繁忙期は長労働時間があるなど、職場や部署によって差があるのも事実です。

日本労働組合総連合会の調査(※)では、46%の人が「残業が恒常的」だと回答しています。
また、採用時の説明と実際の雇用条件・待遇が異なっているという回答も14.2%あります。

Q:卒業後に就職した会社で、職場における労務管理上の問題としてあてはまるもの

  • 時間外労働が恒常的である=46%
  • 有給休暇が取得できない人が多い=35.4%
  • 仕事に見合わない低賃金である=30.1%
  • 精神的に不調になり辞める人が多い=26.3%
  • サービス残業がある=25.2%
  • 募集要項や採用時の説明と実際の雇用条件・待遇が異なっている=14.2%

(複数回答)

同じ調査によると、入社時に労働条件を書面で明示されたのは、全体で66%にとどまっています。10人以下の小規模事業所では47.2%と半数以下です。

労働基準法では、労働時間や賃金などの労働条件を記載して書面で交付することになっています。書面で明示するよう要求できます。

Q:入社時に労働条件を明示されたか?

書面で渡された 社内ネットでの掲示や口頭の説明 書面も何も説明なし 覚えていない
全体 66% 16.1% 5% 12.9%
1~10人 47.2% 27.8% 11.1% 13.9%
11~50人 54.8% 17.3% 7.1% 11.9%
51~100人 58.9% 21.7% 7.0% 12.4%
101~300人 66.5% 18.3% 2.5% 12.7%
301~1000人 72.1% 13.5% 4.5% 10.0%
1000人以上 71.4% 8.6% 4.5% 15.4%

(※)日本労働組合総連合会「内定・入社後のトラブルに関する調査」2016年4月 大学卒業後に新卒正社員として就職した2年~5年の男女1000人

労働時間については会社全体の問題で、新入社員が個人の努力で改善できるものではありません。新卒の場合はシフト勤務で深夜勤務などに回されることが多いとか、勤務時間外に研修やイベント参加などもあるでしょう。

ただ、労働時間が辛いか?辛くないか?という点では、個人の努力で改善できることがあります。
まず試してみましょう。

<対処法>

①健康管理
新入社員の場合、学生時代の夜更かしなどの生活習慣を引きずっていることが多いです。
若さを過信して健康管理の意識が低く、休日に遊びすぎて生活リズムを乱すなどの傾向もあります。長時間労働の上に生活リズムの乱れが重なると、辛さが倍増します。

自己管理・健康管理も仕事能力のうちです。

②仕事への意欲
自分で起業している人は、毎日14~15時間、休みなしに働いていても「辛い」とは感じないでしょう。仕事への意欲があり、時間の裁量権が自分にあるからです。

新人の場合は労働時間の裁量権はないですが、仕事に楽しみを見つけると辛さは確実に減るでしょう。

長時間労働は、メンタル不調やうつ病の原因になることもあります。朝から疲労感がある、何をするにも意欲が涌かない、疲れているのに眠れないなどが毎日続くようであれば専門医の診察を受けましょう。

長時間労働が続き、会社側に改善の姿勢がなければ、厚生労働省の総合労働相談コーナーに相談してみましょう。労働基準監督署内など全国380ヶ所にあり無料です。

3-4. ノルマや責任が重すぎる

「新卒入社で販売の現場に行ったけれど仕事について何も指導がなく、いきなり先輩社員と同じように販売業務をやらされて、何をどうやっていいのかわからなかった」というように、新入社員なのにいきなり業務を任されるということもあります。

新人社員が「責任が重い」と感ずるのは、業務を遂行する責任でしょう。既存社員にとっては通常業務であっても、知識経験のない新入社員にとっては「責任が重い」と感じられます。

新入社員の場合は、現場の仕事の知識が充分ではなく、そのために研修教育があります。
76.9%の事業所では新人研修や指導がありますが、研修や指導がない所も23%あります。(※)

研修や指導があったとしても、現場の仕事を覚え馴れるまでは時間もかかります。

自ら仕事を覚えるのは必要ですが、業務の概要やフロー、職場毎のルールなど必要なことは教えてもらわないと仕事になりません。
先輩社員の指導やフィードバックがあると早く仕事を覚えてやりがいも感じられます。

現実は、人手不足で新人社員に教えるヒマもないという所も多いようです。
連合の調査によると研修や指導がない事業所は新入社員の離職率も高い傾向にあります(※)。
特に1年以内では、研修指導無しの事業所では、有りの所より離職が2倍になっています。

勤続中 辞めた合計 1年以内に離職 1年以上で離職
研修・指導有り 64.2% 35.8% 19.7% 16.1%
研修・指導無し 42.0% 58.1% 38.6% 19.5%

(※)日本労働組合総連合会「内定・入社後のトラブルに関する調査」2016年4月 大学卒業後に新卒正社員として就職した2年~5年の男女1000人

<対処法>
①新卒の場合、いきなり重要な仕事を任されることは少ないですが、仕事を任された時は、必ず目的・期日・要求される内容・役割などを確認します。新卒1人ということはないでしょうから、チームの先輩や上司にどのように進めていくかを相談するのが一番です。

②指導がない場合は、自分で学んだ知識からフローやマニュアルをまとめる、上司や先輩の空き時間または就業時間外に質問する、ということをして自分なりの仕事マニュアルを作ることです。後輩が入社してきた時に大変役立つでしょう。後輩を育てることは自分も助かり成長します。

ノルマについては、問題のある場合があります。

過大なノルマや「自爆営業」といわれるもので、売上目標達成のために従業員に買い取らせたりする行為です。

労働基準法で、給与は全額現金で支払うと定められています。ノルマを達成できなければ買い取らせる行為は「給与の一部を物品で支払った」と見なされる可能性があります。

つまり法律違反の可能性もありますので、あまりに過大なノルマの場合は労働相談センターや労働基準監督署に相談しましょう。

ノルマと言うと、営業関係のことと思う人もいるかもしれませんが、経営者は目標売上達成というノルマを負っているわけです。幹部や管理職の立場の人も連帯して、広く言うと会社全体が株主に責任を負っていると言えます。

新入社員であっても、会社目標達成のための一翼を担っているという意識は大切です。

3-5. 賃金の条件が良くなかった

上記3-4で述べたように、入社前の説明と入社後の労働条件が違ったというケースもあります。

①入社前の提示が、残業代込みになっている場合があります。
こういう提示では、残業が少ない場合は、思っていたより賃金が低いということになります。

②また「○○手当て」などと称して、残業代を一定額で足きりする場合もあります。
こういうケースでは何時間残業しても手当て額以上は出ないでしょう。

③提示された額面と手取り額は違います。
手取り額は[基本給と各種手当+残業代]から控除(社会保険料や税金等)を引いたものです。
額面の提示額と控除後の手取り額は当然違うので、思ったより手取り額が低いと感ずることはあるでしょう。

いずれにしても疑問に思ったら、雇用契約の内容や給料明細を確認してみましょう。

ただ、新入社員で「賃金の条件が良くなかった」で辞めたくなるのは、他にも理由がありそうです。
例えば、職場の皆が優しくて仕事にやりがいを感じていれば、多少賃金が低くても辞めたくはならないでしょう。

他にも色々不満があって、「この給料じゃ、やってらんない!」ということなのではないでしょうか?辞めたいと思った理由・不満を考えてみましょう。

4. 新卒入社で間もないけれど、こういう人は辞めていい

キャリア形成のためにも、新卒後初めて入社した会社で3~5年程度は勤続して仕事力を培うのが望ましいです。しかし問題企業など、早く辞めた方が良いという場合もあります。

4-1. いわゆるブラック企業と言われるような会社

厚生労働省の「労働条件に関する総合情報サイト」では下記のように呼びかけています。

『厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。
このような企業に就職してしまった場合の対応としては、第一義的には会社に対して問題点の改善を求めていくことが考えられます。しかしながら、新入社員が単独で会社に問題点の改善を求めて交渉等をするのは現実的には非常に難しいと考えられます。したがって、問題点に応じて、外部の関係機関や労働組合に相談することも有効な手段と考えられます。』

引用:厚生労働省「労働条件に関する総合情報サイト

厚生労働省では、無料で相談できる窓口を紹介しています。

・労働条件・相談ほっとらいん(電話)0120-811-610(月~金=17時~22時、土日=10時~17時)
(メールでの相談はサイトから申し込んでください。)
・都道府県労働局・労働基準監督署及び総合労働相談コーナー

4-2. うつ病になりそうな(なった)時に、会社側の協力が得られない場合

長時間労働など原因が職場や業務にある場合は原因を取り除くことが難しく、業務変更・配置転換や休職などが選択肢になるでしょう。

受診して医師の助言を得て、原因への対応・改善について上司や人事部に相談しましょう。
もし診断書を添えて申し出ても協力が得られない会社であれば、自衛手段として辞めるのも有りです。健康を害しては、何にもなりません。

うつ病が深刻になると、治療に長い時間がかかりますので早期治療が大切です。

休職制度は会社毎に違い、1年以上勤続などという条件付の所もあります。
就労規定などを確認してみましょう。

※うつ病の仕事と転職については、こちらの記事で詳しく解説しています。
・「うつ病になったとき仕事はどうするか【保存版】対策や治し方まとめ
・「うつ病で転職に成功する方法。復職・休職から失敗しない注意点まとめ

4-3. 希望する転職先が決まっている人

「自分の行きたかった就職先が見つかった」という人は、円満退職して新たな出発を目指すと良いでしょう。
但し、転職先がブラック企業でないか?離職率が高くないか?常に大量募集していないか?などをチェックしてみましょう。
従業員数の少ない事業所の場合は、必ず経営者と会って良く話してみましょう。

5. 新卒1~2年で転職する場合のポイント・注意点

新卒後、短期間での離職は不利ですが、2社目にまた問題企業に入社して短期間で辞める…と短期間で2回以上転職していると甚だしく不利になります。新卒後初入社の会社を辞めるのであれば、次は長く続けられる会社を第一に選ぶことです。

短期離職して転職する場合は、転職理由と仕事への姿勢が非常に重要になります。
相手先は短期間で辞めていると「すぐに辞めるのではないか?」という目で見るからです。

おまけに新卒1~2年では、ほとんど社会人経験は認められず実績は無いに等しいです。
マイナスの不信感を払拭して、仕事への取組み意欲を認めてもらわなければなりません。

5-1. 辞めたい場合にやるべきこと~在職中に転職活動をすること

1年未満で辞めると失業保険も受給できませんから、転職先を決めてから辞めることです。
退職した後に転職活動をすると、焦りから納得行かない転職や問題のある会社に入社してしまい、また転職ということにもなりかねません。

短期間で辞める場合は厳しいですから、転職エージェントに登録してサポートしてもらいながら焦らずに探しましょう。

第二新卒に強い大手の転職支援サービス(おすすめ)
リクルートエージェント:国内最大手ですべての人におすすめ

doda:国内2位で求人数が多いのでサブにおすすめ
マイナビエージェント:面談に時間をかけてくれるので書類や面接対策でおすすめ

第二新卒に特化した転職支援サービス
ハタラクティブ

転職活動の中で、自分の市場価値などを客観的に見直してみましょう。
その上で、やはり続けた方が良いという判断もあるでしょう。

5-2. 辞めたい理由を考える

辞めたい理由を全て書き出してみましょう。

不満や原因を曖昧にしたままでは転職しても同じことの繰り返しになります。
自分に問題のあることは、まず今の職場にいるうちに改善の努力をします。
転職する場合も、改善努力の具体例は役に立つでしょう。

  • 自分はどんな働き方・生き方をしたかったのか?
  • そのために仕事に何を求めるのか?今の職場では実現出来ないのか?
  • 転職によって何を解決したいのか?自分にとって何が一番大切なのか?
  • そのために自分は何をするべきなのか?

などをもう一度考えてみましょう。
転職を成功させるためにも、優先すべきことをしっかり把握することです。

5-3. 転職理由を考える

短期離職の場合は、実際は「今の職場がイヤだ」というネガティブな理由が多いでしょう。
その気持ちを整理して、一貫性のある転職理由を組み立てる必要があります。

  • 最初の会社は、何をしたくて、どういう理由で選んだのか?
  • それが、なぜ短期間で辞めることになったのか?
  • 自分に何が出来るのか?短い間で何を学んだのか?
  • 次の会社で何をしたいのか?その会社で実現できるのか?

やむを得ない事情や反省点は素直に認め、一貫性のある前向きな転職理由が大切です。

3年以上勤続の第二新卒は人気ですが、短期間離職の場合は厳しい現実があります。
また、新卒の就職活動と転職活動では違いがあります。

自分だけで転職活動するより、転職エージェントを活用してアドバイスを聞いた方が客観的に自分を把握できます。転職エージェントはマッチングのプロですし、求人情報も持っています。

仕事を辞めたいと思ったら、実際に転職するかは別として、登録して相談してみましょう。

転職エージェントの登録・利用は無料です。第二新卒に特化した所や総合大手など色々ありますから、自分の相性の良い所を捜すと良いでしょう。

6. まとめ

新卒入社後のミスマッチは、多くの人が経験しているでしょう。

しかし、新卒後の短期間で離職するのは非常に不利です。余程の問題がない限り、安易に離職せず社会勉強だと思って、最低1年以上、できれば3年は勤続することが望ましいです。

「仕事を辞めたい」と思うことは誰でもあります。新卒ならば尚更でしょう。
しかしデータで見てきたように「仕事が合わない」などの理由は、一時期を乗り切れば軽減していくことです。それは仕事を続けることによって、色々なことを学び成長した証ともいえます。

「仕事辞めたい」と思った時は、自分を振り返るチャンスでもあります。
短期間でも社会で働くと、学生時代とは違う視点で仕事や人生を考えられるでしょう。

「若い時の苦労は、買うてでもせよ」ということわざがあります。
20代に力を蓄えることが、将来の飛躍につながります。

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記事更新日:2018年10月10日

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