外資系生命保険会社への転職【保存版】求人動向や転職ノウハウ、年収や企業一覧まとめ
外資系の生命保険会社(以下、外資系生保)へは、キャリアやバックグラウンド、転職理由も様々な人々が転職してきています。彼らには共通している転職のコツがあります。
また、入社後に後悔しないためにも、事前に確認しておくべきポイントがいくつかあります。
ここではそうした外資系生保への転職攻略のコツと、外資系生保の収入や待遇、仕事内容、社風など事前に知っておくべきポイントをお届けします。
これから外資系保険会社に転職をお考えの方は、ぜひご活用ください。
なお、外資系生保での職種は、「内勤」と呼ばれる一般的な業務全般を行う職種(企画・商品開発・マーケティング・システム開発・人事・経理等)と、「営業職員」とに大きく分かれます。
営業職員は、一般的に歩合制の給与であることが多く、社員というよりも個人事業主的な要素を持つケースが多いので、この記事では「内勤」に絞ってご説明をします。
目次
1. 外資系生命保険会社とは?
1-1. 日本の外資系生命保険会社の歴史
日本で初めての生命保険会社は1881年の明治生命設立にさかのぼります。その後、生命保険業界が大きく動いたのは1970年代ごろのことでした。
それまでの「死亡保障」中心の保険から「医療保険」の商品が増え始め、医療保険分野を得意とする外資系生保が日本に参入しはじめたのです。その1番手は1973年のアリコジャパン、次いで1974年のアフラック(アメリカンファミリー生命)です。
この2社の参入のあと、しばらくして
1979年 ソニー・プルーデンシャル生命
1985年 アイエヌジー生命
1985年 オリックス生命
1996年 チューリッヒ生命
2000年 カーディフ生命
2000年 ハートフォード生命
等、参入が続きます。
そのほか、経営破綻した日系の生命保険会社を買収しているケースも見られます。
たとえば、日産生命を買収したプルデンシャル生命(買収先:日産生命)、アクサ生命(同:日本団体生命)、GEエジソン生命(同:東邦生命)、AIGスター生命(同:千代田生命)、ジブラルタ生命(同:協栄生命)などが挙げられます。
1-2. 主要な外資系生命保険会社
現在、一般社団法人 生命保険協会の加盟会社一覧に記載されている主要な外資系生命保険会社は下記の通りです。(平成28年7月19日時点)。
- アクサ生命保険株式会社
- アフラック
- エヌエヌ生命保険株式会社
- カーディフ生命保険会社
- クレディ・アグリコル生命保険株式会社
- ジブラルタ生命保険株式会社
- チューリッヒ生命
- プルデンシャル生命保険株式会社
- マスミューチュアル生命保険株式会社
- マニュライフ生命保険株式会社
- メットライフ生命保険株式会社
保険会社の財務的な健全性を測る指標として、S&P(スタンダ-ド&プア-ズ)等による格付けや、ソルベンシー・マージン比率などがあります。こうした情報は、各保険会社の決算資料やディスクロージャーによって公開されています。
あなたの関心のある会社が継続的に日本で経営を続けていかれそうか、こうした指標を確認して経営の安全性を知るのも良いでしょう。
2. 外資系生命保険会社の転職で有利になる自己PRのポイント
2-1. 職種に関連する能力が、その道のプロであること
外資系生保の業界で最も求められる能力は「業務上の即戦力」です。つまり、“その道のプロ”、社内で育成する必要のない、実務的に完成された人材が望まれます。
自分のキャリアに応じ、例えばマーケティング・ブランディング・システムエンジニア・経理など、それぞれの職種について知識と業務経験を十分備えていることが採用の第一条件です。
2-2. 保険に関する知識は入社時にはあまり問われない
生命保険に関する知識や業界経験は、入社時にはあまり問われません。
実は、生命保険業界で働くためには必ず全員が「一般課程」と呼ばれる試験に合格する必要があるのですが、その学習過程で必要な保険に関する基礎知識を得られるからです。
この「一般課程」試験は、一般社団法人生命保険協会が実施しているもので、新たに生命保険の募集(つまり営業)をする人として、“募集人”の登録をするために合格が必要な試験です。
実際には営業職に限らず、保険会社に勤務する人は特別な例外を除き、すべてこの一般課程試験受験し合格することが求められます。
生命保険会社に入社すれば、会社からの指示で教材を提供され、多くは独学での合格を目指します。ただし、満点合格も珍しくないほどなので、難易度としてはあまり心配する必要はありません。
ちなみに、「生命保険一般課程試験」のほかにも、「生命保険専門課程試験」「変額保険販売資格試験」「生命保険応用課程試験」「生命保険大学課程試験」「生命保険講座試験」など、多くの業界共通の教育・試験制度を通じて、生命保険に関して学びを深める機会は充実しているといえるでしょう。
2-3. 語学力の必要度はポジションに左右される
外資系企業への転職を目指す人にとって、最も気になることのひとつは「英語ができないといけないの?」ということではないでしょうか。
語学力の必要性は、職種とポジションによって大きく左右されます。
一般的に、人事・総務・システム等、海外とのやり取りが発生しづらい職種や部署であれば、職場環境は日系企業とほとんど変わらず、英語を全く必要としない可能性も大いにありえます。
とはいえ、外資系企業である以上、「英語力ゼロ」というのでは採用する側としても不安が生じます。英語を必要としなさそうな環境であっても、TOEICで600点以上は最低限必要と考えたほうが良いでしょう。
一方、マーケティングやブランディング等、海外の本社の意向に大きく影響されるような部署である場合、実務で使える英語力が必須です。実務で使える英語力とは、TOEICでいえば800点以上が最低ラインとなるでしょう。
ただし、TOEICはひとつの目安に過ぎず、たとえスコアが芳しくなくても実際のコミュニケーションに苦労しないということが明白であれば構わないこともあります。
逆に、実践的な英語力に不安のある人はTOEICのスコアを上げておくことで、英語の基礎をきっちり学んでいるという姿勢を示すことも重要です。
また、職種以外に、ポジションに応じた英語能力も考える必要があります。
マネージャークラスとして転職するのであれば、どの部署であっても実務的な英語力は必須です。また、このクラスになれば社内の重要な情報は英語で流れてくる場合が多いので、英語ができるほど情報収集量が高まることは言うまでもないでしょう。
2-4. コミュニケーション力は日系よりも重要な部分も
外資系=実力主義=一匹狼、といったイメージを持たれがちですが、意外にも日系企業よりもコミュニケーション力が重視されます。
日系企業では終身雇用が前提で(最近はそうでないケースも多いですが)、基本的には慣れ合った仲間や生え抜き同士でプロジェクトチームを組むことが基本です。
しかし外資系生保では、「中途入社組」が多く、プロジェクトメンバーが入れ替わることもしょっちゅうです。その度に、打ち解けるまでに時間がかかるようではいくら即戦力があっても仕事にならないのです。
また、リストラなど「誰かを辞めさせなければならない」ときに、社内で守ってくれる人がいるかどうかは非常に重要です。
外資系ではコミュニケーション力の高さが生存競争を勝ち抜けるかどうかに直結していることを理解しておきましょう。
3. 外資系生命保険会社への転職を成功させるコツ
3-1. 外資系生命保険会社の求人時期
基本的には欠員の補充というケースになるので、季節による求人時期というのは決まっていません。こまめに情報を確認しましょう。
3-2. 書類選考で見られるポイント
「その道のプロ」が求められますので、会社が変わってもキャリアが一貫しているかどうか、十分な実績を積んでいるか、が最も重要です。
もし、キャリアチェンジがあった場合には、それがキャリア構築上ポジティブなチェンジであり、根柢の方向性は変わっていないなど、書き方に工夫をしましょう。
3-3. 面接回数とその理由
多くの場合は、下記のように、通常3~4回の面接を経ます。
① 直属の上司(課長クラス)
→ 期待通りの実務能力があるか、一緒に働いて気持ちの良い人かどうかが見られます。
② 部署のマネージャー(部長クラス)
→ 課長の判断の確認とともに、部署全体のバランスを見て適した人材かどうかを判断します。
③ 役員クラス
→ 将来の上級管理職として適切な人材かどうかを判断します。このクラスの面接が入るのは、マネージャー以上のポジションの場合が多く、一般社員の場合は割愛されます。
④ 人事担当
→ 条件面で齟齬がないかどうかの確認が主な内容です。
当然ですが、①の面接をクリアしないと先に進めませんので、最重要なのは①となるでしょう。
3-4. 面接で見られるポイント
書類に記載された実務能力が期待通りで、転職先でも通用するかどうかが確認されます。具体的な仕事内容の話となり、そこで出てくる職種上の専門用語を含め、「共通言語で話のできる相手かどうか」が見られています。
また、当然ながら、一緒に働いていて楽しい人か、周囲とトラブルを起こしたりしないかどうか、ということも重要な面接のポイントとなっています。
一方、面接は、あなたが職場環境を確認するための場でもあります。
職場の雰囲気や仕事のやりがい、ステップアップの可能性、残業や休暇の取得状況など、気になることを質問して転職するかどうかを判断しましょう。
ただし、質問内容が待遇や休暇の話だけに終始していては良い印象とならないのは外資系に限らずどこの企業でも同じだと考えてください。
3-5. 外資系生保の転職でおすすめ転職エージェントと活用方法
転職エージェントとは、厚生労働大臣から認可を受けた職業斡旋所です。自分で転職情報を探す転職サイトとは異なり、それぞれの業界に詳しいプロの転職コンサルタントが相談に対応してくれます。
また、転職の斡旋が成功した場合に、斡旋を受けた側の企業から転職エージェントが報酬を受けるため、コンサルタントの活動も熱心です。
外資系生保では、より迅速に効率的な欠員補充をするために、複数のエージェントに声をかけて最適の人材を選ぼうとします。したがって、エージェントに登録しておくと、より多くの転職の機会や情報が得られます。
外資系企業への転職に強いエージェントとしては下記が挙げられます。
・JAC Recruitment(特におすすめ)
・リクルートエージェント(おすすめ)
・doda(おすすめ)
・パソナキャリア
・ランスタッド
特に「外資系生保」にまで特化した強みをもつエージェントは今のところないようですが、逆にいえば、どのエージェントからも転職のチャンスが発生します。
複数登録しておき、機会を広げておくことをお勧めします。エージェントに複数登録しておくことでデメリットや問題は特にありません。
3-6. 転職スケジュールの注意点
仕事の空白期間がないようにするためには、転職先の採用内定をもらってから退職届を現在の職場に提出することになります。退職届をいつまでに出す必要があるかは、現在の職場の就業規則を確認しましょう。
とはいえ、仮に就業規則では1カ月前とあっても、「現状のプロジェクトを終わらせるのに2か月かかる」、「残務整理1カ月に加えて2週間の有給休暇を消化したい」など、色々な事情もあるでしょう。
もし、内定から転職先での業務開始までが2か月以上かかるような場合は、状況を転職先に率直に相談することが最も良い解決方法です。
通常であれば、正当な理由と認められれば、必要な期間は待って頂けますが、転職先もすぐに欠員補充をしたいからこそ採用活動をしているわけで、3か月以上の待機期間となるとはじめから心象を悪くする恐れがあります。
そのあたりは相談と譲歩で決めましょう。
3-7. 転職者のバックグラウンド
他業種からの転職であったり、競合他社からの転職であったりと様々ですがほぼ共通しているのは「前職と職種が同じで即戦力と判断されている」ということです。
特に「日系企業からの転職」や、「保険業界以外からの転職」であることでの不利なことはありません。
また、「競合他社間からの転職」で居づらいようなこともありません。
むしろ、外資系生保では競合他社間での転職は比較的よく見られるケースです。
中途入社組のバックグラウンドは以上のように千差万別です。周囲と同じ・違うということは気にする必要はないでしょう。
3-8. 仕事のやりがい
日本における生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は89.2%にも達します。
(参考:公益財団法人生命保険文化センター 「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」)
日本人の世帯において生命保険の存在は大変大きく、社会的な意義も大きな業種です。そういった意識で仕事に取り組めば、やりがいの大きな仕事と考えられるでしょう。
一方で、保険業は監督官庁が金融庁であり、保険業法という法律をベースにしている制度なので、変化も少なく、規制の大きい業界でもあります。その意味で、アクティブな変化を求める人にとっては、やや物足りなさを感じる点もあるかもしれません。
自分のワークスタイルやライフスタイルに合った業界であるのかどうかは、事前によく考えましょう。
4. 外資系生命保険会社の年収と待遇
4-1. 外資系生命保険会社の年収・給料の目安
国税庁が発表している「平成27年度分 給与所得者の1人当たりの平均給与」によると、平成27年度分の平均給与は420万円(対前年比1.3%増)であり、これを男女別にみると、男性521 万円(同1.2%増)、女性276 万円(同1.4%増)となっています。
なお、平均給与を業種別にみると、最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の715 万円、次いで「金融業,保険業」の639 万円 となっており、保険業界は一般よりも給与水準の高い業界であるといえます。
参考:国税庁 「平成27年度 民間給与実態統計調査」
日系の場合は年功序列で昇給していきますが、外資系生保の場合は転職したときのポジションや、はじめの年収が決まり、さらにそのあとの業績によって大きく変動します。
実力で、より多くの年収を狙うことができます。したがって、日系と外資系の間での給与水準比較というのは難しくなりますが、「安定した昇給を目指すなら日系、実力でさらに上を目指したいなら外資系」と言えるでしょう。
注意点として、他の外資系金融(投資銀行、証券等)と比較すると外資系生保の給与水準は低く、
よく言われる「外資系金融」の数千万という年収やボーナスをイメージすると、やや期待外れとなるかもしれません。
「一般の日系企業会社員」よりは恵まれた水準であるという程度の認識にとどめましょう。
4-2. 福利厚生
業界柄、人間ドックなど健康増進のための補助や、自社保険加入の割引等は整っているケースが多いですが、社宅や家族手当等、日系企業のように手厚い福利厚生はないものと考えたほうが良いでしょう。福利厚生の分まで、すべて給与に含まれているものとして考えてください。
5. 知っておきたい日系生命保険会社との違い
5-1. 外資系の評価と昇進システム
あなたの直属の上司のパフォーマンス向上や昇進にいかに貢献できたかが、そのままあなたの評価につながります。そうして上司を押し上げていくことがあなたの昇進ポストを作り出していくという感覚を覚えておくべきです。
とはいえ、こうした努力の結果、上司が昇進したからといって、空いたポストにそのままあなたが入れるとは限りません。突然のヘッドハンティングで全く知らない人がそのポストに翌日から「割り込み」してやってくることもおおいにありえます。
こうした外資系のシステムにおいては、時にモチベーションを見失うようなこともあるかもしれませんが、ただこれもすべて「即戦力」を最重視する外資系ならではの人事だと割り切り、次の機会を待つだけではなく、アピールもしていきましょう。
5-2. 外資系生保の社風
外資系特有の、上司や部下も比較的フランクに付き合える風通しの良さがありますが、入社、退社など人の出入りも多いため、日系企業からの転職者にとっては人間関係がややドライに感じてしまう点もあるかもしれません。
とはいえ、生命保険業というイメージ重視の業界でもあり、全体にはソフトな社風の会社が多いといえるでしょう。
気を付けるべき点として、社風とは別に部署の雰囲気というものがあります。
部署の雰囲気は上司、マネージャー次第です。たとえば会社ではノー残業を推進しながら、部署では体育会系の部長が連日遅くまで残っていて帰りづらい・・・というようなことも起こりえます。
直属の上司やマネージャーの気質、あなたとの相性は、事前の面接でよく確認しましょう。
5-3. リストラの実態
一般の社員レベルでは、「明日から来なくていいです」というようなドラマのようなリストラは実際には少ないですが、部署の再編で次の席がないことを告げられることや、部署そのものがなくなってしまうようなケースはありえます。
日系企業に比較して、雇用は不安定であるとの覚悟は持っておいたほうがよいでしょう。
6. 外資系生命保険会社への転職メリット・デメリットまとめ
6-1. メリット
- 日系企業からの転職であれば、収入アップが期待できる
- 試験等が多く、学び続けやすい環境がある
- 社風は一般的にソフトである
6-2. デメリット
- 変化が少なく規制の大きい業界なので、物足りなく感じる可能性もある
- 日系企業に比べれば雇用が不安定
6-3. 外資系生命保険会社に向いているのはこんな人
- 比較的恵まれた収入を得ることを最重視する人
- 勉強が好きで、保険や金融、マネー情報に詳しくなりたい人
- 変化にとんだ刺激的な毎日よりも、地道に過ごしたい人
まとめ
外資系生保への転職は、ひとつ強みを持っている人で、そのアピールの仕方を間違えなければ難しくはありません。むしろ重要なのは、転職後にいかにイキイキと働けるかということです。
収入や待遇、仕事内容、社風などの中で自分が重視するポイントをしっかり見きわめて、多くの外資系生保の中から、あなたに合った一社を選びましょう。