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記事更新日:2019年01月06日

給料から天引きされる仕組みの会社員とは違って、個人事業主になると税金はとても身近な存在です。
「今年はいくら払うのかな?」と不安になることもしばしば・・。

そこで個人事業主が関わる税金をまとめました。ほとんどの個人事業主の方にとって関わってくる税金は大きく4つあります。個人事業主が関わる税金の種類・要件・申告方法などをご紹介します。

目次

1. 基本中の基本「日本の税金制度」を知ろう

個人事業主の税金について解説する前に、まず覚えておきたいのは日本の税金制度です。

よく耳にする税金と言えば、所得税や消費税、酒税、たばこ税、相続税などだと思いますが、これらの税金をジャンル別に分ける方法がいくつかあります。
代表的な分け方は、納める相手によって分ける場合と、納める方法によって分ける場合があります。

1-1. 税金を納める相手による違い

まず税金の違いを区別する一つ目の方法は、税金を収める相手による違いです。税金は国税と地方税に分けられます。

種類 誰に納める?
国税 所得税、法人税、消費税、相続税など
地方税 地方自治体(都道府県や市町村など) 住民税、固定資産税、自動車税など

国税とは国に納める税金のことです。所得にかかる所得税や法人税、物を買ったときなどにかかる消費税、相続した際に必要な相続税などが国税です。

一方、地方税は都道府県や市町村などの地方自治体に納める税金のことです。住民税や固定資産税、自動車税などがあります。

1-2. 税金を誰が納めるかの違い

税金を誰が納めるかによって直接税と間接税という分け方もあります。

種類 誰が納める?
直接税 税金を払う人と納める人が同じ 所得税、法人税、相続税など
関節税 税金を払う人と納める人が違う 消費税、酒税、たばこ税など

納税義務のある人が国や地方自治体に直接納めるのを直接税、税金を負担する人と納税義務のある人が違うのを間接税と言います。

直接税で代表的なのは所得税や法人税、相続税などです。

間接税で代表的なのは消費税や酒税、たばこ税、揮発油税(別名ガソリン税)などです。
例えばガソリンスタンドでガソリンを入れる場合、利用者はガソリンの金額に税金が上乗せされた金額を支払っています。このときに利用者が負担した消費税をまとめて事業者(ガソリンスタンド)が納税しています。これが間接税の仕組みです。

これらは税金についての基本的な知識ですから、覚えておきましょう。

2. 個人事業主が納める税金は基本的に4つ

たくさん種類のある税金ですが、その中で主に個人事業主の事業に関わるのは所得税、消費税、住民税、個人事業税の4つです。(厳密にはこの他にも場合によっては必要となり、後述します)

2-1.所得税

個人事業主が納める税金の中でメインとも言えるのが所得税です。所得税とは、読んで字のごとく所得に対してかかる税金のことです。

簡単に言うと、商売をして得た儲けに対してかかる税金です。サラリーマンの場合は支給額から給与所得控除などを差し引いた課税所得に税金が課せられています。通常は、給与から税金分が天引きされて支給されます。

2-2.消費税

普段生活する中で一番身近に感じている消費税も個人事業主が納めなければいけない税金です。仕事をする際に取引業者や消費者などから預かった税金を納める形になりますが、前々年度の売上が1,000万円未満であれば納税義務はありません。

サラリーマンの場合は仕事上の取り引きは会社単位になりますので、個人として消費税を納めることはありません。

2-3.住民税

住んでいる都道府県と市町村に納める税金です。各自治体の行政サービスの充実に使われます。所得に応じて課税され、毎年6月頃に各自治体から納付書が送られてきます。

サラリーマンの場合は所得税と同様に、会社が給与から天引きして代わりに納税していますね。

2-4.個人事業税

個人事業税は事業を行っている個人に対して課される都道府県税です。
業種によって、あるいは都道府県によって税率が違い、税金のかからない業種もあります。もちろんサラリーマンには個人事業税はありません。

2-5.その他の税金

また、上記4つのほかにも事業の種類や性格によって必要となる税金があります。

・固定資産税(地方税)
家や土地などの資産を所有している場合に毎年課されます。アパート経営をしていたり、飲食店や商店などの店舗を所有している場合に必要となります。

・不動産取得税(地方税)
家や土地などの資産を取得したときに課せられる税金です。毎年支払うのではなく、取得した際に必要となります。

・自動車税(地方税)
自動車を所有している人に毎年課される税金です。タクシーやトラック運転手などをしている個人事業主はもちろん、営業車として乗用車を使っている場合は、自動車税の納税義務が生じます。排気量に応じて納税額が決まっています。

・自動車取得税(地方税)
不動産取得税と同様に、自動車を取得した際に必要となる税金です。ただし2019年10月に消費税が10%になる際に廃止される予定となっています。

・印紙税
経済取引に伴い作成される文書にかかる流通税です。領収書や不動産売買などに収入印紙を貼ることで税金を納める仕組みです。賃貸契約などの際にも必要になります。

・源泉徴収税
給与や報酬などを支払う際に、支払者が差し引く税金(所得税など)のことです。源泉徴収税額は100万円以下の場合は10.21%、100万円以上の場合は20.42%となっています。支払者が国に納付しますが、源泉徴収税額を徴収された個人事業主は確定申告によって多く徴収された税金を取り戻すことができます。

納税の義務を見落とさないためには、とくに開業1〜2年間は税理士に顧問契約をお願いするのが安全です。

次章からは主な4つの税金について詳しく解説します。

3.まずは「所得税」の仕組みを把握しよう

3-1. 所得税は「収入」ではなく「所得」にかかる

日本の所得税は、その年の1月1日から12月31日までの一年間に得た所得に対してかかる仕組みを取っています。
ただし気をつけなければいけないのが「収入」と「所得」の違いです。

個人で事業をしたり、お店を経営している場合、その売り上げが収入となります。しかし事業を営むには様々な経費が必要です。これが必要経費です。

この必要経費を収入から差し引いた金額が所得となるのです。所得税がかかるのは収入ではなく所得ですから注意しておきましょう。

3-2. 所得は10種類ある

実は所得は、本来の事業によって得られるものばかりではありません。所得税法上は以下のように10種類あり、所得として計上します。

利子所得 預貯金や国債などによって得られた利子。
配当所得 株式や出資金などによって得られた配当。
不動産所得 土地や建物を貸しているときに得られる所得。
事業所得 それぞれの事業によって得られる所得。
給与所得 給料やボーナスなどによる所得。本業以外に派遣社員などで働いた場合、いただいた給与は給与所得として所得に含めることになります。
退職所得 会社を退職して得られた所得。いわゆる退職金です。
山林所得 山林の木などを売った際の所得。
譲渡所得 土地や建物、会員権などを売った際の所得。
一時所得 生命保険の満期金などで得られた所得。
雑所得 年金など上記に当てはまらない所得。

(参考:国税庁「所得の種類と課税のしくみ」)

いくつかの事業を行っている個人事業主は所得が複数になるケースがあります。例えば賃貸アパートを副業で経営している際、家賃収入によって得られた所得は不動産所得となります。

3-3. 所得税は課税所得(儲け)によって税率が違う

所得は収入から必要経費を差し引いた金額ですが、所得税が課せられるのはこの金額ではありません。
所得に所得控除を引いた金額が課税所得となり、課税の対象になります。計算式は下記のようになっています。

課税所得金額 = 収入 − 必要経費 − 所得控除

所得控除とは、生命保険料や高額の医療費がかかったという個人的な事情を加味して税金を課せられないようにする仕組みで、収入から差し引くことができます。

所得控除は現在14書類あります。

雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除

それぞれに算出方法がありますが、基礎控除は一律で38万円となっています。
課税所得が算出できたら、下記の計算式をもとに所得税額を算出します。

所得税額 = 課税所得金額 × 税率 − (下記表の)控除額

課税所得に対する税率と控除額は下記の表で確認してください。納税額の目安も記載しています。

課税所得 税率 控除額 所得税の納税額の目安
195万円以下 5% 0円 97,500円以下
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円 97,500円〜232,500円
330万円を超え695万円以下 20% 427,500円 232,500円〜962,500円
695万円を超え900万円以下 23% 636,000円 962,500円〜1,434,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 1,536,000円 1,434,000円〜4,404,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円 4,404,000円〜13,204,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円 13,204,000円超

(参考:国税庁「所得税の税率」)

所得税は課税所得の金額によって税率が決まっており、課税所得が高くなるほど税率も高くなります。これを累進課税と言います。

よくプロ野球選手や芸能人が「税金で半分持って行かれる」と言いますが、課税所得が1,800万円以上の人は税率が40%や45%ですから、ほぼ半分が所得税ということになりますね。

このほかにも消費税や住民税などもかかりますから「税金で半分」は大げさではないようです。

3-4. 電子マネーでも納税できる!所得税の納付方法は3つ

所得税は申告納税制度が採用されています。つまり自分で税額を計算し、自分で納めなければいけません。そのために必要となるのが確定申告です。確定申告を提出することで納税額を申告します。

確定申告に関しては国税庁のホームページにある「確定申告特集」に詳細が説明されていますので参考にしてください。

確定申告は通常、翌年の3月15日前後が提出期日となりますが、同日に所得税も納めることになります。納付する際は主に3つの方法があります。

①現金で支払う

所轄の税務署の窓口で支払うほか、振込用紙を用いて金融機関やコンビニで支払うこともできます。

②振替納税制度を利用して支払う

期日までに「預貯金等口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を使って申し込みを行うと、銀行などの口座から自動的に税金が引き落としされるシステムです。

申請期限は確定申告の提出期限と同じですので、依頼書に必要事項を記入し、確定申告と同時に提出するといいでしょう。引き落とし日は通常4月20日です。1カ月ほど納税期間が引き延ばしされますね。

③国税電子申告・納税システム(e-Tax)を活用して支払う

e-Taxを利用して納税する場合はインターネットバンキングや、電子マネーの利用も可能です。
e-Taxに関しては、国税庁に専用ホームページ(e-Tax)があります。そちらを確認してください。

所得税についてより詳しく知りたい場合は、国税庁のホームページ(所得税)を確認してください。

4. 翌々年から支払う「消費税」 免税される場合もあり

4-1. 物の売買だけではなく、サービスや報酬にも発生する

消費税は商品の販売やサービスの提供などに対してかかる税金です。個人事業主としてコンビニを開店した例を挙げてみましょう。

①商品の売買に伴う消費税を消費者から預かります。
②事業者は年間を通して消費者から預かった消費税を計算して申告・納税します。

もちろん物を売買したときだけではなく、仕事をした際の報酬などでも消費税が発生することになります。
所得税と違うところは、経営が赤字となっていても消費者から預かった消費税は納付する必要があることです。

4-2. 一年間の売上が1,000万円以下は消費税の納付は免除になる

ただし個人事業主は「小規模事業者に係る納税義務の免除」という規定により、以下いずれかの場合は消費税の納税が免除されています。

・開業から2年間(※後述「特定期間」の例外あり)
・売上が1,000万円に満たない場合

消費税は事業年度の売上が1,000万円を超えた場合に、翌々年に納税義務が生じる税金です。開業した場合、前々年度の売上はありませんから開業後2年間は消費税の支払い義務はない のです。

もちろん開業年度に売上が1,000万円を超えた場合は、翌々年(2年後)に納税義務が生じますので、忘れないようにしましょう。

※ただし「特定期間」と言い、個人事業主の場合は1月1日〜6月30日までに売上が1.000万円を超えた場合は課税事業者となります。つまり、次の年は消費税の納税義務が発生するのです。

ですから開業1年目でも特定期間内の売上が1,000万円を超えた場合は、2年間の免税は適用されず、2年目は課税事業者となります。少し複雑ですが、覚えておきましょう。

一方、売上が1,000万円を超えない場合は消費税の免税事業者となりますが、お客様や取引先から消費税を徴収するのが一般的です。

消費税分を売上に含めることができるのと、事業年度を終えた時点で売上が1,000万円を超えていることに気づくこともあるためです。
その際、遡って消費税を徴収することは不可能ですから、あらかじめ消費税を含めた金額を請求しておくのが通例になっているのです。

4-3. 消費税の計算方法は2通りある

前述したように、年間の売上が1,000万円以上となった事業者は翌々年に消費税の納税義務が発生します。その場合、所得税と同様に申告義務がありますので、自分で計算して納税しなければなりません。

その計算方法には一般課税と簡易課税の2種類があります。

①一般課税
売上に応じて預かった消費税から、仕入れや経費として支払った際の消費税を差し引く方法です。消費税を計算するときの基本的な方法です。

計算式は、

消費税の納税額=課税売上高×0.08−(課税仕入れ+経費×0.08)

となります。

例えば、2年前の売上高が2,000万円あり、仕入や経費を購入する際に1,000万円かかっていたとすると、2,000万円×0.08−1,000万円×0.08となり、納付する消費税額は80万円となります。

②簡易課税
一般課税よりも簡単に計算する方法です。計算の仕方は、支払った消費税を算出する際に「みなし仕入率」を用います。預かった消費税は一般課税と同じように算出します。

課税売上高が5,000万円以下の事業者が利用できる仕組みですが、税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に提出必要があります。

計算式は、

消費税の納税額=課税売上高×0.08−((課税仕入れ+経費)×みなしの仕入率)

となります。

なお、みなしの仕入率は事業の種類によって下記のように規定されています。

事業区分 該当する事業 みなし仕入率
第1種事業 卸売業 90%
第2種事業 小売業 80%
第3種事業 農林水産業、建設業、製造業、電気業、ガス業など 70%
第4種事業 第1、2、3、5、6種以外の事業(飲食店業など) 60%
第5種事業 運輸通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業を除く) 50%
第6種事業 不動産業 40%

ちなみに現在の消費税は8%ですが、2019年10月からは10%になる予定です・・。

4-4. 消費税の申告には確定申告の提出が必要

消費税の課税事業者になったときは「消費税事業者届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。売上が1,000万円を超えた時点ですぐに届け出をするのが賢明です。

また一般課税を用いた場合の申告方法は、「消費税及び地方消費税の確定申告書(一般用)」と「課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表」を所轄の税務署に提出します。一方、簡易課税を用いた場合は「消費税及び地方消費税の確定申告書(簡易課税用)」を使用します。

確定申告の期限と消費税の納税期限はともに3月31日です。所轄の税務署の受付に提出する、郵送する、e-Taxで申告するという3つの方法があります。

詳細は、国税庁HP(消費税及び地方消費税の確定申告の手引き(個人事業者用))で確認できます。

なお、消費税を納付する方法は、所得税と同じく3つあります。「税務署窓口や金融機関、コンビニなどでの現金納付」「金融機関による振替納税」「インターネットを利用した電子納税」です。

5.「住民税」は行政サービスを受けるのに必要不可欠な税金

5-1. 住民税は「都道府県民税」と「市町村民税」に分けられる

住民税は、地方自治体が行政サービスを行うための税金です。教育や福祉、防災、ごみ処理といったサービスのための資金確保として、一定額以上の所得がある人から徴収する仕組みになっています。

一般的には「都道府県民税」と「市町村民税」に分けられていて、その総称として住民税と言われます。その年の1月1日の時点で居住していた住所地の各自治体に納付します。

サラリーマンの場合は会社が給料から天引きして納めますが、これを「特別徴収」と言います。一方、個人事業主の場合は確定申告をした課税所得額をもとに各自治体が算出し、毎年6月頃に送られてきた納付書で納税します。これを「普通徴収」と言います。

住民税は、各自治体が計算して納付書を送付してくれますので、自分で計算する必要はありません。ただし納付書が届く前におおよその金額を知りたい場合は、以下の計算方法を用いて確認してみてください。

5-2. 住民税は「所得割」と「均等割」で構成される

住民税は、「所得割」と「均等割」という2つの要素から構成されています。

①所得割…前年の課税所得に応じて課せられる割合
②均等割…すべての人に一定の額が課せられる税

計算式で表すと以下の通りです。

住民税額=所得割額+均等割額

所得割額=(所得金額−所得控除額)×税率−税率控除額

この場合の税率は、ほとんどの地域では市町村民税が6%、都道府県民税が4%となり、合計で10%となっています。
一方、均等割額は自治体によって差はありますが、4,000円〜5,000円程度がほとんどです。

東京都の場合、下記の表にしましたので確認してください。2023年までは復興特別税が加算されることになっています。

市町村民税 都道府県民税 合計
所得割 6% 4% 10%
均等割 3,500円 1,500円 5,000円

5-3. 住民税は年1回or4回に分けて納付する

住民税の納付は、納付書に記載された金融機関やコンビニ、役場の窓口などで行うことができます。この場合、原則は現金ですが、自治体によってはインターネットバンキングやモバイルバンキング、現金自動預け払い機(ATM)を利用して納税することもできます。

またクレジットカード決済、電子マネー決済が可能な自治体もあります。各自治体から届く納付書に記載されていますので、チェックしてみましょう。

納付は一括での支払いと、4回に分けて支払う2パターンがあります。通常、第1期の納付期限は翌年の6月末、第2期は8月末、第3期は10月末、第4期は翌々年の1月末となっています。

6. 個人事業主だけに課せられる「個人事業税」

6-1. 事業の種類や自治体によっても税率が違う

個人事業税とは、文字通り個人が事業を行っていることに対してかかる税金です。都道府県に納税する地方税となります。

一般的に、事業を行うためには道路や港湾など様々な公共施設や公共サービスを利用することになるので、その分を負担するという性格の税金です。

法律によって定められた業種(法定業種)にのみ課せられる税金で、事業の種類と都道府県によって税率が変わります。業種によっては個人事業税のかからない事業もあります。

なお、事業の種類と税率の違いは東京都の場合、下記の表で表すことができます。

区分 事業の種類 税率
第1種事業 物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、保険業、飲食店業、商品取扱業、不動産貸付業、製造業、印刷業など37業種 5%
第2種事業 畜産業、水産業、薪炭製造業の3業種 4%
第3種事業 医業、歯科医業、弁護士業、税理士業、司法書士業、デザイン業、理容業、美容業、クリーニング業、デザイン業など28業種 5%
あんま、マッサージ、指圧・はり・きゅう業、柔道整復、その他の医業に類する事業、装蹄師業の2業種 3%

また事業主控除として290万円が控除されますので、事業所得が290万円までは免税事業者となり、税金は課せられません。

ただし、ここで注意しなければならないのが「事業所得が290万円」ということです。事業所得は、事業の売上から必要経費を引いた額で、青色申告特別控除などは適用になりません。「事業所得」と「課税所得」を混同しないようにしましょう。

課税所得が290万円以下でも事業所得が290万円以上というケースもあり得ます。ご注意ください。

6-2. 納付は年2回。免税事業者には納付書は来ません

個人事業税は確定申告をしていれば、その金額をもとに都道府県が税額を算出します。ですから自分で計算する必要はありませんが、納付書が送られてくる前にあらかじめ納税額を確認しておきたい場合は下記の計算式を用いるといいでしょう。

個人事業税の納税額=(事業所得−事業主控除290万円)×税率

個人事業税は毎年8月頃に納付書が送られてきますので、期限までに金融機関などで納付します。通常は8月と11月の年2回に分けて納付することになります。

事業所得が290万円以下の場合、または納付義務のない個人事業主の場合は、納付書は送られてきません。

7.もし税金を滞納したらどうなる?

これまでも記載していますが、それぞれの税金には納付期日があります。法定納期限と言いますが、この期日を守らずに税金を支払わないとどうなるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

7-1. 延滞税が発生する

法定納期限までに税金を納付しなかった場合、国税、地方税ともに期限の翌日から延滞税が発生し、本来の税額と合わせて支払わなくてはなりません。

延滞税は期限の翌日から完納する日までの日数に応じて発生しますが、税率はその間の日数によって変わります。国税の場合は期限の翌日から2カ月を経過する日までは年7.3%、それ以降は年14.6%です。延滞に気づいた場合はすぐに税金を納めるようにしましょう。

7-2. 行政処分を受ける

税金を滞納した場合、滞納税がかかるだけではなく、行政処分が行われます。

①督促状による催告

納付期日を過ぎると、国税の場合は国税徴収法、地方税は地方税法に基づいて催促状が送付されてきます。期日を過ぎてから10日〜20日後くらいと考えていいでしょう。

②電話や文書による催告

督促状を発送しても税金を納付しない場合は、電話や文書、あるいは税務署の徴収職員が訪問して催告がなされます。また滞納処分に向けて身辺調査や財産の調査が実行されます。

③財産の差し押さえ

財産調査をもとに税金を納められるのに納めていないと判断されると、差し押さえるべき財産が決められ、差し押さえが行われます。

差し押さえができる財産には、自動車、生命保険、有価証券、家賃収入、不動産、宝石、骨董品、絵画、貴金属などがあります。取引先への売掛金が差し押さえになるケースもあります。

対象となった財産が不動産の場合は「差押」の登記がなされ、売買や贈与はできなくなります。

④滞納した税に充当

差し押さえられた預貯金口座は直ちに滞納していた税金の支払いに充当されます。また不動産や動産の場合は公売が行われ、その売買代金が税金に充当されます。

支払う資金がなくてもそのままにせず、税務署や各自治体などの納税先の職員に相談しましょう。分割払いなど納税の方法や時期について提案してくれるはずです。

8.個人事業主の税金の申告方法と納付期日の早見表まとめ

税の種類 申告方法 対象者 納付期日
所得税 確定申告 すべての個人事業主(所得額に応じて非課税になるケースもあります) その年の確定申告の提出期限(通常は翌年2月16日〜3月15日)
消費税 確定申告 前々年度の売上が1,000万円を超えた、または前年度の6月30日までの売上が1,000万円を超えた個人事業主 翌年の3月31日
住民税 必要なし すべての個人事業主(所得額に応じて非課税になるケースもあります) 翌年6月末、8月末、10月末、翌々年1月末
個人事業税 必要なし 課税対象事業(法定業種)を営む個人事業主(所得額に応じて非課税になるケースもあります) 翌年8月、11月

まとめ

いかがでしたでしょうか。個人事業主が覚えておきたい税金についてご紹介しました。
自分のやりたい事業を始められるのが個人事業主の魅力ですが、税金についてもしっかり対処できて初めて本物の個人事業主と言えます。
最初は慣れないことも多いでしょうが、少しずつ学んでいきましょう。

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