保育士から転職したい【完全ガイド】事務はどう?志望動機や自己PRまとめ
保育士は給料も安いしサービス残業も多くて大変です。
他職種への転職や保育士資格を活かして他で働きたいと考える人もいるでしょう。
この記事では保育士から転職する人の実情や働き方、仕事探しの方法などを徹底的に解説します。
保育士から転職したいと悩んでいる人はぜひ役立ててください。
目次
1. 保育士は不安と不満がいっぱい!
保育士不足が深刻ですが、一向に保育士不足が解消されない背景には保育現場の問題があります。保育士は不安と不満をいっぱい抱えています。
東京都福祉保健局が実施した「東京都保育士実態調査」の自由記入回答の一部です。
・憧れてついた仕事だったが、日々の仕事の多さや職員の不足で、ゆったりとした気持ちで子どもに関わることのできる時間が少なく、子どもの小さな成長に一つ一つ気付いたり喜ぶ余裕も正直ない。子どもを叱る場面も多くなってしまい、学生の時に描いていた理想とのギャップに不安を抱え、自分の適性にも不安を抱えている。職員を増やし勤務外に働く時間を短縮したり、仕事内容に見合った給料を保証してほしい。
20代前半女性(短大養成課程卒)・どんなに気をつけても、ケガをする子どもたちを見守る仕事なのに、人員が足りなくても、運営していかなくてはいけない不安。土日も運営しているため、連休が取りにくく、三連休以上の休みをとるのに、引け目を感じる。保護者から質問を受けても、知識がなく、答えられるか不安。給与が低く、モチベーションが保てない時に、職につなぎとめる要素が乏しい。
20代後半女性(通信教育~保育士試験)(※)東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査」(平成26年)平成20年~25年までの保育士登録者15,369人
1-1. 保育士の半数(48.9%)は3年以内で辞めている!
憧れて入職したけれど、現実の様々な問題に直面して、保育士の48.9%が3年以内に辞めています。前出の同じ調査で、保育士の就業通算年数を見てみましょう。
<保育士就業通算年数>
- 1年以下=21.7%
- 2~3年=27.2%
- 4~5年=20.8%
- 6~9年=12.4%
- 10~19年=12.4%
- 20年以上=13.6%
(※)東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査」(平成26年)
1-2. 保育士の退職理由は?
保育士を辞めた人は、どのような理由で退職しているのでしょう?
予想通り、給料・仕事量・労働時間・育児等が上位に来ています。
しかし次に多いのが、「他職種への興味」で3割もいます。
<退職理由> 複数回答
- 給料が安い=65.1%
- 仕事量が多い=52.2%
- 労働時間が長い=37.3%
- 育児・家事・出産=31.8%
- 他業種への興味=30.6%
- 職場の人間関係=24.9%
- 職業適性に対する不安=22%
- 健康上の理由=19.3%
- 保護者対応の心労=17.9%
(※)東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査」(平成26年)
給料が安いという理由が圧倒的です。
因みに、就業中の保育士の年収は、正規職員でも300万円未満が55%です。
国税庁の平成27年民間給与実態統計調査によると、民間の平均給与は415万円(平成26年)ですが、保育士として400万円以上の収入を得ている人は、正規職員でも7%に過ぎません。
いくら「やりがい」があっても、保育士から他の民間企業に転職したいと思うのも無理ないかもしれません。キャリア・チェンジするなら、転職可能な20代のうちにと考えるのも当然です。
1-3. 約4〜5人に1人の保育士は、保育士を辞めて他職種で働きたいと思っている
就業中の保育士でも16%は保育士を辞めて、他職種で働きたいと思っています。
20代で最も多く、20代女性の22%、20代男性の24.6%が他職種で働きたいと考えています。
30代を過ぎると、約8割は継続したいと考えています。
<保育士就業継続意向>
合計 | 女性計 | 女性20代 | 男性計 | 男性20代 | |
---|---|---|---|---|---|
今後も保育士として働き続けたい | 78.7% | 79.1% | 73.2% | 72.9% | 70.8% |
今後は保育士を辞めて保育士以外の他職種で働きたい | 16.0% | 15.7% | 22.0% | 23.4% | 24.6% |
今後は保育士を辞めて働かないつもり | 3.2% | 1.8% | 1.8% | 3.7% | 1.0% |
無回答 | 2.1% | 3.1% | 3.0% | 3.6% |
(※)東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査」(平成26年)平成20年~25年までの保育士登録者15,369人
2. 保育士からの転職にはどんな選択肢があるのか?
それでは、保育士から転職したいという場合に、どんな選択肢があるのでしょうか?
保育士からの転職では、以下の3つの選択肢があります。
- 今の保育所を辞めて、条件の良い別の保育所に転職する
- 保育士の資格を活かして、他の保育施設や指導員などの仕事に転職する
- 保育士の資格も関係ない、全く違う職種の仕事に転職する
2-1. 今の保育所を辞めて、条件の良い別の保育所に転職する
経営方針や人間関係などの職場環境に問題を感じている人には適した選択肢でしょう。
給料に不満な場合は、抜本的にはあまり改善されないかもしれません。
年収としては正規職員が明らかに多いのですが、東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査」によると、保育士のなかで正規職員の給料の満足度が一番低いです。
有期雇用パートタイムが給料の満足度が最も高いという現実です。(※)
正規職員は仕事量・労働時間との兼ね合いで、給料に不満という状況が伺えます。
だとすると、他の保育所の正規職員に転職しても大きく改善するのは難しいといえます。
よく一般的には非正規社員の不満として「正社員と同じ仕事をしているのに、給料・待遇が悪い」ということが言われます。
一般的な場合は、非正規から正社員になることは即・待遇改善につながるのですが、保育士の場合は、非正規から正規職員になっても待遇改善や満足につながるとは言いにくい現状です。
正規職員から他園の正規職員に転職しても、大きな改善は難しいかもしれません。
しかし最近では人材確保のために待遇改善を図る所が多くなりました。他の好条件の保育所への転職も、今はチャンスと言えるでしょう。個別の事業所で各々に違いがありますので、転職サイトや転職支援サービスに登録して情報を集めてみましょう。
尚、都市部では保育士不足ですが、地方では少子化が進み各自治体毎に事情が違います。
まず情報収集をしてみましょう。
2-2. 保育士の資格を活かして、保育所以外での仕事に転職する
仕事量や労働時間の問題を改善したいという場合は、適しているでしょう。
サービス残業や持ち帰り残業を解消したいという人には向いています。
保育所以外での保育士としての仕事というと…
企業内保育所、病院内保育所、各種福祉施設、学童保育、児童館、障害者放課後保育、認定こども園、託児施設やベビーホテル、訪問型ベビーシッター、保育ママなどがあります。
自治体や社会福祉法人が運営する認可保育所など一般的な保育所以外の保育施設では、正規職員は少なく、非正規職員の比率が高いです。
<施設類型別 雇用形態>
正規職員 | 有期フル | 有期パート | 無回答 | |
---|---|---|---|---|
合計 | 57.2% | 10.8% | 30.9% | 1.1% |
認可保育所 | 62.5% | 10.4% | 26.4% | 0.7% |
認証保育所A型(駅近型保育所) | 62.8% | 6.2% | 30.4% | 0.6% |
認証保育所B型 | 57.1% | 8.8% | 34.0% | 0.1% |
認定こども園 | 61.3% | 11.3% | 26.5% | 0.9% |
事業所内保育所 | 24.3% | 9.5% | 65.7% | 0.5% |
病院内保育所 | 35.1% | 12.2% | 52.7% | 0.0% |
子育て広場(地域子育て支援拠点) | 14.6% | 12.6% | 71.8% | 1.0% |
学童クラブ | 36.9% | 25.0% | 37.3% | 0.8% |
家庭的保育者(保育ママ) | 35.6% | 8.9% | 41.6% | 13.9% |
児童福祉施設(保育所除く) | 68.6% | 14.4% | 16.5% | 0.5% |
ベビーホテル | 34.5% | 10.3% | 51.7% | 3.4% |
(※)東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査」(平成26年)
(注)認証保育所とは、国の認可外ではあるが東京都が独自に定めた基準により認証している
有期契約であれば、仕事量や責任の負担は減り、勤務時間の問題も改善しやすいでしょう。
有期契約ならば、派遣は時給が高いです。派遣会社に登録してみるのも良いでしょう。
ただ企業内保育所でも院内保育所でも、正規職員は必ず必要です。
保育士としての経験を積んで、企業内保育所の正社員となるのも良い方法でしょう。
今は、企業内保育所・院内保育所でも人材確保のため正職員の募集が増えています。残業なしや住宅手当がつくなど待遇改善も進んでいます。
先ほどの保育士向けの転職サイト・転職支援サービスに登録して調べてみましょう。
2-3. 保育士の資格も関係ない、全く違う職種の仕事に転職する
「給料が安い」を根本的に改善したいならば、一般企業の正社員への転職でしょう。
もともとの給与水準は一般企業正社員の方が高い場合が多いです。
仕事量や残業の問題を改善したい場合は、他職種への正社員転職は向いていないでしょう。他職種でも、基本的に正社員の仕事量は多いです。残業もあります。
「違う職種への興味」は20代に多いです。20代ならば未経験でも転職が可能です。
男性保育士ならば、将来的に昇給も期待できない保育士よりは一般企業の正社員に転職したいと考える人も多いでしょう。
「違う職種への興味」は給料が安いからだけではなく、保育士以外の世界に視野を広げてみたいという気持ちがあるでしょう。
保育士は、保育園内での職員と子供・保護者だけの世界なので、外部との接触が非常に少ないです。
職場は女性がほとんどで、出逢いの機会が持てないと思っている方も多いでしょう。
20代は正規職員が多く、雑務や仕事量も半端ではないので持ち帰り残業でクタクタという状況です。休日に婚活イベントなど参加する気力もないというのが現状でしょう。
オフィスワークをする友人が羨ましく見えたり、お洒落な服を着てバリバリ仕事をする人を見ると、自分も一度はやってみたいな~と思う人もいるでしょう。
組織の中で仕事をするのは苦労も多いですが、保育士では学べないことも沢山あります。
自分の可能性を試してみたい、そして年収もアップしたいという人は、思い切って他職種に転職するのも方法でしょう。
ただし転職するなら20代のうちです。未経験職種は教育期間が必要なので、30歳以上になると求人数が減り、条件も悪くなる傾向があります。
保育士は一般の転職市場での価値は高いとは言えません。
しかし社会人経験は評価されるので、保育士として2~3年しっかり経験を積んだ後に、転職するのが良いでしょう。
転職の際には、未経験からの転職に強い転職エージェントを活用するのがおすすめです。
全国対応。国内最大手の転職エージェント。若手・未経験の転職に強く、転職成功ノウハウや交渉が得意です。
・doda
全国対応で国内2位の転職エージェント。若手・未経験に強く、非公開求人の紹介数が多いです。
全国主要都市に対応、国内3位の転職支援サービス。女性の転職支援に強く、転職初心者におすすめです。
では次に、それぞれの方法について詳しく説明します。
3. 保育士から他職種に転職する方法
保育士から他業界や他職種に転職する場合は、特に情報収集と準備が大切です。
辞めたい気持ちが先走って辞めてしまうと、後悔することになります。
転職サイトと転職支援サービスに登録して情報収集し、在職中に充分な時間をとって転職活動しましょう。
しかし在職中は残業等で忙しく、転職サイトの情報をチェックするのも無理という人もいるでしょう。
在職しながらの転職活動には、転職支援サービス(転職エージェント)の活用がお勧めです。
応募書類作成の相談や希望に合った求人を紹介してくれるなど、転職活動を総合的にサポートしてくれます。
まずは先ほど挙げた2〜3つの転職サイト・転職支援サービスに登録してみて、情報収集をする土台をつくりましょう。
3-1. 保育士から他職種に転職して大丈夫? 実際に転職した人の満足と不満足
保育士から他職種に転職を経験した人の声を挙げます。一長一短あるようです。
転職する前に、何が問題で何を改善したくて転職するのか?転職するに当たって何を優先するのかを自己分析しておくことが大切です。
- 給料は増えた。しかし新入社員なので雑務や残業が予想以上に多く、残業時間や仕事量は保育士時代より増えた気がする。でも残業代がきちんと支払われるのでまぁ満足。
- 時間的・体力的には楽になったが、指示されてやる補助的な定型業務ばかりでつまらない。やりがいが感じられない。
- 女の職場特有の人間関係がイヤで、女性の少ない営業所の事務に転職。自分は直接パワハラ被害には遭わないが、他の営業社員が上司のパワハラを受けているのを見るのが辛い。別の意味で人間関係がギスギスしている。
- 完全土日休みで有給休暇もしっかり取れるが…一日中PCに向かう仕事で、笑ったり話したり声を出すことがめっきり減った。運動不足とストレスで太った。
給料や勤務時間という表面的なことだけでなく、求人情報の仕事内容をしっかり読み考えてみましょう。自分が実際にその職場で業務してみた時のことをイメージしてみましょう。
人間関係など、仕事をしてみないと判らないこともあります。
転職エージェントを利用すると、職場の雰囲気なども聞けるでしょう。
3-2. 保育士から他職種への転職に役立つ、保育士の5つの能力・スキル
保育士は、転職市場では価値は高くないと前述しました。
一般企業で必要とされるような、いわゆるテクニカル・スキル(例えばPCや簿記やTOEIC等の資格や職務経験など)がないからです。
しかし一般企業でも、業務を遂行するにはテクニカル・スキルと共にヒューマン・スキル(協調性やコミュニケーション力など)が非常に大切なのです。
実は保育士の仕事をやっていると身に付く能力で、どこの職場でも確実に歓迎されるヒューマンスキルがあります。これらの能力を身に付けて、応募先にしっかりアピールできれば未経験でも評価されるでしょう。
<保育士の仕事経験から、職場で役立つ5大能力>
①全体を俯瞰的に把握しながら物事を進める能力
保育室のみならず、園庭での遊びや運動会・お散歩など、どんな状況でも保育士は全体の様子を把握しながら、自分の役割を遂行する必要があります。
周囲の状況を把握するのは、職場の中でスムーズに仕事するために非常に重要なことです。
ほとんどの職場ではチームワークが必要とされるので、この能力が高い人は歓迎されます。
②ちょっとした動きや変化に素早く反応して動く能力
子供がちょっと大声をあげたり、急に立ち上がったりという様な動きに保育士はとても敏感で、すぐに身体が動きますね。この瞬発力は、一般企業の仕事でも非常に大切です。
中谷彰宏著「入社3年目までに勝負がつく77の法則」でも、この瞬発力について述べています。
『席を立つのが早い人が、チャンスをつかむ~中略 特に20代のうちに一番気をつけなければいけないことは、とにかく速く席を立つ、この瞬発力です。“○○君”と呼ばれたときに“はい、ナンでしょうか”と言って、イスに座って、くるっと振り返っているようでは、まずダメです。その先10年間の伸びが、大体それでわかります。』
引用:PHP文庫 中谷彰宏著「入社3年目までに勝負がつく77の法則」より
③相手を理解しようとする共感性や傾聴力・思いやり
保育士は援助職ですから、子供や保護者の立場になって理解する能力が求められます。言葉が上手に話せない乳幼児では尚更です。
仕事は人対人で成り立っているので、他の仕事でも相手を理解することや傾聴力は、信頼関係を築くために大変重要です。
④万遍なく言葉がけする配慮や笑顔
保育士はクラスの子供みんなに声掛けしたり、偏らないように目配り気配りしているでしょう。こういう配慮は意識しないと出来るものではありません。保育士は子供の喜ぶ笑顔のために、大変でも働く人が多いでしょう。
目配り気配りする能力は、複数のお客様に対応する場合や職場の良好な人間関係の構築に役立ちます。誰かの役に立って喜ばれることが好きという姿勢は、他の仕事でも大切です。
⑤継続的に観察しながら変化を感じ取る能力
「昨日できなかったことが今日できるようになった」そういう子供の成長を発見した時が保育士の喜びでしょう。また子供のちょっとしたケガや異変に気付き、日誌にも記入しなければなりません。日々の保育の中で、ちょっとした違いや変化を感じ取る能力が身に付いているでしょう。
この変化を感じ取る能力は他の仕事でも、改善や問題の発見に非常に役立ちます。自分の成長にも役立ちます。
こうして見ると、PCスキルはないけれど、保育士さんは他の職種に就いても活用できる能力・スキルが身に付いていることが多いといえます。
チームや人との関係の中で業務を遂行するのに非常に役立つ能力です。採用側にとっては、社内の人達と上手く一緒にやっていける人材かどうかが重要ですから、これらの能力は歓迎されます。
3年位しっかり保育士をやって、これらの能力を身につけてから転職する方が良いでしょう。
しかし、せっかくの能力も応募先にアピールできないと勿体ないですね。
自分が経験した具体的な事例で、これらの能力・スキルを説明すると有効な自己PRになります。転職しようと考えている人は、日々の保育の中で意識しておきましょう。
3-3. 未経験で大丈夫なの?未経験OK求人の背景
通常の中途採用の正社員は、即戦力を期待されるので実績・経験が重視されます。
希望の多い事務職などオフィスワーク系は、派遣社員が担うことが多いです。
事務職の正社員求人募集は少なく狭き門であり、経験者が有利です。
保育士は事務職に必要なPCスキルやOA機器操作のスキルがないと見られることが多いです。
保育士から他業界・他職種に転職する場合は、未経験者としての応募になるでしょう。
未経験者可能な求人に応募することになります。
求人情報で、「未経験者OK」、「未経験者歓迎」、「経験不問」などの表記を見かけます。
本当にそうなのでしょうか?未経験者OKの求人募集の背景を説明しましょう。
<未経験者OKの求人募集の背景>
①応募者を大勢集めたい
経験者に絞ると応募者が少ないので、未経験OKとしてとにかく応募者を沢山集めるために表示している企業もあります。経験者の応募があれば、経験者を優先するのは当然でしょう。
②誰でもできる仕事、知識や専門性の低い仕事
未経験者でもできるような単純な仕事や肉体労働的な仕事、雑用的な仕事という場合があります。当然ながら給与水準は低く、昇給もあまり期待できません。
③新卒採用者が少ない場合に追加で若手社員を募集する
「第二新卒歓迎」などとなっている求人は未経験でも若手社員が欲しい企業でしょう。この場合に2通りあるので注意が必要です。
・自社で未経験者を教育して育てるつもりで募集する場合
いわゆる人材の潜在能力や伸びしろに期待して募集する場合です。こういう募集は積極的に応募しましょう。未経験でも仕事への意欲があれば可能性はあります。多くは第二新卒(新卒入社で前職を3年位で退職した人)対象です。20代半ばくらいであれば、積極的に正社員採用する企業も多くなっています。
・入社しても早期の離職者が多いために若手社員を募集している
こういう募集は労働条件等に問題のある場合が多いです。いつも募集を出している、あちこちに募集を出しているというような場合は注意しましょう。
④「未経験でも高収入」などの表記
このような募集は要注意です。未経験で高収入を得られる裏側には、ノルマがあったり実態は長時間労働だったり何かカラクリがあります。
3-4. 正社員で未経験OKの募集には、どんな仕事があるのか?
未経験OKの求人に応募する場合は、上記を参考にして求人情報を見極めることが大切です。
正社員で未経験OKの募集には、どんな仕事があるのでしょうか?
求人情報の例から一部を拾ってみました。
<事務系>
- 事務職=一般事務、OA操作、書類作成、データ入力など
- 受付・案内=施設や展示場などの受付
- スポーツジムや教室、学習塾などの受付・会員管理など
- クリニックや整体院、歯科医院などの受付&診療助手
<電話応対など>
- カスタマーサービス・サポート業務
- コールセンター、テレホンコミュニケーター
<来客対応や説明など>
- マンションや高齢者施設などのフロント業務
- カウンターセールス=旅行代理店、保険代理店など店舗での来客対応、商品説明など
- マンション・住宅アドバイザー=マンションやモデルハウスに来店したお客様への説明・販売
<営業職>
- ルートセールス=既に取引のある企業に定期的に提案やフォロー。ノルマはほぼない。
提案(コンサルティング)営業=自社のサービスやプログラムを提案する。
<販売・サービス系>
- アパレル販売やショップでの販売
- 飲食店の店長やマネージャー候補
<製造関連>
- 組み立て作業や品質検査
- 包装・発送作業や受発注の伝票整理・在庫管理事務など
<運送・運輸>
- タクシードライバー
- 路線バスの運転手
- 宅配便の運搬・配送など
保育士からの転職でも、自分が何を優先し何をやりたいか?によって、仕事選びもいろいろでしょう。知名度やブランドに拘らずに、地味でも中堅・中小の歴史の長い会社が狙い目かもしれません。
未経験職種に応募する場合は、不安も大きいでしょう。
転職サイトや転職支援サービスを活用して、充分な情報とアドバイスを受けながら転職活動をすることをお勧めします。
3-5. 保育士から転職で、未経験の職種で正社員の仕事を探す方法
保育士が未経験で他職種の正社員の仕事を探すには、どのような方法があるのでしょう?
3-5-1. 自力で転職活動する
保育士から未経験職種に転職する場合は、
・転職サイトに登録して、自分で求人募集を探して応募する
・転職支援サービス(転職エージェント)に登録して、自分の希望とマッチした求人先紹介を受ける
この2つが王道でしょう。いずれも無料で利用できます。
サポートの有無はありますが、基本的に自力で企業に応募する形です。
多くの人は、転職サイトと転職エージェントを活用して正社員への転職活動をしています。
転職するならば、在職中にまず大手に登録して求人情報を見てみましょう。
転職活動は、自分を商品として相手に売り込む作業です。そのためには客観的に自分を把握することが重要ですが、保育業界しか経験がないとなかなか難しいですね。
自分ひとりで転職活動するより、転職エージェントを活用してアドバイスを聞いた方が客観的に自分を把握できます。転職エージェントに登録すると専任の担当者が経歴や希望を聞いて、各自に合ったアドバイスやサポートをしてくれます。
保育士から転職したいと思ったら、実際に転職するかは別として、登録して相談してみましょう。
3-5-2. 派遣会社に登録して、企業の正社員を目指す方法
現状の保育士の仕事をしながら転職活動するのはとても無理という方や、転職活動に不安という方は、別の方法があります。
派遣社員として働き、時間の余裕と収入を確保しながら転職への道を探す方法です。
派遣会社に登録して、「紹介予定派遣」から直接雇用される道です。
自分が企業に直接応募する道とは別に、派遣会社に登録して、派遣社員として就業した先で正社員になる方法があります。「紹介予定派遣」という方法です。
派遣社員として契約するので、保育士のような残業もなく収入も得られます。
紹介予定派遣とは、直接雇用を前提として3~6ヶ月間派遣先で就業した後に、双方が合意すれば直接雇用されるという仕組みです。
実際に就業してみて決められるので、職場の雰囲気や仕事の適性などがわかります。
派遣として就業している間が双方にとってお見合い期間であり転職活動の期間といえます。
ミスマッチが少ないというのが最大のメリットでしょう。
但し、直接雇用が正社員とは限らず契約社員の場合もあるので、事前に確認が必要です。
未経験でも、社会人経験と基礎的なPCスキルがあれば紹介予定派遣の求人はあります。
大手派遣会社ならば、大体紹介予定派遣を行っているので、まずは登録してみましょう。
3-5-3. PCスキルもなく未経験だけど、どうしても事務職をやりたい場合の方法
PCスキルはないけれど、どうしても事務職に転職したいという場合は、無期雇用派遣という方法もあります。
大手派遣会社では、事務職未経験者を対象とした無期雇用派遣サービスを行う所があります。
企業の直接雇用ではないですが、派遣会社と無期雇用契約して、派遣会社から期間制限なく企業に派遣される形態です。派遣会社の社員になって、派遣先企業に出向するイメージです。
派遣会社と無期雇用契約するので、給料は毎月定額で支払われます。
未経験者を派遣会社が無期雇用し、自社で基礎研修を行ってから派遣先で就業します。PCスキル・ビジネスマナーなどの研修があり、研修中も給料は支払われます。
<事務職未経験でも可能な無期雇用派遣サービス>
※無期雇用派遣については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
「無期雇用派遣とは?選択に迷っている人のための徹底ガイド」
3-6. 転職で求められる能力や人物像、転職活動のポイント
転職しようする場合は、何かしら現状に問題があり今の仕事を辞めたい!という場合が多いでしょう。転職は、売り手と買い手がいます。
現状の問題を改善するということも大切ですが、売り手側の希望だけ言っていたのでは合意は成立しません。転職先で自分がどんな貢献ができるか?意欲があるか?その根拠を示して買い手が納得すれば採用されます。
未経験職種で正社員採用の場合は、将来的に企業に貢献してくれるか?その意欲・能力があるか?既存社員と上手く適応して、一緒に働けるか?という点が大きな判断材料となります。
保育士から他職種に転職する場合の、転職活動のポイントを説明します。
- 辞める理由~保育士を辞めて他職種に転職する理由をしっかり分析する
- 自己分析・企業研究・業界研究をして、自分の希望・強みとマッチする応募先を探す
- 応募しようとする企業の個別HPなどは必ずチェック
- 応募先企業に合わせた応募書類や自己PRの作成
- 面接~想定問答を考え、必ず面接練習をする
- 現職を円満退社する
3-6-1. 保育士を辞めて他職種に転職する理由をしっかり分析する
「なぜ保育士から、わざわざ全く違う仕事に転職しようと思ったのですか?」は、必ず聞かれる質問でしょう。きちんと答えられるように準備しておきましょう。
保育士を辞める多くの人は、給料が安いから・サービス残業が多いから、などのネガティブな理由でしょう。それはそれで構いません。ただ転職の理由は、それではダメです。
給料や労働時間は求職者側の都合です。
相手企業にとって重要なのは、自社で貢献できるかどうか?です。
まず自分自身に上記の質問を問いかけてみましょう。
- 保育士になろうと思ったのはなぜなのか?
- 保育士で、その希望が叶えられなかったのはなぜなのか?改善の努力はしたか?
- 他職種に転職して、改善できるか?
- そのためには、どういう仕事や働き方で改善できるか?
- その仕事を担う能力があるか?不足しているとすればどんな能力か?
- 自分はどうすれば応募先の仕事に貢献できるか?その根拠は何か?
- 応募先の仕事をすることにより、自分は何を得たいのか?
このように自問自答して行くと、一貫性のあるストーリーになるでしょう。
各自の事情や応募する職種によっても違いますので、しっかり深く考えることが大切です。
3-6-2. 自己分析・企業研究・業界研究をして、自分とマッチする応募先を探す
上記のように、まず自分自身の考えを整理します。
その上で、保育士として自分が何を学び、何ができるのかを整理します。
保育士の場合は、先ほど挙げた5大能力を身につけている人が多いでしょう。
これらの能力はヒューマン・スキルで、職場で既存社員と上手く適応して、一緒に働けるか?
という判断をする場合に有利な材料となります。
相手がイメージできるように、具体的な事例で簡潔に説明できるようにしましょう。
未経験の場合は、他業界や他職種の研究を充分に行ってください。
その業界や職種を実際に見聞して、できれば職に就いている人の話なども聞いておきましょう。
業界・職種についての基礎知識や関係本なども読んでおきましょう。
具体的に応募企業があれば必ずHPで、沿革や会社方針、社長のメッセージ、事業内容などを調べます。
3-6-3. 応募先企業に合わせた応募書類や自己PRの作成
応募先企業が決まったら、その企業の望む人物像と自分の強みや能力が合うかどうかを検証します。
求人情報や企業HPから、「望む人材像」などがおおむね把握できるでしょう。
相手先企業が求める人材であることを応募書類や自己アピールを通じてPRします。
なぜ、その会社・その仕事でなければいけないのか?
分析した転職理由をポジティブな志望動機にして表現します。
転職エージェントは、応募先企業がどういう人材を求めているか?を把握しているので、相談するとよいでしょう。
<履歴書について>
・履歴書の写真は非常に重要です。専門の写真館で撮影してもらいましょう。撮影時の服装は髪型なども注意を払いましょう。
・手書き指定でなければ、ワープロでも大丈夫です。ワープロの場合は変換ミス、誤字脱字に注意しましょう。修正液での修正はNGです。作りなおしましょう。
3-6-4. 面接~想定問答を考え、必ず面接練習をする
転職の場合に質問されることは、かなり想定できます。
先にに挙げた、「わざわざ保育士から転職するのはなぜですか?」を始め、自己紹介(PR)、志望動機、保育士で学んだこと、具体的に出来る仕事など質問されるでしょう。
応募書類と矛盾なく答えられるように、模擬練習しておきます。
面接では、相手の質問のポイントを抑えて簡潔に論理的に答えるのが基本です。
保育士経験の中では、論理的に話すトレーニングが不充分かもしれません。
転職を考えているのであれば、在職中から論理的思考に馴れるようにしておくことが大切です。
ロジカルシンキングの本なども沢山あるので、転職前に勉強しましょう。
転職後の仕事でも必要になります。
3-6-5. 現職を円満退職すること
労働基準法では、労働者は退職する場合は2週間前に申し出れば良いことにはなっています。
しかし、各職場の就業規則で退職する場合のルールが定められていると思いますので、まず就業規定をよく読んで、それに従って円満退職することが大切です。
仕事の引継ぎや次の人の手配などを考えると、最低でも1ヶ月前には職場の上司に伝えるのが必要でしょう。
転職(内定)先で待てるのは、2ヶ月が限度でしょう。確認しましょう。
内定が出たら、すぐ職場に伝えて引継ぎの準備をして、1ヶ月程度で退職するのが望ましいです。
保育士は人手不足なので、引き止められることを想定して退職理由を用意しておきましょう。
家庭の事情や腰痛・体調不良などの理由は断りにくいでしょう。
内定が決まるまでは、転職活動や仕事を辞めることは同僚にも決して言わないことです。
保育士でクラス担任をしている場合は、できるだけ年度末退職から逆算して転職活動をするのが望ましいでしょう。
4. 保育士から保育士に転職(保育士の資格を活かして転職)する場合の方法
企業内保育所や病院内保育所、指導員など、保育士資格を活かす仕事を探す場合は、大きく分けて2つあります。
求人企業に直接応募する場合と、派遣会社に登録する方法です。仕事の探し方について説明します。
4-1. 直接応募する場合の仕事の探し方~転職支援サービスを利用する
転職には、転職支援サービスの利用が必須です。
転職支援サービスでは、キャリアアドバイザーが求職者の要望を聞き、条件に合った仕事を紹介します。
登録・利用は無料です。
保育所は施設長の方針や人柄の影響も大きいので、表面的な条件だけでは判断しにくい面もあります。転職支援サービスのアドバイザーは施設の情報なども把握しており、非公開案件もあるので、希望に沿った仕事を紹介してくれます。
転職の方法に疎いという保育士は多いでしょう。
面接準備や面談日程・条件の交渉など、転職活動を総合的にサポートしてくれます。
4-2. 派遣会社に登録して、派遣保育士として働く方法
保育士の資格を活かして、家庭と両立しながら柔軟に働きたいという場合は、派遣保育士という働き方があります。
派遣として保育士で働く場合は、保育専門の派遣会社があります。
それぞれ保育業界に精通しているアドバイザーなどがいますので、職場の規模や雰囲気など希望に合った派遣先を紹介してくれるでしょう。
無料セミナーや相談会を開催している派遣会社もあります。
希望の就業時間(フルタイムやパート)、入職希望時期など、条件を入力します。
WEBサイトで簡単に登録できるので、まずは2~3社に登録して情報を集めてみましょう。
<保育士専門のおすすめの派遣会社>
<派遣登録の流れ(例)>
①WEBサイトで事前登録(この段階では正式の登録ではありません)
②登録面談(本登録)=直接派遣会社や説明会に行って面談(面談は予約)
(出張登録会を実施する会社もある)
派遣システムの説明など。専門のコーディネーターが要望を聞き、相談に乗ります。
希望に合う案件があればその場で紹介。なければ後日連絡。
③希望に合った仕事紹介(メールや電話)
④希望の求人が見つかったら、応募(事前の職場見学も可能)
双方が合意して入職日が決まったら、仕事内容や契約内容などの説明
⑤派遣先で就業(派遣先で問題や相談があれば、担当コーディネーターがフォロー)
<派遣登録説明会に必要なもの>
- 本人確認の公的証明書(運転免許証やパスポート、健康保険証、マイナンバーカードなど)
- 印鑑
- 本人名義の銀行口座の通帳
(派遣会社によって違いがありますので、事前にご確認ください)
4-3. 保育士の資格を活かせる仕事の種類
子供や保育士の仕事は好きだけど…
- 家庭と両立できない、
- 給料と労働時間があまりに釣り合わない、
- 残業(サービス残業や持ち帰り)が多く負担、など
このような問題を解決して、保育士の資格を活かしながら仕事をしたいという人は多いでしょう。
上記の問題は、正規職員として勤務する保育士に多い悩みです。
「保育士の仕事は好きだから続けたい」を優先して働く方法を考えてみましょう。
今は保育士不足ですから、家庭と両立しつつ保育士の資格を活かしながら働くこともできます。
保育所にも、さまざまな形態の保育施設があります。
それぞれ特徴があります。さまざまな保育施設の特徴や働き方を紹介しましょう。
4-3-1. 企業内保育所
企業が従業員向けに運営する保育所で、多くは認可外保育所です。最近は従業員だけでなく地域住民が利用できる所もあります。企業の営業時間によるので土日休みが多いですが、工場などでは稼動時間によります。
企業内保育所を開設する企業は大手が多く、福利厚生は企業の従業員に準ずるので比較的待遇が良いです。残業はあまりなく、あったとしてもきちんと残業代は支払われます。
経営は企業ですが、運営は外部法人に委託しているケースが多いです。そのため運営はかなりシステム化・合理化されているので、保育士の事務負担なども少ないでしょう。大きな行事も少ないので、業務負担はかなり軽減されるでしょう。
少人数の所が多いので、じっくり保育に集中できます。
保護者が近くに勤務しているので、子供が具合悪くなった時は保護者とすぐに連絡が取れる安心感があります。
前述で説明したように、企業内保育所では正規職員は24.3%と少なく、75%は有期契約です。有期契約のパートタイムとして勤務する人が65%です。
自分の都合の良い時間に働く人が多いということでしょう。
家庭と両立しながら保育士として働きたい、長時間労働せずに働きたいという人に向いています。
ワークライフバランス促進の国の方針に則って、育児と仕事の両立を後押しする存在として企業内保育所が期待されており開設する企業が増えています。
残業も少なく、時給も良い求人があり、人気の仕事です。
大手転職サイトや保育専門転職サイトに登録して求人情報を調べてみましょう。
4-3-2. 院内保育所
病院に勤務する職員の子供を預ります。そのため24時間体制で夜勤もあり、勤務はシフト制です。保育所の行事は少なく運動会など大掛かりな行事はほとんどないので、業務の負担はかなり減ります。一般的には人数も多くはないので、落ち着いて保育ができます。
時間帯にもよりますが、0~5歳児まで縦割りの保育になることもあります。連絡手帳や日誌はありますが、通常の保育所に比べると保育園全体に関る事務作業や打ち合せなどは少ないでしょう。
病院経営は大きな医療法人が多く、福利厚生など待遇はきちんとしているでしょう。残業などもほとんどないのがメリットです。
院内保育所はシフト制のため有期のパートタイムが多く、約53%が有期契約パートタイム、正規職員は35%です。夜勤の場合は夜勤手当が出るので、収入面でもメリットがあります。
院内保育所は一般向けではなく、保育人数も少数のために求人募集はあまり多くはありません。しかし最近では看護師さん確保のために、託児施設充実などを謳う病院が増えています。
転職サイトに登録して、こまめに求人募集をチェックしましょう。
4-3-3. 地域子育て支援拠点の指導員
厚生労働省では、「子ども・子育て支援法」により、地域子育て支援拠点事業の拡充を図っています。
地域子育て支援拠点事業とは、地域の子育て中の親子の交流促進や育児相談等を実施して、子育ての孤立感・負担感の解消を図り、全ての子育て家庭を地域で支える取組としてその拡充を図る、としています。
地域子育て支援拠点には、ひろば型・センター型と、児童館型があります。
これを今後は、ひろば型・センター型⇒一般型に/児童館型⇒連携型に集約する方針です。(※)
(※)厚生労働省 地域子育て支援拠点事業
地域子育て支援拠点事業は、東京都の「子育てひろば」を始めとして、横浜や仙台などさまざまな自治体で展開しています。
地域子育て支援拠点事業を厚生労働省から受託している団体もあります。
NPO法人 子育てひろば全国連絡協議会では、地域子育て支援士やコーディネーター養成講座なども開催しています(※)保育士は受講資格があります。(民間資格であり国家資格ではない)
(※)NPO法人子育てひろば全国連絡協議会
地域子育て支援指導員は、補助指導員は有期契約が多く、正規職員は15%程度と少ないです。残業などは少なく、正規職員ならば月額17~25万円程度で賞与や手当等もあります。正規職員の募集は多くはありませんが、募集がある時は、自治体の広報誌やハローワークでも募集します。
4-3-4. 学童クラブの指導員
学童クラブの指導員は以前は特に資格は必要なかったのですが、2015年から「放課後児童支援員」という資格が出来ました。保育士ならば研修を受けるだけで取得できます。保育士資格があればOKという所も多いです。
学童クラブは主に小学生低学年を対象として、放課後の保育をします。保育とは言っても乳幼児と小学生ではかなり違います。保育をするというより、子供と遊んだり宿題の面倒を見たりコミュニケーションを取るのが主になります。
子供と一緒に遊ぶのが好きな人は向いているでしょう。じっくり落ち着いて保育したいという人には向かないかもしれません。
収入面では、学童クラブの指導員の収入はあまり期待できないでしょう。
開設時間も平日で2時頃~7時、夏休みなどは全日ですが、時給も大体パート並みです。
学童保育の多くは、自治体が運営しています。最近では民間経営の学童保育もあります。
民間経営の学童保育は保育料も自由設定で高めなので、自治体運営の学童保育よりは時給は良いようです。今後は、英語教育や運動など+αの独自性を出した民間の学童保育など多様化も考えられます。
また障害を持った児童の放課後デイサービスも増えています。保育士資格が活かせます。
学童保育の指導員は転職サイトでも求人募集はありますが、自治体の広報誌やハローワークで求人募集しています。
4-3-5. 児童福祉施設の指導員など
児童福祉施設には、児童相談所、児童養護施設、母子福祉施設、母子支援相談所・障害児支援施設、などがあります。
公的福祉施設の正規職員になるには、自治体で実施する「保育士採用試験」に合格する必要があります。採用候補者名簿に登録され、登録有効期間(1年)以内に採用の申し出があると採用となります。有効期限が過ぎると、再度採用試験受験が必要です。
臨時募集の場合は、有期契約の求人募集があります。
児童福祉施設は自治体から社会福祉法人が運営を委託されている場合があり、社会福祉法人が求人募集をすることも多いです。
社会福祉法人が運営している福祉施設も多く、求人サイトなどで募集しています。
保育士の求人募集は沢山あります。
仕事を探すのは、大手の求人サイトと、保育・福祉専門の求人サイトがあります。
保育専門の求人サイトは、特色をいかしてきめ細やかな対応をしている所もあります。
4-3-6. 派遣保育士として働く
上記で紹介した仕事は直接応募する以外に、派遣会社に登録して派遣保育士として働く方法もあります。
認可保育所だけでなく、さまざまな施設・場面で保育士の需要があり、保育のニーズも多様化しています。また働く側も柔軟に就業したいという人が多く、保育士の派遣が増えています。
勤務時間や勤務形態など、求人側も求職側も柔軟に対応したいという双方の要望があります。
保育士は続けたいけど残業したくない、家庭と両立させながら働きたいという人は、派遣が適しているでしょう。
<派遣保育士として働くメリット>
・希望の勤務場所・時間・勤務日数等を選べる
派遣社員は有期雇用ですから、契約期間や勤務時間を希望で決められます。大体数ヶ月更新が多いですが、派遣先が気に合わなければ契約終了後は別の就業先を紹介してもらえます。
気に入った派遣先ならば契約更新をして最長3年間勤務することができます。(例外もある)
職場の人間関係などで悩むことも少なくなるでしょう。
・サービス残業がない
サービス残業が多いことが保育士の大きな不満となっていますが、派遣は派遣法に基き、勤務時間や残業について派遣会社と派遣先が契約を結びます。時間外勤務は割り増し料金が掛かるので、残業は少なく、残業代はきちんと支払われます。
・事務作業や業務の負担が少ない
派遣保育士の場合は、基本的に正規保育士の補助的な業務が多いです。事務処理や保育計画などの業務はあまりないでしょう。責任を負う負担は正規職員よりもかなり軽減されます。
・時給が高い
派遣社員は就業した分だけの時給ですが、一般のパートに比べると時給が高いです。首都圏近郊なら1200円~1700円くらい。地方でも1000円以上でしょう。派遣は交通費支給のない場合が多いですが、最近は保育士派遣の場合は交通費支給という条件も増えています。
2ヶ月以上継続して契約する場合など一定条件を満たすと、社会保険なども加入できます。
保育士は非常に需要があるので、派遣の求人も沢山あります。
6. まとめ
一生懸命勉強して国家試験に合格している保育士の人達は、それなりに自分のビジョンを描いて保育士になったことでしょう。
・保育士からキャリア・チェンジして、他の職種に転職しようと考えている人
・保育士の仕事は続けたいが、残業や業務の負担を軽くできる転職を考えている人
保育士の待遇の悪さや現状の問題から、何とかして改善しようと努力している人でしょう。
キャリア・チェンジするのでも、他の保育施設に転職するのでも…
今の仕事を2~3年は一生懸命やって、何かを得てから転職することをお勧めします。
体調を崩してまで無理することはありませんが、どんな仕事でも3年位はやってみないと全体像は判らないものです。
同じ保育業界に転職するのでも、好条件の案件では3年やると実務経験として有利になるでしょう。実際、縦割りの混合保育や育児相談業務などの場合はある程度の経験も必要です。
キャリア・チェンジで未経験職種に応募する場合でも、しっかりと数年勤務した社会人経験はそれなりに評価されます。
「大変な仕事で残業が多い割に給料が安い!」のは、他の民間企業の新入社員でもよくあることです。早い方がいいからと、安易に1年程度で転職するのは避けた方が懸命でしょう。
女性の場合は、結婚や出産・育児の問題を抱えています。
出産後もより良い条件で長く働き続けたいと願い、そのために転職を考える人も多いでしょう。
今は働き方の選択肢も多様になっています。
現状の問題を改善する方法もきっとあるでしょう。
転職求人サイトや転職支援サービスなどを上手に活用して、現状の問題を改善して自分がいきいきと働ける場を見つけましょう。