歯科衛生士から転職したい【転職先や転職方法まとめ】辞めたいと思っている方へ
歯科衛生士から転職したい!辞めたいと思っている方も多いと思います。
歯科衛生士の仕事は「狭い職場ならではの人間関係」「手取りの給料が低い」「仕事が休みにくい」など、大変な面も多いですし、正規での復職がしにくい様々な事情があったりと、将来面のキャリアとしても続けるべきか悩んでいる方も多いと思います。
今回は歯科衛生士から転職を考えている方に向けて、元医療人材業界出身の筆者が以下を解説しています。
- 歯科衛生士から転職を考える原因
- 歯科衛生士からの転職先
- 歯科衛生士から転職する方法
- 歯科衛生士から転職するメリット
歯科衛生士の仕事を辞めたいと思っている方、もっとキャリアップしたい方、将来のキャリアを考えていきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.歯科衛生士から転職を考える理由
歯科衛生士から転職を考えるのには、どんな理由があるのでしょうか。
一般的には以下の理由をあげて転職をされる方、辞めたいと思う方が多いです。
- 人間関係に悩まされることが多い
(狭い職場なので人間関係が悪化しやすい) - 手取りの給料が低い
(正社員で働いていてもアルバイト程度の給与しかない。福利厚生がない医院も多く、手取りに換算すると給料が低い) - 仕事が休めない
(ギリギリの人数で経営するため体調不良でも仕事に行かなくてはならない) - 開業医の院長に左右されることが多い
(ワンマン院長は一般常識を離れた価値観を持っていることがあったり、拘束時間が長く仕事へのやりがいが感じにくい) - 仕事に魅力を感じなくなってしまった
(どこへ就職しても仕事内容が同じなので、安定はあるが刺激がない) - 60歳までできる仕事ではない
(正社員として復職したい場合に、上記の理由からもいつまでも続けられない) - 出産後のフルタイムでの復職がしにくい
(正規雇用では育児や家事との両立がしにくい)
などの理由があげられました。
これらの理由の中でも特に「手取りの給料が低い」「仕事が休めない」は、自分の意思では変えることが不可能なので、歯科衛生士から転職をしないのであれば、永続的につきまとう問題になります。
「職場の人間関係」「院長の人間性」も簡単には改善が難しく長期で付き合っていくべき問題にはなるでしょう。
女性の場合は結婚・出産後の長い人生において、万が一何かがあった時に復職ができるのか?という点も重要ですが、歯科衛生士の仕事は資格があれば仕事自体はありますが、低い給料で休みにくいため家庭を支えたり育児との両立を考えると厳しい面があります。
(フルタイムではなく、派遣やアルバイトで働くには良い資格ではありますが。)
これらの事情から、歯科衛生士から他の仕事へ転職していく方が多いです。
2.歯科衛生士からの転職先
歯科衛生士から転職する際にどのような転職先の候補があるのでしょうか。
多くが未経験からのスタートになりますが、ここでは歯科衛生士から転職していく方に多い転職先について紹介します。
「どの職種が自分に向いているのだろう」と思ってしまう方は、まずは自己分析から始めるのがおすすめです。
リクルートが無料で提供する「グッドポイント診断」を使うと、自分でも気付けない5つの強みを教えてくれたり、適職探しができます。
①事務
歯科衛生士からの転職で最も多いのが事務職です。事務は主にパソコンを使ったデータ入力や、書類整理、来客対応までを会社の規模や業種に応じて行います。会社の規模によっては総務、経理、人事の仕事を一部兼任することもあります。
人と接しない仕事が好きな方、一人でする仕事が好きな方、安定性を重視する人におすすめです。
②その他オフィスワーク
事務職の他にオフィス内で行われる事務寄りな仕事を広義にオフィスワークといいます。
コールセンター職(問い合わせ対応)、リサーチ職、総務・人事・秘書などの補助、受付などが該当し、事務よりも人と接することなど他の要素が多いものが含まれる傾向にあります。
③営業、企画、マーケティング
お客様や取引先と接したり、頭を使ったりすることが中心の仕事で、会社の骨幹となる部署であることが多く、売上を立てる仕事になります。
営業や企画の仕事でも属人的なものが多く、事務やマーケティングの要素を含む仕事を担当することも多いです。
例えば営業でも、クライアントに話すための資料作成の時間は多く、企画でも多数の取引先や顧客と関わる営業的な側面があります。”会社の売上を立てることにより関係する仕事”のなんでも屋というイメージで、デスクワークと人と接する仕事の中間のような存在です。
④サービス業(販売接客)
販売員や接客などのサービス業で、とにかく人と接することが好きな方に向いています。販売接客から商品管理、店舗運営全般の仕事が中心になります。営業職は新規というイメージがありますが、サービス業は来客した人をいかにクロージング(成約や満足)させるか、という仕事になります。
⑤ケアマネージャー(ケアマネ)
ケアマネージャーは介護や生活支援を必要とする人が適切なサービスや制度を利用して自立した生活を送れるようサポートする仕事です。介護支援専門員とも呼びます。公的資格なので各都道府県で資格試験に合格する必要があり、試験は毎年1回10月に開催されます。
また、試験を受講するためには歯科衛生士をはじめとする保健・福祉・医療分野での国家資格を持ち、5年以上の実務経験があることが条件です。
⑥医療事務
医療事務は病院やクリニックで事務や経理、受付などの業務を行う仕事です。歯科医院でも雇用していることがほとんどなので、馴染みのある仕事だと思います。一般事務と異なるのが企業ではなく病院であること、患者と接する機会が多いことです。
⑦歯の予防商品に関わる企業
ここまでご紹介した職種に加え、歯の予防品に関わる企業は歯科衛生士の経験や知識を活かしやすいです。
例えばオーラルケア、ライオン、松風、ファインなどのメーカー企業や、ケンコーコムなどの通販サイトがあげられます。
⑧看護師
歯科衛生士から看護師を目指す方もいます。いわゆるダブルライセンス(2種類の免許を取得している人)です。
口腔外科や小児科では看護師の仕事をしつつ歯科衛生士の資格を活かすことができます。ただし看護師を目指す場合、待遇面以外においては歯科衛生士よりもハードな職業であることは否めません。人間関係や労働環境といった面では歯科衛生士と同じ悩みを抱えることになる場合があるので、歯科衛生士から転職を考えている方にはあまりお勧めではありません。
2-2.歯科衛生士から転職しない方が良い仕事は?
今の悩みと同じような職場環境になる仕事には転職しない方が良いでしょう。
例えば職場が狭い、仕事が休みにくい、給料が低いなどの要件に多く該当するような仕事は同じ問題を引き起こす可能性が高まります。実際のところ、医療・介護・福祉業界の多くの仕事は該当するのが現状です。
2-3.今の職場が嫌なだけで歯科衛生士の仕事は続けても良い場合
もし今の職場に問題があると考えていて、歯科衛生士の仕事はまだ続けたいという場合、無理に異業種への転職をせずに、まずは今の歯科医院から別の歯科医院に転職をしてみるのも良いでしょう。
歯科衛生士としてのキャリアが足りないと感じている場合は特に有効です。
歯科衛生士の仕事に特化した求人サイトの中で業界大手の2つである「ファーストナビ歯科衛生士」と「ジョブメドレー」に登録をして、転職の準備をしていきましょう。
思った時に少しでも行動に移すということが大切です。
3.歯科衛生士から転職する方法
どのような転職先があるのかをご紹介しましたが、続いて歯科衛生士から転職する方法を解説していきます。
転職活動でまず前提にすべきことは、自分だけで転職活動を進めないということです。
自己流では時間がかかる上に間違えた方向に進んでしまう場合が多く、結局だらだらと現職に止まったり、転職に失敗してしまう可能性があります。
どのように転職を進めれば良いかをケース別で解説します。次のことを踏まえて転職を進めていきましょう。
3-1.ハローワークよりも転職支援サービスを使うこと
転職を考えたら「まずハローワークに行く」という行動を起こしてしまい、そこで挫折してしまう方や自信を無くす方が多いです。
最終的に挫折してしまう理由は大きく2つです。
- 担当者の知識や情報量、紹介意欲が乏しいので、有益なキャリア提案や求人紹介ができない
- 求人情報がメンテナンスされていない(募集が終了している求人、経験者のみの求人など見分けがつかない)
そのため歯科衛生士から転職を考える場合は転職支援サービスを使いましょう。
転職支援サービスのメリットは大きく以下の4つです。
- 未経験歓迎の求人を絞って複数紹介してくれる
- 20代の若手がほしい企業や、30代のベテランがほしい企業など、企業の内情を細かく把握しているのでマッチしやすい
- ハローワークに掲載されない非公開求人を多く紹介している
- 企業の内情を把握した上で、書類作成や面接対策、条件交渉までを無料でサポートしてくれる
3-2.おすすめの転職支援サービスは3社
歯科衛生士など未経験で転職をする際におすすめの転職支援サービスは以下の3つです。
①マイナビエージェント
マイナビグループが運営する業界大手の転職支援サービスです。マイナビは大手の中でもカウンセリングに力を入れています。初めての転職でも1人ずつ丁寧に時間をとってくれるので、未経験での転職におすすめです。
マイナビエージェント
②ハタラクティブ
20代の若手や第二新卒向けで大手です。オフィスワークからサービス業、専門職まで幅広い点が魅力です。
ほとんど経験がなくても若手を採用したい企業のみを紹介しているので、とても効率的に転職活動ができます。
ハタラクティブ
③type転職エージェント
関東の一都三県のみ対応ですが、未経験から事務やオフィスワークへの転職に強い大手です。担当も専任でついてもらうことができて、サポートはマイナビと同じく丁寧です。
type転職エージェント
転職支援サービスの中でも、歯科衛生士などの未経験からの転職で特におすすめなのが上記の3社です。
会員登録をすると求人紹介やカウンセラーとの面談などの案内をもらえますので、まずは登録しておきましょう。
3-3.すぐに転職を考えていなくても求人サイトには登録しておく
今すぐには行動を開始しない方でも、求人サイトには登録しておくことをお勧めします。転職したいと思っても行動しなければいつまで経っても状況は変わらずに、しかし年齢と共に不利になってしまいます。
求人サイトへ登録しておくことで、転職活動に向けた自覚を高められます。さらに自分の希望条件を登録しておくことで、どんな求人が募集されているのか?をメールで受け取ることができます。
歯科衛生士におすすめしたい求人サイトは「リクナビNEXT
」と「doda」です。この2つのサイトは転職業界で最大手のリクルートとパーソルキャリア(旧:インテリジェンス)の運営で、未経験からの転職に強い求人が多いのが特徴です。
また、各サイトとも8割が独占求人なので、2つのサイトへ登録しても求人が重複することが殆どないです。
両方に登録しておくのがおすすめですが、特に「リクナビNEXT」では自分の適職や強みがわかる「グッドポイント診断」を会員向けに無料で提供しているので、利用してみるのがおすすめです。
リクナビNEXT3-4.まずは派遣社員という選択肢も良い
未経験で事務職に転職するのは難しそう・・と思ってしまう方でも、そんなことはありません。
ですがどうしても自信のない方は、まずは派遣社員で一時的に事務職の仕事に就いて経験を身につける方法もおすすめですし、保険として登録しておくのも良いです。
・派遣社員とは?
派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の企業で働くという雇用形態です。多くは週5日間のフルタイムで、正社員と同じように仕事をします。今では多くの企業で派遣社員が働いているので一般的な働き方になっています。
派遣のメリットは大きく以下の3つです。
・未経験でも就業先や就業条件を選びやすい(正社員転職が難しい大手企業の事務職に入れる)
・時給が高い(都内だと未経験でも1500円以上が多い)
・残業がほとんどなく(あっても全額支給される)、有給が消化できる
また、派遣では未経験でもスタートがしやすく、かつ未経験でも働きやすい職場(大手企業や優良企業)を選びやすいです。
歯科衛生士の仕事を続けながらPCや事務の勉強をするのは非常に大変です。高時給な派遣で働きながら実際の企業で経験を学べる方がかなり効率的になります。
派遣のデメリットとしては、時給が高い代わりにボーナスがない点と、派遣に慣れずに自分で正社員へキャリアアップしていく姿勢が必要である点がありますが、万が一転職がうまくいかなかった場合の保険として考えておくと良いですし、派遣から経験を積んで正社員で良い会社を狙うという選択肢も有効です。
派遣会社はあらゆる面で待遇やサポートが充実している大手の派遣会社を利用することがポイントです。
最もおすすめなのは日本最大手の『テンプスタッフ』と、事務職に強い大手の『スタッフサービス』です。
派遣会社では一度に複数の選考を進めることができないので、上記の2社には登録しておくとスムーズに転職活動を進めることができます。
また、事務・オフィスワーク以外でも、営業・企画、サービス業、医療系まで幅広く膨大な求人を紹介しているので、事務職以外でも活用できます。
派遣会社に登録しておけば必要なタイミングで仕事を紹介してもらえます。
4.歯科衛生士から転職するメリット(体験談)
実際に歯科衛生士から転職をした方に、転職してみて良かったことや転職するメリットをお聞きしました。
1.手取りの給料が上がる
企業に入ると社会保険や福利厚生が充実しているので、結果として手取りの給料や年収が上がったという方が多いです。
2.休みたいときに休むことができる
急な体調不良やプライベートで有給を取りたいときなど、自分の休みたいときに休むことができるようになります。
また、「休むことができる」という状況自体で、仕事への重圧がかなり緩和できます。
3.人間関係の悩みがなくなった
歯科医院は10名前後の少人数で運営されていることが多く、狭い環境でずっと同じ人たちと仕事をするストレスは非常に大きいものですが、
転職をすることで広い職場で大人数になり、人間関係の悩みがなくなったと答える方が非常に多いです。
4.院長のワンマンから解放された
開業院長の場合は一般社会で働いたことがない場合が多く、一般常識とかけ離れた価値観を持っている場合があります。
こだわりが強かったり、長時間拘束があったり、様々な雑用があったり。
それに比べて一般企業では役職者は複数いますし、常に他部署の目もあるので、ワンマンと感じるようなことは少ないでしょう。
5.職場での出会いが広がった
企業で働き始めると、職場での多くの出会いや、取引先などの社会との関わりが大きく広がります。
そこで多様な価値観に触れることができたり、異性との交流があって仕事自体への活力が増したり、私生活でも仲良くできる同僚との関係ができたという声もありました。
6.キャリアが広がった
異業種に転職をしてみることで、数ヶ月間働くと自分のキャリアが広がってくるのが実感できると思います。
これまで事務の仕事が全く経験したことがなくても、半年も働くと一通りの業務をこなせるようになってきます。
女性のキャリアという面でも選択肢が大幅に増えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。歯科衛生士から転職したい方や辞めたいと思っている方に向けて、転職先や転職の方法を紹介しました。
転職やキャリアに関しては個々人によって現状の状況が大きく異なるため、一概に共通する答えはありませんし、歯科衛生士の仕事を続けるのも素晴らしいことです。患者さんの大切な歯を治療できて感謝された時や、検診だけになった時の喜びは大きいものです。
ただ、働く立場になってみると、歯科業界従事者に対する国の支援が薄いため過酷な環境を強いられてしまいます。歯科衛生士は免許を持っていれば就職先が多いことは魅力ですが、どこでも仕事内容は一緒なのでキャリアアップの問題もあります。
資格があればいつでも歯科衛生士の仕事には就けるということもあるので、一度他の業界に移ってみて、そこから歯科衛生士という仕事を眺めてみるのも良い選択肢でしょう。
そこで歯科衛生士の方が良かったと思うことがあるかもしれませんし、もっと素晴らしい仕事がたくさんあるのだと気づくかもしれません。
あなたのキャリアや仕事が少しでも充実する手助けになれば嬉しく思います。