派遣社員から正社員になるには?転職の8つのポイント【完全ガイド】
派遣で働く人の約半数は正社員になりたいと考えています。
国でも雇用安定化を進めていますが、現実的に派遣から正社員は狭き門です。
では、正社員になるためにはどうしたら良いのでしょうか?
派遣から正社員になりたい人の疑問に答える徹底ガイドです。
目次
1. 派遣から正社員になった人は、実際どれくらいいるのか?
派遣先の会社で気に入られて、「社員としてウチで働いてくれないか?」というオファーを期待する派遣社員の方は多いでしょう。
確かに派遣から正社員になった人はいます。ざっくりと、数字で見てみましょう。
・派遣から「直接雇用」に転換した人数=約9万人
・派遣から「正社員」に転換した人数=約5万人
(※)一般社団法人日本人材派遣協会「日本の労働市場と労働者派遣制度」より
平成22年の派遣労働者は約98万人です。
ざっくり言うと、派遣から直接雇用(契約社員など)になる人が約10%で、正社員になる人は、その半数の5%程度です。
いきなり、厳しい数字が出てしまいました。
正社員を望む派遣社員では、10人に1人が正社員として登用されていることになります。
この他に、独自に転職活動して正社員になる人もいるでしょう。
確かに、派遣から正社員を目指すのは容易ではありません。
しかし、正社員になれる方法はあります。詳しい方法については、2章で解説します。
その前に、勘違いしやすいことや基本的なことを整理しておきましょう。
1-1. 直接雇用って、正社員のことじゃないの?
国は雇用安定化のために、直接雇用への転換を促しています。
派遣社員は、派遣会社が雇用主となって、派遣先企業に派遣されます。
つまり、派遣社員は「間接雇用」という形になります。
企業が雇用主となるのが「直接雇用」です。
直接雇用には、正社員・契約社員・嘱託社員・限定社員・パート・アルバイトなどが含まれます。
直接雇用=正社員とは限りません。契約社員や限定社員という場合も多いのです。
契約社員だと、直接雇用ではあっても有期契約です。
派遣の3ヶ月更新が1年更新に延びる、交通費が出るくらいのメリットはありますが、ボーナスや昇給はあまり期待できないでしょう。
でも、正社員になるためには、まず企業に直接雇用されなければいけません。
1-2. 無期雇用って、正社員のことじゃないの?
「じゃ、とりあえず有期雇用の契約社員でも、直接雇用を目指そう!」と、
派遣⇒契約社員⇒正社員という道を考える人も多いでしょう。
確かに、国は雇用安定化のために有期雇用から無期雇用を促すよう、労働契約法を改正して平成25年から施行しました。
しかし、無期雇用=正社員ではありません。
有期契約から無期契約になるというだけであり、今迄1年毎の更新だったのが、更新の必要のない無期になるというだけで、正社員として雇用する義務はありません。
契約社員という名前から変わるかもしれませんが、待遇は契約社員のまま期限が無くなるだけというケースもあります。
しかも無期契約に前向きなのは約4割程度です。次に見てみましょう。
1-3. 企業側は、無期契約に転換する気はあるの?
何らかの形で無期契約にしていくと回答した企業は42.2%です。
一方、5年を越えないように運用すると回答した企業が約15%あります。
5年以上になると申し出があった場合に無期契約にしなければならないので、その前に雇い止めにするということです。
企業側からすると、無期契約や正社員は人件費負担が大きいですから増やしたくないのが本音でしょう。
<高年齢社員や有期契約社員の法改正後の活用状況に関する調査結果速報>平成25年11月
- 有期契約が通算5年を越えないよう運用する=14.7%
- 通算5年以上有期労働者から無期契約に切り替え=28.4%
- 有期労働者の適性により、5年以前に無期契約にする=12.8%
- 雇い入れの段階から無期契約=1%
- 有期労働者を派遣や請負に切り替えでゆく=0.6%
- 対応方針は未定=38.6%
労働基準局労働条件政策課「無期転換ルールに関する雇い止めの状況について」(平成25年)
派遣⇒直接雇用の契約社員は声がかかりやすいようですが、派遣⇒無期契約の正社員の道は、なかなか険しいようです。
無期契約や正社員に積極的に切り替えるのは、人材確保が難しい業種~IT技術系や専門職、飲食・サービス業や介護・福祉業界などでしょう。
しかし、多くの企業では優秀な人材を求めています。
正社員を目指すなら、早く行動を起こしましょう。
年齢が上がれば上がるほど、正社員への門は狭くなります。
次に、正社員になる方法について解説します。
2. 派遣から正社員になるための4つの方法
派遣先から「社員にならないか?」という声が掛かっても、よく聞いてみたら、契約社員や限定社員・準社員などだったという場合が多いようです。
1章で解説したように、派遣から正社員への登用は中々難しいのが現実です。
しかし、今は全体的に雇用状況が良くなっています。
生産人口減少を目前にして、企業側の人材確保の本気度が増している状態です。
意欲・能力のある人にとっては、正社員を目指すチャンスといえます。
派遣から正社員を目指すには、下記の方法があります。
- 自分で転職先を探して応募する
- 派遣会社の「紹介予定派遣」を利用して、正社員を目指す
- 派遣会社に正社員(常用型派遣)として採用される
- 派遣会社の正社員募集情報、または派遣先から正社員の誘いが掛かるのを待つ
次に、それぞれについて説明しましょう。
3. 自分で転職先を探して応募する
正社員を目指すなら、自分で転職活動するのが最も近道と言えるでしょう。
企業で、派遣から正社員登用が少ないのには理由があります。
派遣で行う業務は、正社員が必要ではない(判断力や調整力など必要ではない)からです。
正社員には、根幹的な業務や管理職候補となる業務を担ってもらわなければなりません。
派遣業務をコツコツと長くやっていても、そもそも正社員が必要ない業務ならば、その業務に有能であったとしても正社員登用にはつながらないのです。
「こういう正社員が欲しい」という求人募集は沢山ありますから、その中から直に自分で応募するのが王道です。
本気で正社員を目指すなら、派遣で収入を確保しながら積極的に転職活動をしましょう。
転職活動の第一歩は、転職サイトや転職エージェントに登録することです。
パソナキャリアの転職に関する意識・実態調査によると、転職活動で活用した方法の第1位は転職サイト、第2位が転職エージェントです。
派遣から正社員を目指す上でおすすめの転職エージェントは「非公開求人数が多い」「未経験業種への転職実績が豊富」「面談の時間を長く割いてくれる」などの条件を備えていることです。以下の転職エージェントを利用するのがおすすめです。
・doda
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3-1. 派遣業務と同職種に転職する
上記の理由で、今迄派遣でやってきた業務と同職種の仕事に正社員として採用されるのはなかなか大変です。派遣業務と同職種に転職する場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。
3-1-1. 派遣業務と同職種に転職するメリット/デメリット
<派遣業務と同職種に転職するメリット/デメリット>
○ スキルの蓄積があり、即戦力となれる
○ いろいろな職場での同職種を経験しているので、ミスマッチが少ない
× 職種によっては正社員募集そのものが少ない
派遣はオフィスワーク系が多いですが、一般事務職は中途採用の正社員募集が少ない職種です。事務職が派遣で間に合うということは、中途採用の正社員募集が少ないのは当然と言えます。
事務職系であれば、営業事務/貿易事務/財務処理、などの専門的な業務は、中途採用でも正社員募集はそれなりにあるでしょう。
技術系は中途採用でも正社員募集が多いです。しかし「スキルがあるから大丈夫」と安心してはいけません。技術的スキルだけなら、派遣で間に合うのです。
正社員としては、技術スキルに加えて、対人力や調整能力・管理能力が求められます。
専門業務は正社員採用の可能性はありますが、特殊な専門業務の場合は欠員募集程度なのでやはり求人数としては少ないでしょう。
それでも、同職種で正社員を目指したいという場合のポイントを紹介しましょう。
3-1-2. 同職種に拘って正社員を目指す方法
①職種に拘るなら、職種以外の条件(給料や休日・労働時間等)は譲歩する覚悟で臨みましょう。
希望職種で通勤可能な正社員募集があったら、軒並み応募する位の覚悟が大切です。
まずは面接に漕ぎつけることです。
②大企業や公的機関の外郭団体などは、まず可能性はないでしょう。
中小企業、小規模の事業所や地方の事業所が狙い目です。
③事務職などの正社員募集が少ない職種は、契約社員募集でもまず応募して入社することです。
入社してからの働きで会社にとって必要な人材になれば、正社員になれる可能性はあります。
④経験業務に関る資格を取っていると、経験スキルの評価が増します。(例えば、経理であれば簿記など)
経験業務とかけ離れた資格では意味がありません。派遣で働きながら、業務に関連する資格を取得しておくと有利でしょう。
⑤職種以外の業務にも柔軟に積極的に対応する意欲が大切です。
派遣は契約業務だけやっていれば良かったのですが、正社員は専門業務以外の仕事や調整能力が要求されます。
⑥日頃派遣先で、自己PRにつながるような材料づくりを意識して仕事をしましょう。
転職面接では、具体的な経験をもとにした自己PRがポイントです。派遣のスキル+αが成功への違いを生みます。そのためには日頃から自分の職種・仕事と他の社員・業務の関連を観察しておきましょう。
⑦同じ職種でも事業所の規模によって仕事のやり方はかなり違います。
大規模な事業所で、周りが皆派遣というような所では業務の関連性が見えにくいでしょう。
中小規模で正社員との関りが多いような派遣先で、じっくり就業する方が経験の幅が広がります。
⑧職種の希望条件に合う求人情報を効率的に得るには、転職エージェントが有効です。
職種に拘る転職はこまめに探すことが大事ですが、求人情報は日々更新され情報量は膨大で見るだけでも大変です。
転職サイトに職種などの条件を登録しておくと条件に見合う求人情報が届くので、効率よく希望条件の求人情報を収集できます。検索条件の絞込みもできます。大手の転職エージェントは、求人情報以外に転職ノウハウが満載です。ぜひ活用しましょう。
⑨派遣の経験・スキルを上手にアピールするのが正社員転職成功のコツです。
転職活動に不慣れ方はぜひ転職エージェントに登録してサポートを受けることをお勧めします。
スキルがあっても、相手企業が魅力と感じるようにアピールできなければ意味がありません。
そういう相談に乗ってくれるのが転職エージェントです。
転職エージェントは専任のアドバイザーが付いて、求人と求職者のマッチングを行います。
書類の作成指導から、相手先企業に合わせた面接対策などを無料でサポートしてくれます。
転職活動にちょっと不安という方は、まず転職エージェントに登録してみましょう。
3-2. 派遣業務とは別の職種に転職する
一般的なオフィス業務・OA事務や軽作業などの仕事を経験していても、経験やスキルとしては評価されません。また派遣で特に職種に拘らずに色々な仕事を短期間ずつやっていたような場合は、スキルの蓄積がありません。
そのような場合は、未経験者として中途採用募集に応募することになります。
今は全体的に人手不足感が増しているので、未経験者募集も結構あります。
未経験者として転職する場合の一番の心配は、転職してからのミスマッチです。
転職したい業種があったら、その業種の仕事を短期間でも派遣で就業してみると良いでしょう。
3ヶ月くらい働くと凡その感じがわかります。その間に、その業種のことを調べてみましょう。
実際にやってみると、自分に合う、イメージと違ったなどがわかります。
上司や人間関係などは職場によって違うので、チェックすべきは仕事に関る本質的な部分です。
例えば介護業界は未経験者でも正社員を多く募集していますが、お年寄りと接するのが性に合わないのであればお互いに不幸です。頭では出来るだろうと思っていても、実際にやってみると、どうしても気持ちがついていかないこともあります。
特に、感情労働の比重が高い職種(介護・接客など)は、対象者によっても違うでしょう。
3-2-1. 派遣業務とは別の職種、未経験の職種で正社員を目指すポイント
未経験者求人の場合は多くがポテンシャル採用(潜在力やを期待)ですから、「正社員として働きたい!」という熱意や意欲は最も大切です。
①意欲がきちんと応募先企業に伝わるためには、ストーリーがポイントです。
ストーリーとは、なぜ派遣から正社員になりたいのか、正社員になってどのように働きたいのか、将来どのように貢献できるのかという一貫性のある流れを考えることです。
「安定性があるから正社員になりたい」では採用されません。正社員だからこそのやりがいを求め職業人として成長したいという意欲がなければ、わざわざ正社員として中途採用しません。
②応募先企業の業種での派遣経験が長ければ、ストーリーとして一貫性があります。
ちょっとイヤなことがあると短期間で派遣先を変えるということを繰り返していた人は、正社員は難しいかもしれません。既にコロコロ変えている場合は、その理由をしっかり振り返り自分で改善できることは努力しましょう。
③既に短期間で派遣先をコロコロ変えている場合は、経歴書に一々派遣先や期間を書くのではなく、「○年~○年、派遣会社の登録派遣として就業し、事務職・受付業務を中心に就業」などとまとめる方法もあります。
その中で、応募先企業に関連のある仕事があれば経験内容を書くとよいでしょう。派遣先変更は転職とは違うので、一々書かなくても経歴詐称にはなりません。
但し、その間の派遣状況を尋ねられる場合もあるので、答えを用意しておきましょう。
「自分の適性を確かめるため、実際に仕事を経験しようと思った」
「将来就きたい業界の勉強のために、業界の色々な職場を経験しようと思った」
「スキルアップのため」
など…ストーリーと矛盾しないようなポジティブな理由にすることが大切です。
④今は不足することがあっても、向上意欲があることを示すこともポイントです。
今迄の就業経験の中で、失敗した時にどのように対策を工夫したか、困難があった時にどのように乗り越えたかなど、向上や改善の具体例を掘り起こしておきましょう。
⑤未経験応募の場合は、求人企業が欲しい人材像と自分が合うかどうかがポイントです。
しかし、そういうことは自分ではわかりません。
転職エージェントに登録して、アドバイスを受けるのがお勧めです。
派遣で色々な職場を経験しているのであれば、社会での就業経験はあるわけです。
自分では気付かない部分がアピール材料になる場合もあります。
また経歴書の書き方の指導もしてくれます。経歴書の書き方次第では書類選考で落とされることもありますから、よく相談しましょう。転職エージェントは、求人企業の要望や背景などを把握しています。求職者の特性を理解してマッチングをしてくれます。
⑥未経験で正社員を目指す場合の情報収集は、豊富な求人情報を持つ大手転職サイトが有効です。
大手の転職サイトは、「正社員」、「未経験歓迎」、「研修制度充実」、「子育て支援」、「大手企業」など色々な条件で検索できます。
未経験の場合は、教育・研修が定着のポイントです。教育・人材育成に力を入れている所は、人を大事にする意識があるといえます。
従業員100人以上の事業所は、組織もそれなりに整っており離職率も低い傾向にあります。
⑦希望業界や職種があれば別ですが、未経験応募の場合の情報収集では、従業員規模や教育制度、表示があれば勤続年数などを重点的に検索しましょう。給料条件は後回しです。
未経験なのに高額提示の案件は、注意が必要です。企業姿勢や経営方針が非常に大切です。応募しようと思う企業のHPで、経営者の考え・メッセージを確認しましょう。
⑧派遣で働きながら転職活動をする場合は、仕事紹介の時に3ヶ月以下更新の仕事にしておくとよいでしょう。
中途採用の場合は、内定から入社まで待ってもらえて1~2ヶ月です。
4. 紹介予定派遣を利用して、正社員を目指す
紹介予定派遣とは、派遣先での直接雇用(正社員や契約社員)を前提として派遣されるシステムです。企業と派遣スタッフ双方のお見合い期間が最大6ヶ月あり、双方が合意すれば派遣契約終了後に派遣先企業に直接雇用されます。
双方が納得すればミスマッチが少なく、とても良いシステムです。
4-1. 紹介予定派遣っていいことだらけ?
紹介予定派遣は非常に良いシステムですが、いいことばかりではありません。
メリット、デメリットを確認しておきましょう。
<紹介予定派遣のメリット>
○ 実際に働いて、職場の雰囲気、仕事能力・人柄などがわかるので、企業・労働者双方にとってミスマッチが少ない。
○ 自分で転職活動をする面倒がない(履歴書や面接等はあるが派遣会社がサポートしてくれる)
○ 面接回数は、ほとんど1回で済む
○ 通常の中途採用試験では経歴・スキルが重視されるが、派遣期間に人柄や仕事ぶりなどのヒューマンスキルを見てもらえる
<紹介予定派遣のデメリット>
× 双方の合意が必要なので、派遣期間の仕事ぶりによっては採用されないこともある
× 直接雇用でも正社員とは限らず、契約社員の場合も多い(案件に正社員と明記していない場合は、ほぼ契約社員と考えるのが妥当)
× 派遣時の業務=採用後の業務とは限らない。社員になると業務内容や労働条件も変わる
4-2. 紹介予定派遣から正社員になれるのはどのくらい?
実際に紹介予定派遣から正社員になれる可能性が、どのくらいなのか?非常に気になりますね。
結論から言うと、紹介予定派遣から正社員になれるのは約3割です。
①紹介予定派遣で派遣された労働者のうち、直接雇用に結びついた人は、56.6%です。(※)
<一般労働者派遣事業における紹介予定派遣の状況>
- 紹介予定派遣で派遣された労働者数=58,065人
- 職業紹介を実施した人数=45,029人
- 直接雇用に結びついた労働者数=32,870人
(※)厚生労働省 労働者派遣事業報告書(平成26年)
約半数強は、直接雇用として採用されている実績があります。
では、そのうち正社員になれるのは、どのくらいなのでしょう?
②直接雇用から正社員は58%
紹介予定派遣で直接雇用採用されたうち、約58%は正社員になっています(※)
<派遣先で直接雇用後の雇用区分>
- 正社員=57.8%
- 契約社員=34.4%
- その他・無回答=7.8%
(※)独立行政法人 労働政策研究・研修機構「人材派遣会社におけるキャリア管理に関する調査」(派遣元調査)平成22年
調査の年度が違うので、ざっくりと割合でみると、
紹介予定派遣⇒直接雇用(57%) × 直接雇用のうち正社員(58%)=33%
つまり、紹介予定派遣から正社員になれるのは、約3割程度です。
4-3. 紹介予定派遣の流れ
紹介予定派遣の応募から採用までの大まかな流れを説明しましょう。
紹介予定派遣を実施している派遣会社に登録
↓
紹介予定派遣案件に応募(この段階では企業名はわからない)
↓ 派遣会社内での選考
派遣先を紹介される(仕事紹介の時に、雇用後の雇用形態がわかる)
↓
派遣会社を通じて派遣先に履歴書と経歴書を提出
↓ 派遣先での書類選考
面接(派遣会社の担当も同行)
↓
面接で派遣が決まると、最大6ヶ月(大体3ヶ月が多い)派遣契約で就業
↓
契約終了前後に派遣先と本人との合意(不採用の場合は、契約満了で終り)
↓
採用の場合は派遣会社との雇用契約を解消し、企業と直接雇用契約
紹介予定派遣は通常派遣と違い、契約の前に面接があります。
事実上の採用面接です。この面接に受かると、お試し期間の派遣就業となります。
中には、お試し期間で落とされる場合もありますが、面接が最大のポイントです。
一般の転職面接と基本的に同じです。
派遣会社の営業担当と相談して、しっかりと面接対策をして臨みましょう。
4-4. 紹介予定派遣で正社員になる方法
紹介予定派遣はミスマッチの少ないシステムです。積極的に活用しましょう。
派遣会社の案件に応募する場合は、派遣会社選びから始まります。
・紹介予定派遣に強い派遣会社を選ぶ(職種や地域等によっても違います)
・紹介予定派遣に応募する際、派遣先企業での正社員登用実績を聞いてみる
また、紹介予定派遣から正社員になるためのポイントは、事前面接と派遣後の就業期間です。順に説明します。
4-4-1. 紹介予定派遣に強い大手派遣会社
紹介予定派遣は派遣会社によって強い・弱いが明確です。まったく扱っていない派遣会社もあります。
紹介予定派遣に強い大手の派遣会社は以下の通りです。特におすすめなのはスタッフサービス、リクルートスタッフィグです。
4-4-2. 事前面接のポイント
書類選考後の事前面接は事実上の採用面接です。
一般の転職面接とほとんど同じですから、志望動機や自己PRが大切です。
不満解消型の転職は、成功しません。ポジティブな志望が大事です。
応募企業のHPなどを見て、業界研究や企業研究をしっかりしておきます。
応募企業に入社して、自分がどのように活躍できるのかをイメージして志望動機や自己PRを考えます。
今のスキルで出来ること、不足していること、どのようにキャリアアップを考えているか?
自分のスキル・経験と応募先企業の業務を絡めて、どのように活かせるかを要領よく説明できるように準備しましょう。
今迄の就業経験は必ず聞かれるでしょう。特に関連業務の経験については、具体的な内容(使えるソフトなど)を簡潔にまとめておきます。
派遣会社の営業担当にも相手企業の情報を聞いておきましょう。疑問があれば確認しておきます。面接には営業担当も同行しますが、基本的に面接そのものには口出しはできません。事前に相談してしっかり打ち合せておきましょう。
面接は長い所では1時間以上かける企業もあります。付け焼刃の準備では矛盾やボロが出てしまいます。なぜ正社員として仕事をしたいのか?を明確にしておきましょう。
4-4-3. 派遣後の就業期間のポイント
双方のお試し期間です。実務能力は勿論ですが、企業側は、人柄・ビジネスマナー・コミュニケーション能力・協調性などのヒューマンスキルを見ます。実務経験やスキルがあまりない人にとって、自分をアピールできます。アピールと言っても、あくまで仕事ぶりを通じてのアピールが大事です。
- 目の前の仕事を丁寧に一生懸命やること
- 上司や周囲への人への、報告・連絡・相談を確実にする
- 与えられた仕事+スムーズに進める気配り
- ミスをしたら素直に謝り、ミスの処理を責任もって行う
派遣契約期間も無事終了になると、双方の合意確認があります。
この時に、雇用後の就業形態や就業条件などをしっかり確認しておきましょう。
5. 派遣会社に正社員(常用型派遣)として採用される
正社員と言っても、一般企業の正社員だけではなく、派遣会社に正社員として採用される道もあります。常用型派遣といいます。
以前は一般労働者派遣業と特定労働者派遣業は区別されており、「特定労働者派遣」と言われていました。2015年の労働者派遣法改正によって、2つ派遣業の区別がなくなり、「労働者派遣業」に1本化されました。
「労働者派遣業」の派遣形態は2種類あり、登録型派遣と常用型派遣です。通常の「派遣」と言っているのは、登録型派遣です。常用型派遣について説明しましょう。
5-1. 正社員として働ける「常用型派遣」って何?
派遣には、「登録型」と「常用型」という2種類があります。
派遣会社に登録して、仕事紹介を受けて就業した期間の給料を貰うのが登録型派遣です。待機期間は無給です。
常用型派遣とは、派遣会社に正社員として雇われて、紹介された企業に派遣されます。
常用型派遣は派遣会社の正社員ですから、契約終了して次の仕事がない待機期間でも給料が支払われます。
登録型は派遣先で仕事をしないと無収入になりますが、常用型派遣は収入が安定しています。
5-2. 常用型派遣に含まれる「無期雇用派遣」って何?
常用型派遣も基本的には期限が3年ですが、改正法の例外規定で「無期雇用派遣」という労働形態が生まれました。3年という期間に縛られずに働ける仕組みです。
例えば、大型プロジェクトは立上から完了まで5年とか10年とか長期間に渡ります。その間は必要な人材を確保しないといけないわけです。
企業・労働者双方にとっても、職場で培ったスキルを長期に渡って活かせるメリットがあります。
常用型派遣でも、派遣先と派遣会社が無期雇用派遣契約をすると3年以上同一の派遣先で働くことができます。
常用型派遣=無期雇用派遣ではないので、よく判らない場合は、派遣会社に確認しましょう。
5-3. 常用型派遣のメリットとデメリット
常用型派遣のメリットとデメリットを見てみましょう。
<常用型派遣のメリット>
○ 派遣会社の正社員なので、月給制で福利厚生もある
○ 待機期間でも給料が支払われる
○ 登録型は交通費無しの場合が多いが、常用型は派遣会社から交通費が支払われる
○ 産休や育休を取得しやすい
○ ボーナスや昇給・退職金のある派遣会社もある
○ 働き方は「派遣」なので、基本的にサービス残業や重い責任はない
○ 経歴書に傷をつけずに、色々な職場の経験が積める
<常用型派遣のデメリット>
× 必ずしも自分の希望でない職種や仕事に派遣されることもある
× 待機期間中は、給料が6~8割程度に減額されることもある
× 一般的に年齢が上がると、派遣受け入れ先が少なくなる
× 待機期間が長いと、リストラされることもある
× 常用型採用は、需要のある職種に限られる
× 基本的に派遣先の派遣料金水準によるので、長く在籍しているからといって給料が上がるわけではない
常用型派遣は、派遣先が豊富にある職種・業界であることが前提です。
人手不足の業種は、常用型派遣での採用が増えています。
長期プロジェクトなどで必要な人材が欲しい企業なども利用することが多いです。
いずれにしても、派遣は経済状況や人材需給のバランスに大きく影響されます。
技術系などは比較的需要が多いですが、技術の進歩が早く必要とされるスキルが変わる場合もあります。
専門技能を持つ人は常用型派遣に向いているでしょう。
専門的業務以外でもありますが、専門性が低い場合は年齢が上がると希望の条件で就業するのが難しくなるでしょう。
長期的視野で、40代・50代にどのような働き方をしたいのか?どのようにキャリアを積むか?を考えておくことが大切です。
5-4. 常用型派遣は経験やスキルがないとダメなの?
年齢が若い場合は特別なスキルがなく未経験でも、常用型派遣を採用する派遣会社もあります。
新卒就職の場合は内定獲得への焦りや現実の仕事とのギャップから、就職後にミスマッチで離職する人は多いです。
若年労働者へのニーズは高く、新卒や第二新卒を対象とした常用型派遣の採用を増やす派遣会社も増えています。
派遣会社では、未経験者にビジネスマナーや基礎スキルなどの研修を行って派遣します。
20代でミスマッチ転職を何度も繰り返すと。正社員になるのが難しくなります。
常用型派遣は、派遣先が合わなければ契約終了後に他の仕事を紹介してもらえます。
職歴に傷をつけずに自分に合う仕事を探せるメリットがあります。
5-5. 常用型派遣の正社員として働くポイント
常用型派遣で正社員として働きたい場合は、派遣会社選びがポイントになります。
派遣会社が雇用主ですから、良い派遣先を紹介できるかどうかは派遣会社の力によります。
案件を豊富に抱えていることが重要なので、大手派遣会社が有利です。
また零細の派遣会社では、待機期間があるとすぐにリストラされる場合もあります。
希望職種・業界がある場合は、その職種・業界に強い派遣会社を選ぶと良いでしょう。
同じ常用型派遣でも、派遣会社によって待機期間の給料や教育支援制度など、待遇の差はあります。
最近は、専門職だけでなく新卒や第二新卒などを対象とする常用型派遣採用も増えています。
常用型派遣で正社員を目指すにあたって、将来的にどのようにキャリアアップを目指すのか?どんな働き方を目指すのか?をしっかり考えることが大切です。
5-5-1.常用型派遣でおすすめの派遣会社
常用型派遣では案件を豊富に抱えている大手派遣会社が有利です。国内大手5社の常用型派遣サービスは以下の通りです。
特におすすめなのは国内最大手かつ早期に常用派遣にも取り組んでいるスタッフサービス「ミラエール」です。
5-5-2.常用型派遣は派遣会社での採用選考がある
常用型派遣は派遣会社が雇用するので、派遣会社での採用選考があります。
通常の登録型派遣よりは、ややハードルは高いでしょう。職種や業界にもよります。
常用型派遣応募の際は、自分の経歴・スキル資格等を具体的に伝えることが大切です。
常用型派遣として採用後、派遣先への派遣前に事前面接があります。ここが登録型とは違う点です。
長期契約を前提とすることが多いので、スキルの他に人柄やコミュニケーション能力も大切です。
常用型派遣の企業の事前面接では、求めるスキルと本人のスキルが一致するか?と人物確認が主になります。どういう業務が求められるのか具体的に確認し、自分のスキルを簡潔に説明できるようにしましょう。
6. 派遣先の企業の正社員になりたい場合は?
優秀な派遣社員の場合は、派遣先の企業から直接雇用の誘いが掛かるということは、よくあります。ただ、直接雇用=正社員とは限りません。
通常派遣を経て直接雇用された場合の雇用形態は、契約社員が約半数です。
<派遣先で直接雇用後の雇用区分(通常派遣の場合)>
- 正社員=38.1%
- 契約社員=47.3%
- パート・アルバイト=10.3%
(※)独立行政法人 労働政策研究・研修機構「人材派遣会社におけるキャリア管理に関する調査」
気に入った派遣先で、そのまま正社員になれたら理想的ですね。
実際に働いている会社なので、双方のミスマッチは少ないというメリットがあります。
派遣先企業で正社員になるには、2つの道があります。
①派遣先企業の社員募集に応募する
②派遣先から誘いがかかるのを待つ
それぞれについて説明しましょう。
6-1. 派遣先企業の社員募集に応募する
派遣労働者の直接雇用促進のために、2015年の派遣法改正で、派遣先は一定以上の期間の派遣労働者に社員募集情報を提供する義務が定められました。
社員募集情報提供は、対象者が決められています。
社員募集情報提供の対象となるのは、1年以上継続して就業している下記の場合です。
①同一の派遣先に1年以上継続して就労している派遣労働者 ⇒ 正社員募集情報
②同一の派遣先に3年以上就労する見込みの派遣労働者で、かつ、派遣会社から雇用安定のための直接雇用の依頼があること ⇒ 正社員・契約社員・パート・アルバイトなど派遣先の全ての直接雇用の募集情報
募集情報の提供ですから、採用試験は受ける必要があります。
6-2. 派遣先から誘いがかかるのを待つ
優秀な派遣社員ならば、情報提供を待たずして社員登用の誘いがあるでしょう。
声がかかり易いのは、中小規模の会社です。大手はまずありません。
働きぶりが経営者に認められたり、他の社員が退職して後釜がいなかったりする場合に誘いがかかることが多いようです。
派遣先を辞めて数ヶ月してから、誘いの声がかかることもあります。
その職場で、「代替の利かない必要な人材」と認められることが大事です。
派遣先から正社員への誘いは、その時の派遣先企業の事情にもよりますが、以下の傾向が言えます。
①最低でも1年以上は派遣先で就業して、信頼されること
同じ派遣先で長く働いて、仕事の深さ・質が伴ってくるとその業務に必要とされます。
「派遣では特定の人を指名できないから、直接雇用しよう」ということになります。
そのためには、より良い仕事の仕方を考えながら向上していくことが大切です。
派遣であっても、自分の仕事には責任感を持っているという仕事ぶりが評価されます。
②職場で良好な人間関係を築くこと
長く働いて、派遣先で良好な人間関係を築いていると「同じ採用するなら、人柄もわかっていて一緒に仕事しやすい人が良い」ということになります。挨拶・感謝・笑顔・マナーは基本です。
一定の距離を保ちながら、節度のある関係を心掛けましょう。
③専門的業務の方が有利
専門的業務の方が有利なことは確かです。専門的業務だけなら派遣で間に合いますから、業務に加えて柔軟性・調整力など社員として迎え入れたいと思われることが大切です。
正社員として雇用を打診されたことがある人 | 直接雇用を打診されたことのない人 | |
---|---|---|
通算派遣就業期間(平均) | 81ヶ月 | 63ヶ月 |
派遣先件数(平均) | 4ヶ所 | 3ヶ所 |
就業業種 上位 | 基礎的業務=44% 専門的業務=48.7% |
基礎的業務=54.6% 専門的業務=38.7% |
平均時給 | 1513円 | 1407円 |
(※)一般社団法人人材派遣協会「2010年度派遣スタッフWEBアンケート1万人調査」
6-2-1. 派遣会社を通さずに派遣先から直接誘いがかかる~いわゆる「引き抜き」の場合
労働者は職業選択の自由が憲法によって保障されているので、派遣契約を満了した後ならば、どこに就職しても法的に問題はありません。
派遣契約終了後に派遣会社の登録を解消して、就職するという手続きを踏みます。
企業側も、派遣会社を通すと、人材紹介部門の管轄になって紹介手数料が発生する場合があります。企業も採用の自由があり、契約終了後であれば問題はありません。
常用型派遣の場合は、当該派遣先との契約が終了しても、派遣会社との雇用契約が続いているうちは就職することは出来ません。
常用型派遣の場合は、話が決まった段階で、派遣会社との雇用契約を終了した上で就職するという手続きになります。
「派遣先から社員登用の誘いがあったけど、どうしたらいいですか?」と派遣会社の営業担当に相談する人がいます。しかし、営業担当としては迷惑でしょう。
優秀な派遣スタッフを引き抜かれるのは、派遣会社にとって売上が減るだけで何のメリットにもなりません。営業担当は「なぜ、止めなかった!」と上司に問われるでしょう。
「契約終了後のことなので、自分は知りませんでした」と言える方が良いわけです。
契約終了時に、無難な理由をつけて派遣会社の登録を円満に解消しましょう。
ただし引き抜きの話は、雇用条件や採用が上まで了承済みなのかをよく確認しましょう。
直接雇用や社員登用と言っても、契約社員・限定社員・準社員など色々あります。
7. 派遣社員と正社員の違い〜「意識・成長・待遇」を理解しよう
派遣社員と正社員に違いがあるのは明白です。
派遣社員と正社員の違いと言うと、待遇や安定性に目が行きがちです。
それは確かですが、重要なのは働く意識や自分の成長をどう考えるか?ではないでしょうか。
意識/成長/待遇の観点で、派遣社員と正社員の違いを考えてみましょう。
7-1. 派遣から正社員になるときの「働く意識」の違い
派遣社員からやっと正社員に採用されても「こんなはずではなかった」という人も多々います。
「正社員になったらサービス残業が多くて、時給換算すると派遣の時より低くなった」
「派遣から正社員になったら、培ったスキルだけでなく苦手な業務もしないといけない」
「会議や打合せが多くてストレスが増えた」
「正社員になった途端に、社内の人の態度が変わった」
などという声を聞きます。
その不満の大半は、派遣として働いていた時と同じ意識でいるからです。
正社員には正社員に求められることがあります。
今は、パートや派遣・契約社員など、多様な雇用形態があります。
なぜ雇用形態がこれだけ多様化したかと言うと、経済環境の変化が激しく需要・業績予測が困難だからです。正社員を解雇するのは難しいので、正社員採用は慎重にならざるを得ません。
そのため正社員がやるべき仕事、パートや派遣に任せる仕事を分けることになります。
正社員は人件費負担が大きいです。
本人に支払われる給与が20万円でも、会社が負担する人件費は30~40万円位になります。
それだけの働きや責任が求められます。
7-7-1.正社員に求められること
正社員として最も求められるのは、企業価値の向上に貢献することです。
企業は有形無形のサービスやモノを顧客に提供することで収益を上げています。
提供することに責任を求められるのが正社員です。仕事を生み出し、根幹業務を担いパートや派遣に仕事を指示しながら業務を遂行することが求められます。
パートや派遣は終業時間になると帰れます。しかし当日中に処理すべき業務が残っていたら正社員はやらざるを得ません。パートやバイトでシフトが埋まらなければ、正社員が対応せざるを得ません。そうしなければ顧客に約束したサービスや商品を提供できないからです。
残業云々言っていられません。
ここが派遣と違う所です。
派遣社員は、派遣元と派遣先が合意した契約内容に責任を持ちます。
派遣先の企業価値の向上には責任がありません。
派遣で間に合う仕事を正社員がやるわけはなく、派遣とは内容も働き方も変わるのは当然です。
また派遣社員はいわば外注ですから、職場の人も一定の距離で接しています。しかし正社員として入社したとなると、社内の人間として対応します。人間関係も微妙に変化するでしょう。
派遣社員から正社員になる場合は、派遣の延長ではなく、正社員としての覚悟で臨むことが大切です。
7-2. 派遣から正社員になるときの「成長の機会」の違い
同じ職場で働いていても成長の機会という点で見ると、派遣社員と正社員では大きく違います。
企業側からすると、教育投資はコストも手間もかかる割には効果がすぐ現れない先行投資です。
しかし人材を育てなければ、企業の存続はありません。
新卒が入社すると新入社員研修を行い、指導者をつけて日常業務の中でOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を行う会社が多いでしょう。OJTやランチミーティングなど、日常業務の中で暗黙知の人材教育が行われます。
その他に、リーダー研修や中堅には外部セミナー、幹部候補にはマネジメント研修、専門技術者には留学研修を行い…と、正社員には段階的に様々な教育機会が提供され、成長への圧力がかかります。
業務と研修を積み重ねることで潜在能力を引き出し、正社員は仕事能力を高めて行きます。
派遣社員は自社の社員ではないので、これらの教育投資やOJTの対象外です。
派遣社員に依頼するのは、定型的業務がほとんどで人が変わっても出来る業務です。
仕事の実践力は、定型的業務をやっていたのでは身につきません。仕事の実践力とは、問題解決能力の高さともいえます。問題解決能力を求められる機会の多いほど成長につながるわけです。基本的に派遣社員は、高度な問題解決能力を求められるわけではなく、成長の機会が少ないといえます。
派遣社員でも色々な機会を捉えて、自分の成長につなげる人もいます。
また、幾ら研修をやっても成長しない正社員もいます。
しかし全体として成長の機会という面で見ると、正社員と派遣の違いは非常に大きいです。
時間が経てば経つほど、正社員と派遣社員の成長や能力の差は大きくなっていくでしょう。
7-3. 派遣社員、正社員、契約社員の「待遇」の違い
待遇などの面で、派遣社員と正社員の違いは大きいです。
契約社員も含めて、それぞれの違いを確認しておきましょう。
表は一般的なもので、正社員も契約社員も個々の企業で契約内容は異なります。
派遣の場合は、通常派遣の例ですので、常用型派遣・無期雇用派遣などは一部異なります。
正社員 | 契約社員 | 通常派遣 | |
---|---|---|---|
雇用主 | 企業(直接雇用) | 企業(直接雇用) | 派遣会社(間接雇用) |
雇用期間 | 無期雇用 正当な理由なく解雇できない |
有期雇用 1年契約が多い 5年以上就業すると、申込により無期雇用に転換ルールあるが雇い止めの場合も |
有期雇用 短期契約が多い 同一の派遣先は3年未満(例外あり) |
給与 | 月給制、 昇給・ボーナスあり |
年俸制/月給制 昇給・ボーナスはほぼ無い。あっても小額 |
時給 ボーナス・昇給なし |
福利厚生 | 法定福利厚生と企業独自の法定外福利厚生。 | 法定福利厚生(社会保険関係)はありの場合が多い。 | 派遣会社の福利厚生 派遣会社により異なる |
退職金 | 多くは退職金制度あり | 退職金なしが多い | 退職金なし |
有休休暇 | 業務の都合による | 取りやすい | 取りやすい |
育児休暇など | 取れる | 契約内容による | なし |
残業 | 業務命令なら基本的に断れない | 契約内容による | 契約時に選べる |
正社員は、待遇は良いけれども基本的に業務優先です。
正社員の仕事は責任もあり大変ですが、仕事を通じて成長できるのが最大のメリットでしょう。
特に女性は家庭との両立を望む人が多いでしょう。
残業量や休日の取りやすさなどが、重要なポイントでしょう。
現実問題として、正社員になったら残業や休日出勤が増えたという声が多いのも確かです。
自分は正社員になって、何を得たいのか?を明確にすることが大事です。
8. 派遣から社員登用の注意点
「優秀な派遣社員は、直接雇用して正社員になってもらいたい」と考える企業もあるでしょう。
しかし「社員登用あり」案件では、企業側の事情もあります。
相手の企業が何を意図して「社員登用」しているか?ということを知るのも大切です。
- 派遣法遵守の監視が厳しくなり、派遣の契約内容を厳格に守るのが難しくなった
- 社員登用ではあるが、契約社員や限定社員・地域社員・準社員など条件が様々
- 社員情報提供や登用を謳っているが、役所の指導に従うパフォーマンスで実例は僅か
- 企業イメージ
- 労働環境や仕事が苛酷で、社員が定着しない
- 過去に正社員登用したが派遣以上の仕事をせず受身のままだったので、登用の門戸は開いているがごく少数
- キャリアアップ助成金活用など
もしも社員登用の打診があったら、どの段階の話かという点も大切です。
単に直属の職場長の社交辞令ということだってあります。
会社の経営者や人事部からの話でなければ、正式な打診とは言えません。
そして、「社員」の内容・労働条件等を確認しましょう。
しっかりした企業では・雇用や就労条件などを書面でくれます。
しかし大雑把で曖昧な場合もあります。
9. まとめ
20代では経験・スキルがあまり無くても、派遣の仕事紹介は豊富にあるでしょう。
しかし、40代・50代になると紹介される仕事案件が少なくなります。
一般派遣の場合に派遣会社が紹介しやすい年齢上限の平均は、約52歳です(独立行政法人 労働政策研究・研修機構「人材派遣会社におけるキャリア管理に関する調査」より)。
多くは40代がピークです。
紹介もあるし、仕事も楽だし、時給もそれなりに良いし…と安穏として20代を過ごしていると、気が付くとスキルもあまり身に付かないまま30代になってしまいます。
30代も後半になると、正社員から転職するのでも大変です。
派遣から正社員を目指すなら、できるだけ20代のうちに転職しましょう。
派遣で働いている人は、成長戦略は自分で描き、自分で行動を起こさないといけません。
自分一人ではなかなか大変ですし、モチベーションも続きません。
転職のプロに相談してサポートを受けるのが有効です。
行動の第一歩として、転職サイトや転職エージェントに登録してみましょう。