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記事更新日:2017年03月19日

仕事の成果を出しながら充実し、自分の自由な時間を思うように目いっぱい使って毎日を過ごしているという人がどれくらいいるでしょうか。

従来の働き方を「変化」させるワークライフバランスの考え方が広がりを見せています。
この記事ではワークライフバランスに順応するための心構えや実践法、成果を出している企業の試み、立ちはだかる問題点をご紹介していきます。

1. ワークライフバランスとは

ワークライフバランスとは、すべての人が仕事をする時間と仕事以外の時間のどちらでも自分らしく充実したものにできるような社会、企業、組織、そして個人生活の構築を実現することを目的として提唱された概念です。

ワークライフバランスの考え方の始まりは1980年代。世界に先駆けたIT技術の急進展を遂げるアメリカで生まれたものと言われています。

女性のための労働環境や機会の見直しが出発点となり、のちに性別や年齢層の枠を超えた働くすべての人、さらに社会や企業の繁栄にも視点が向けられるようになっています。

仕事の場面では刻々と変化する商品やサービスに応じた技術やスキルの習得が急務ですし、それらを提供のスタイルの変化に応じた働き方が求められます。次々に新しいモノが世の中に生み出されていく中で人々の価値観も変化しています。

一方で仕事以外の場面では子育てや介護、友人との交流、自分自身を充実させる時間を確保する欲求は人々の中に変わらず在り続けます。

このバランスを取らなければ、働く人たちは仕事で求められることと自分が求めることの間で常にジレンマを抱いて生きていく社会になることが懸念されてきたのです。

現在では日本の企業でも改善意識が高まり、社員のワークライフバランスを実現していくために様々な対策が導入されています。企業にとっても優秀な人材の確保、離職率の低下、生産性の向上、顧客満足度の向上など施策導入の効果も出ているようです。

企業や組織だけでなく、従来の働き方や働き方の常識に慣れてきた各個人も柔軟にワークライフバランスについて考え、充実感のある仕事で最大限に能力を発揮し、そして自身の生活での欲求も満たしていく責任を持つ時代とも言えるでしょう。

社会や企業への貢献を活躍によって果たしながら、自分自身の充実も図ることができるWIN-WINな労働環境を叶え、共に繁栄をしていくことがワークライフバランスの到達地点なのです。

2. ワークライフバランスの実践

ではそのワークライフバランスを企業や個人が叶えていくために、どのような心構えでどのような実践を行っていけばいいのかを具体的に挙げてみます。

2-1. ワークライフバランスに必要な心構え

2-1-1. 徹底的に取り組む

企業の中の全社員がワークライフバランスの実現に向けて、仕事の時間と仕事以外の時間のメリハリをしっかりつけることを徹底する意識を持ちます。そのためのルールに忠実になることが大切です。

2-1-2. 時間を大切にする

仕事であっても仕事以外であっても費やせる時間には限りがあるという時間の貴重さを企業も個人も意識を強くすることが大切です。

2-2. 企業が実践できること

2-2-1. 全業務の見える化

組織を回していくためには業務の役割分担は不可欠ですが、社員全員が各業務のフローを理解できるようにしておきます。これにより一部の人だけに業務負荷が偏ることや業務の属人化を防ぐことができます。

また業務に多岐に関わる機会が多くなることで社員の裁量度や主体性も増し、組織内の意思決定の迅速化も期待できます。ファイルや資料の配置場所を共有化しておくことも効率化の一部となるでしょう。

2-2-2. スケジュールの共有化

各社員、各プロジェクトや業務における進捗状況や顧客情報を組織内全体で共有されるような体制を作ります。社員同士がお互いのスケジュールを確認できることで効率的な業務の協働が可能になります。

またそれぞれのスケジュールも業務の状況や一緒に働いている人たちへの配慮を持って設定できるようになります。コミュニケーションを活発化するというメリットもあります。

2-2-3. 社員が働ける場所を多様化する

IT技術の発達によって、これまで当たり前だった通勤、勤務する場所の枠を外すことも可能になってきています。業務の対応度と同時に、社員にとっての時間の活用幅を広げることができます。

社員個々のニーズに合わせられる仕事の存在は働く機会も増やします。家庭の事情ややりたいことを持つ社員にとって今までは「退職」しかなかった選択肢を大きく広げることにもなります。

2-2-4. 残業管理・休暇取得の徹底

組織の制定した休暇日数を義務的に消化させるためにも、経営者や管理職が自ら休暇を楽しむことで社員全員が取りやすい環境を作っていくことが大切です。

どんな理由があっても顧客満足を得るため、評価や昇進のためを考えると定時退社、有給の取得がしにくい風潮は、休暇制度を絵に描いた餅にしていたのです。

休暇の時間を充実させることも一種のスキルであり、優秀な人材の育成促進、個々の仕事上の成長にも繋がっているのです。

2-2-5. 集中時間の設定

仕事を効率よく進めなければ、限られた業務時間内に終わらせることができません。仕事をこなすには一定の集中力が求められますが、組織の中では、顧客対応、電話対応、スタッフ対応と様々なことが集中の妨げになることが多いものです。

各社員が業務スタイルに合わせて1日の中の1、2時間でもそれらの全てを受け付けない時間を設けることで業務の滞りや社員のストレスを軽減することができます。

2-2-6. 会議やミーティングの効率化

会議やミーティングの効率を上げるために、ひとつひとつの会議でのプロセスの改善を図ります。

会議の目的を明確化すること、会議の参加者の選抜、場所や時間への配慮、必ず目的に対する結果や結論に達することなどを軸にして行うことで無駄な時間を省くことができます。

2-3. 個人が実践できること

2-3-1. 自己ビジョンを持ち計画する

3年後、5年後、自分がどうなっていたいのか、どんなことができるようになっていたいのか、何を楽しんで生きていたいかなどを明確にしましょう。

それによって計画を立てるとワークライフバランスの浸透によって得られる自分の時間を充実させ、有効活用していくことができます。

2-3-2. LIFEの充実の有効性を知る

仕事以外の時間が増えることで、その時間を自分らしい有意義なものにすることができます。伸ばしたいスキルや興味のある知識の習得のための学習時間、通学時間に充てることもできます。残業をして業務だけに縛られた毎日では難しいことです。

自発的なものなのでストレスも少なく、学びの吸収も早いでしょう。そのスキルアップによって企業にとっても長い目で見れば向上していく人材の確保に繋がるのです。

家庭を持つ人であれば、育児や介護が問題になることもあります。仕事と家庭のどちらが疎かになっても罪悪感やストレスになります。そんな中でも自分の時間を持つことは精神的にも肉体的にも大切なことです。

心身が健康であるからこそ充実した毎日になり、その両立バランスが保てるなら社会で活躍できる能力を埋もれさせない仕事でも活躍することができるのです。偏りのないバランス感覚を持つことは各個人も目指すべきことなのです。

2-3-3. いつまでにどこまでやるかの徹底が要

ひとつひとつの業務において、いつまでにどこまでやるのかという目標を設定して行うことが業務の効率化への第一歩です。自由になる自分の時間が確保できるという権利の代わりに、限られた時間の中で仕事を完了させていく義務が発生するのです。

目標を達成するためのスキルの向上や改善策を取ることは自己の成長にも繋がります。どれだけの時間仕事をしたかではなく、限られた時間でどれだけの成果を出せたかという視点で仕事をしていくことが大切です。

3. ワークライフバランスの問題点

これまでの働き方を変革していく概念が浸透し、様々なワークライフバランスのための施策が実践され、確かな成果を得ていくところまで到達できていない企業は多いものです。どんなことが問題点になっているのかを見ていきます。

3-1. ワークライフバランスの意義の未熟な捉え方

社会の中で本来のワークライフバランスの意義の捉え方が浸透していないことが懸念されているようです。ワークライフバランスの提唱は、単純に働き過ぎを防ぐために労働時間を削減して、残りの時間を休もうというものではありません。

人材不足の企業が残業なしや休暇制度の充実を謳って労働時間が短いということをアピール材料とし、求職者側も休みが多い=仕事がラク・少ないなどといった職業モラルの低い選択をすることにも繋がっているようです。

ワークライフバランスの目標は、ワークとライフ双方の質を上げ、個人も企業も繁栄を遂げることにあり、実は努力が必要なものなのです。

3-2. 経営者の目的・目標が不可欠

経営戦略としても意識改革が必要になります。

どんな目的で、どのように行い、それを全社員に納得して徹底させる指針と体制を作っていかなければ、単に労働時間を削減するだけになってしまい、企業がワークライフバランスを導入するメリットを享受できないのです。

施策徹底のための積極的に全社員に対して働きかけを行っている企業はまだ多くはないようです。

3-3. 実践に移しにくい体制・環境

労働時間の短くなると怠惰と取られ、逆に言えば長く時間を費やすほど働いているという意識の風潮から抜け切れない企業では、定時で帰宅しにくい、休暇を取りにくい、相談できないが蔓延しています。

個人の考え方の中にも根付いてしまっているのです。企業が導入する休暇制度を活用した場合に人事評価などにどう反映、影響するのかも明確になっていないこともその懸念原因のひとつです。残業代によって生活を維持できているという社員もいます。

ワークライフバランスは、上記のことが仕事への意欲、能力向上の阻害、やりがいの欠如に繋がっているからこそ生まれたものです。

個人は限られた時間の中でも成果を出し、充実感を得られる人材になること、企業は個々の能力向上のためのバックアップ体制を整えることが急務となっています。

3-4. 男女格差

女性は出産や育児という機を経て、ワークライフバランスの制度を取り入れやすく、周りの理解も得やすいという環境が出来上がっています。

男女雇用機会均等法などで女性の社会的立場が擁護される傾向が強い時代が続いてきましたが、同じように男性の方も家庭の時間を考え、作る権利はあるはずなのです。

家事や育児に積極的に関わり、奥さんと本当の意味での男女平等な立ち位置でキャリアを築いていくことが大切でしょう。

4. ワークライフバランスに取り組む好事例

日本でも多くの企業がワークライフバランスのための対策を導入し、社員にとっても企業にとっても成長、発展を遂げていくことに役立てています。ここで好事例をいくつかご紹介します。

4-1. 業務体制の見直しで労働時間内の効率を上げる

新日本石油では、「残業をしない」ことを単なるルールで提示するだけでなく、そのための具体策を社員に対して発信することで、社員が安心して時短や効率化に取り組めるようになっています。その項目は管理職や上司への働きかけが主なものとなっています。

例えば、上司が部下に業務の指示や割り振りをする際には、「何を」「いつまでに」「目的」を明確にし、社員はその時点で抱えている業務を伝えた上で納得して指示を受けることになっています。

また上司が社員の業務フローを見守り、残業は必要時だけに制限されています。

三州製菓では、一人三役の制度が取り入れられています。業務には成果を上げる責任が伴う一方で、休暇を取り仕事を離れる時間が多くなれば、その間の進行が止まってしまうことを気にする社員は多いはずです。

対応策として、メインとサブの仕事を覚えておくことによって、担当者が休暇を取った際にフォローできる体制が整えられています。

お互いに協力し合うことで気兼ねなく長期休暇が取れるだけでなく、通常業務時でも顧客対応幅の拡張、繁盛期配置の調整も可能にしています。

トリンプや富士ゼロックスでは、「集中タイム」「フォーカスタイム」を導入されています。期限を設け、質を保った業務を行っていくには自分の仕事に集中する時間が必要という配慮がなされたのです。

トリンプの場合、毎日2時間はコピー・電話・立ち歩きをはじめ、部下への指示や上司への確認も禁止されています。集中できる時間があるという余裕はそれ以外のコミュニケーション時間も充実でき、社内でも好評だそうです。

4-2. 業務成果に繋がる休暇制度の充実

ツナグ・ソリューションズでは、家族や友人との貴重な時間、社会への積極的な関わり、また自分を高めるための啓発や学習など仕事以外の大切な時間をインプットの機会と捉えています。

仕事で有効にアウトプットしてもらうとの意図からLOVE休暇、勉強休暇、カルチャー&エンタメ半休、理美容半休などの特別休暇制度を充実させています。管理職が自らの取得経験を話す、積極的な取得の声掛けをするなどによって全体の取得率を上げています。

4-3. ワークライフバランスを理解した管理職の設置

旅行会社のジェイティービーでは、まず管理職のワークライフバランスの意義理解が不可欠とし、経営陣と社員との間の潤滑油的な存在として双方の思いや意見の橋渡し役を担います。

管理職がきちんと理解をし、個々の意識改革を行うことで率先してワークライフバランスの取り組みを自ら実践し、部署、部下に風土を通じて浸透させることに成功しています。効率性、チーム力の強化にも繋がっているようです。

4-4. 職業モラル向上のために企業独自のメッセージを発信

ベネッセコーポレーションではワークライフバランスを敢えてワークライフマネジメントと題して導入をしています。

社員に業務環境や制度に対して相応の成果を出すために、個々のワークもライフもセルフマネジメントによって向上させ事業の成長にも繋げて欲しいという意図をしっかりと伝えるためです。

マネジメントできることを前提として、在宅勤務制度の導入も行っています。

まとめ

ワークライフバランスは、生ぬるいものでもなく、優しいだけの戦略ではありません。企業も個人も主体性を持ち、目標をクリアし続けていくことが実践と言えるかもしれません。

時代の変化のいい部分をうまく活かせる仕事の環境が生まれるごとにワークライフバランスの良循環の助けになっていくでしょう。

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