このエントリーをはてなブックマークに追加

記事更新日:2017年03月04日

看護師として活躍出来る様々な仕事環境の中でも「精神科」に関心を持っている看護師は多いです。しかし精神科は、仕事内容や働き方、給料などがイメージしづらい独特の分野でもあります。

そこでこの記事では、精神科に勤める現役の看護師である筆者が精神科で働く看護師の仕事内容や職業事情、転職の方法などをご紹介したいと思います。

1. 精神科で働く看護師の仕事

看護師は学生時代に現場を一通り実習で経験しています。しかし精神科の看護には、それだけでは理解しきれない奥深さがあると言えるでしょう。精神科には他の診療科とは違った独特の時間の流れがあり、一人の患者様とじっくり向き合い看護展開するという魅力があります。

1-1. 精神科看護師の仕事内容と役割

精神科と他の診療科の看護の大きな違いは、患者様の病態が検査データなど目に見える形で判断できないところです。
精神疾患は患者様からの訴えや態度、家族等身近な人からの情報により病態を把握していきます。医師・心理士・ケースワーカーと連携し、多方面からの情報を集めて全体像を捉えていくのです。

・アセスメントや看護計画

年齢・性別・症状・生育歴・家族や社会の環境・性格などの情報収集の後、アセスメントを行い、看護計画を立てていきます。そのため精神科看護師にとっては、患者様やその家族との信頼関係を築くことが最も重要です。看護師のアセスメント次第で患者様の経過が左右されると言っても過言ではありません。

そのため近年の精神科病棟では、プライマリー制やモジュール制をとっているところが多いです。担当の患者様をしっかり観察し、じっくりと人間関係を築いてこそ得られる情報があります。そのように引き出した患者様の「本音」こそが、アセスメントの鍵となるのです。

・服薬の管理

入院期間の長い患者様が多いため、中には若い看護師には頼りたくないという方もいます。担当患者様の情報を絶対自分が収集するという意気込みは、患者様の負担になり兼ねません。モジュール内で協力し合って時には先輩看護師に依頼したり、他職種からの情報をもらったりといった職員間のコミュニケーションも大切な仕事です。

もうひとつ特徴的な看護に服薬の管理があります。精神疾患を患う患者様にとって、薬は大切な命綱です。何週間、何カ月といった長い時間をかけて、1人1人に合った薬を微調整していきます。毎日の生活の一番身近にいる看護師は、患者様の些細な変化に気付く観察力が必要です。

また精神科の患者様は病識のない方も多いため、「拒薬」をする場合があります。服薬が確実に行われたかどうかの確認は、入念に行います。退院後に服薬を自己中断し再発してしまうようなことがないよう、患者様自身が服薬の重要性をしっかり学べる機会も作っていきます。

・自己抑制できない患者様の対応

精神科独特の役割として、自己抑制できなくなった患者様の対応も忘れてはいけません。病状が悪化すると、暴力・暴言などが現れることがあります。興奮状態で暴れてしまう患者様に対しては、看護師が制止しなければなりません。

そのため精神科では男性看護師も多く活躍しています。暴力や暴言は病状によるものと理解し、気持ちをしっかり持つことが大切です。

・身体拘束の管理

閉鎖病棟や隔離室、抑制など身体拘束の管理も他の診療科にはない重要な役割です。精神科の患者様にとって刺激をより少なくした環境を整えることは、薬物療法と同じくらい大切なことです。

特に自傷他害のある患者様は、こういった行動制限によって身体の安全を守らなければなりません。医師の指示のもと確実な身体拘束を行うこと、身体拘束中は特に重点的に観察の目を行き届かせることが看護師に求められます。

1-2. 精神科看護師の仕事場について

看護師の精神科の仕事場は、病院・病練・クリニック・介護福祉施設などです。同じ精神科の看護師でも、仕事場によって仕事内容が変わってきます。

・精神病院

精神病院は、主に精神科単科の病院で外来と病棟があります。病棟の中には急性期病棟と慢性期病棟があり、認知症病棟・アルコール依存症病棟・社会復帰病棟・合併症病棟など病院によって様々な病棟があります。中には退院した患者様のためのデイケア・福祉ホームなどが併設されているところも。

スーパー救急を行っている病院は、救急で搬送されてくる患者様を24時間受け入れ態勢をとっているため、外来業務や夜勤業務も楽とは言えません。精神科の患者様の経過ごとに様々な看護を学ぶことが出来る病院です。

・総合病院に併設された精神科

総合病院に併設された精神科もあります。身体疾患を合併している患者様が多く、精神科だけでない幅広い知識が必要になります。他科への異動も考えられるので、精神科を一度経験してみたいけれど、いずれは他科に移りたいという方には最適です。

・クリニック

クリニックは入院施設がなく、通院の患者様の看護を行います。比較的症状が軽い患者様が多いので働く負担は少ないでしょう。しかし中には、長年無治療のまま経過していた患者様が突然来院することもあります。精神科の知識・対応をしっかり身につけておくことが必要です。

介護福祉施設での精神科の看護は、認知症患者様への看護がメインになります。

1-3. 精神科看護師の給料について

精神科で働く看護師の月給は平均して30〜35万円前後です。
他の診療科と大きな差はありませんが、精神科の仕事には患者様の暴力などに対応する場合もあることから、「危険手当」がつく病院もあります。

危険手当はボーナスに上乗せして高く設定している病院が多いようですが、毎月3,000円程度の危険手当がつく病院や、月給に上乗せして高く設定している病院など様々です。

2. 看護師が精神科に転職するには

2-1. 精神科の求人動向について

精神疾患には、うつ病・統合失調症・不安障害・認知症などがあります。これらの疾患で医療機関を受診した患者数は、近年大幅に増加していることが厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス総合ガイド」でも発表されています。患者数の増加に伴い、精神科で働く看護師のニーズも高まっています。

しかし精神科は独特の仕事内容や暴力・暴言といった症状のある患者様の対応があるため、嫌厭する看護師も少なくありません。そのため精神科の求人は多く、給与を高めに設定している病院もあるようです。

2-2. 精神科で求められる人物像

・精神科に関心があること

精神科看護師に求められることは、まずは精神科に関心があること。精神科の看護は、処置などとは違って「関わり」という目に見えない形のものが重要になってくるので、怠けることも出来てしまう仕事です。精神科に関心を持ち、常に自己研鑽に努める姿勢が求められています。

・タフなメンタルを持っていること

患者様の暴言などに流されないタフなメンタルを持っていることも必須です。精神科では日常生活ではなかなか受けることのない暴言や無視、横柄な態度などに心が傷付くことがあります。

しかしそういった患者様の言動に悩み過ぎるタイプの人は、精神科に勤めることは辛いかもしれません。病状であると割り切って、翌日に引きずらないような心持ちが必要です。

・コミュニケーション能力

患者様との関わりや他職種との連携が大切なため、コミュニケーション能力も求められています。自分に適していない仕事は、他者に依頼するという能力も必要です。

豊かな人間性も問われてきます。精神看護は処置や技術が出来ていれば良いということではなく、患者様との関わりには人間性が現れるものです。うまくコミュニケーションがとれなかったとしても、自分の関わりを振り返る謙虚さや、先輩からの助言を聞き入れる素直さなどは、精神科だからこそ特に必要な要素と言えるでしょう。

2-3. 求人の探し方

精神科の求人を探す場合は、まず自分が精神科に何を求めているのかを明確にし、それに適した仕事場を絞ることが重要です。

精神科の看護に興味がありやりがいを求めているのならスーパー救急を行っている病院や急性期に力を入れている病院などが良いですし、1人の患者様とじっくり向き合いたいなら慢性期病棟が良いでしょう。

残業が少なくとにかく働き方を重視したいのならクリニック、一度精神科を経験したいけれどいずれは別の診療科にキャリアアップしたいと考えているなら総合病院の精神科…と言った具合に、求めている仕事場をクリアにしていきましょう。

こういった情報は紙面やインターネット上の内容だけでは判断しにくいので、職場の内情や業界の求人動向に熟知している転職支援会社を活用するのがおすすめです。転職支援会社を活用すれば、非公開求人の紹介から書類作成・面接対策、給与交渉、職場の情報などをすべて無料で受けることができます。
精神科の看護師の転職に強い会社は以下のとおりです。

ナースフル
人材業界最大手のリクルートグループが運営する看護師向けの転職支援サービスです。質の高い非公開求人が多いです。

ナースパワー人材センター
テレビCMでも有名な国内最大級の看護師転職支援サービスです。

マイナビ看護師
こちらも人材業界大手の転職支援サービス。転職支援を丁寧に行ってくれます。

3. 精神科看護師の職業事情

3-1. 精神科看護師のやりがい

1人の患者様と長く関わって、じっくり看護を展開していけるのが精神科の醍醐味です。比較的入院期間の短い急性期でも、一般科病棟よりは長い付き合いとなることが多いです。

患者様の些細な変化に気付けるよう観察し、看護展開がうまく回っていくことによりがいを感じることでしょう。自分の関わりを深く振り返ることは、日常生活においても影響し、人としての大きな成長となり得ます。

レクリエーション・作業療法などのリハビリテーションや心理療法など、仕事の幅も広がります。精神科で自分の意外な適性と出会えるチャンスもあるのです。

3-2. 精神科看護師のストレス、精神科は楽か?精神科看護師に向いている人は?

精神科での看護は、一般科と比べると楽と感じる人が多いです。看護師が慌ただしく過ごしていては患者様の刺激になり、休養がとれません。忙しく働くことが良いというわけではないので、一般科のように業務に追われる時間は少ないです。

しかし精神科ならではの大変さがあります。身体拘束中の患者様は15分ごとの観察に足を運ばなければなりません。暴れてしまう患者様だけでなく自殺企図を持った患者様もいるので、命に関わる緊張感があります。電気ショック療法なども行います。

慢性期の場合は長期入院の高齢者が多いため、入浴や更衣、食事、排泄など日常生活動作の介助に体力が必要です。身体の合併症を持っている方も多く、様々な処置を行う機会があります。

暴言や暴力などを受けることも多く、忙しさとは別の苦労もあります。患者様の言動に振り回されてしまうと大変です。精神面をタフに保てる看護師でも、常に暴言・暴力にさらされている環境は少なからずストレスがあります。

そのため精神科の看護師には、あまりくよくよと気にしない人。人と関わるのが好きな人。些細な変化に気付ける観察力がある人。などが向いているでしょう。

3-3. 精神科の志望動機について

精神科を選ぶ看護師の志望動機は実に様々です。

・患者様とゆっくり関われること
まずひとつ目は、患者様とゆっくり関われるという点。総合病院やICUなど忙しい仕事場にいた看護師にとって、患者様がめまぐるしく入れ変わり処置に追われる毎日は心身共に疲れます。精神科の看護は、1人の患者様とじっくり関わることが出来るのが魅力です。

そして自分の行ったアセスメントや看護計画が患者様に変化を与えたとき、看護の喜びを実感することが出来ます。長い時間をかけてじっくり看護を展開したいという動機で精神科を志望する看護師が多いです。

・残業が少ない
残業が少なく定時で帰ることが出来るという点で精神科を選ぶ看護師もいます。精神疾患は急変が少ないため、突然残業になることはあまりありません。子育て中の看護師などは、こういった「働きやすさ」で精神科を選ぶ人が多いです。

とは言え、精神科の中でも急性期病棟やスーパー救急を行っている病院の外来などでは緊急のケースもあるので、残業の少なさで精神科を選ぶ場合は配属先の希望もしっかり伝えましょう。

・仕事が楽そう
仕事が楽そうだからという動機で精神科を志望する看護師もいます。精神科の看護師は、楽と感じる人と苦労する人に分かれます。一般科の大変さとは別の独特の苦労があるのです。自分が楽と思えるタイプなのか、しっかり適性を見極めてからの転職をお勧めします。

精神科病棟の夜勤は、特別夜間帯に行わなければならない処置などはほとんどないため比較的楽です。急変の患者様がいなければ、交代でしっかり仮眠をとることが出来ます。

3-4. 精神科看護師のキャリア、役立つ資格

精神看護は他の診療科とは違った仕事が多く、専門性の高い分野です。精神科看護師としてキャリアアップするには、いくつかの資格があります。

①精神看護専門看護師公益社団法人 日本看護協会により認定されます。

②精神科認定看護師一般社団法人 日本精神科看護協会の認定になります。

③日本精神科医学会認定看護師公益社団法人 日本精神科病院協会による認定看護師です。②とは別の認定になります。

精神科で経験を積み、こういった資格を取得するというキャリアアップのチャンスがあります。

まとめ

精神科の看護には、他の診療科とは違った独特の魅力があります。同時に特有のストレスもあるため、転職の際はしっかり適性を考えてみてください。自分に合っていると感じる人にとっては、働きやすく良い仕事場になることでしょう。是非専門性を高めていってください。

このエントリーをはてなブックマークに追加

記事更新日:2017年03月04日

Facebookページで更新情報をお届けします!



購読にはTwitterやRSSも便利です。

follow us in feedly

コメントを投稿する

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Close