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記事更新日:2017年03月04日

専門看護師とは、日本看護大学系協議会が教育課程を担当し、看護師の職能団体である「日本看護協会」が資格認定・更新を行う認定資格です。

1996年に認定が開始された歴史のある資格ですが、今後さらに発展するための「過渡期」にある資格です。専門看護師は6つの役割を持ち、看護を提供する対象が幅広く、活躍する場は自分で開拓する能力もあります。そんな「専門看護師」について、詳しくご説明します。

1. 専門看護師とは

専門看護師とは「複雑で解決困難な看護問題」を持つ「個人、家族および集団」に対して「水準の高い看護ケアを効率よく提供する」ために、特定の専門看護分野で卓越した看護実践を行うための知識と技術があることを認められた看護師のことで、CNS(Certified Nurse Specialist)と呼ばれています。

つまり、専門看護師は「がん看護」や「精神看護」などの「特定の看護分野」で、患者さんだけでなく家族やケア提供者を含めた人達が自分達だけでは解決できない問題が生じた場合に看護介入を行って、卓説した看護を提供することで問題解決を図る看護師ということになります。

1-1. 専門看護師の役割は6つ

専門看護師の役割は「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」があります。では、その6つの役割を、詳しくご説明します。

「実践」とは、複雑で対応が難しい課題や問題を抱える患者さんやご家族の方に、表面的に見える病気や障害だけでなく、その背景にある不安などの心理的問題や、家族間の問題などの様々な問題を総合的にアセスメントした上で、タイムリーでより効果的な看護介入を実施することです。

「相談」とは、患者さんやご家族の方により良い看護やケアを提供するために、看護師だけでなく他の保健医療福祉に関わるスタッフから相談を受け、専門知識を生かしたアドバイスを行い、問題解決を図ることです。

「調整」とは、患者さんが療養の場を病院から在宅や施設などに変わったとしても、医師や看護師、地域で保険医療福祉を提供する様々な職種に働きかけを行い、患者さんの必要な医療やケアをスムーズに受けられるように支援することです。

「倫理調整」とは、治療方針の決定など倫理的問題や葛藤が生じる場面に介入し、患者さんやご家族の思いを尊重し代弁者の役割を行いながら、満足のいく意思決定支援ができるよう医師や看護師、その他の職種、関係する人達に働きかけ問題を解消することです。

「教育」は、専門知識・技術を活かして看護師に教育を行って、病院や施設・地域における看護の質の向上を目指すことです。

「研究」は、日々の看護上の課題を研究対象として捉え研究を行い、さらにその成果を看護実践に還元することで看護の質の向上を目指すことです。

専門看護師は、自分に課せられた6つの役割を果たすために、自分が所属している部署や病院だけの看護実践や活動に止まらず、他の病院や地域での活動を行うことを求められます

そのため、知らぬ間に他の地域に住む専門看護師同士が連携を取り合うようになり、全国に出かける機会も増えていきます。

詳しくは、日本看護協会「専門看護師(Certified Nurse Specialist)とは」で解説されています。

1-2. 専門看護師の種類・分野は11分野

現在、専門看護師の専門領域は11分野です。

1996年に「がん看護」「精神看護」が特定分野として認定されたのを皮切りに、「地域看護」「老人看護」「小児看護」「母性看護」「慢性疾患看護」「急性・重症患者看護」「感染症看護」「家族支援」「在宅看護」の11分野の専門看護師が全国で活動しています。

また、それぞれの分野ごとに、先程ご説明した6つの役割のほかに、その分野の特報を持っています。

詳しくは、日本看護協会の「専門看護分野」で解説されています。

1-3. 専門看護師と認定看護師の大きな違いは3つ

専門看護師と違いが分かりにくい認定資格に、「認定看護師」があります。多くの専門看護師は、認定看護師と呼び間違えることも多いようです。ですが、専門看護師と認定看護師では、3つの大きな違いがあります。

それは、

  1. 教育課程・資格試験が違う
  2. 役割が違う
  3. 分野と人数が違う

その一つ一つについてご説明します。

1-3-1. 教育課程が違う

認知看護師は、認定教育機関(過程)で6か月以上(615時間以上)を修了し、筆記試験を受け合格することで認定看護師として認定されます。

専門看護師は、主に看護系大学院修士・専門看護師教育課程(26単位又は38単位)を修了し、看護実践報告書と筆記試験に合格することが必要です。教育期間が6か月と2年と、大きな幅があります。

1-3-2. 役割と対象が違う

専門看護師は、「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」の6つの役割。認定看護師は、「実践」「相談」「指導」の3つの役割を担い、「相談」「指導」の主な対象は、現場の看護職者(看護師・保健師・助産師・准看護師)に対してです。

専門看護師は、現場だけでなく広い範囲や職種を対象にしていますが、認定看護師は看護現場での看護の質向上のために活動しています。そのため、看護現場では、認定看護師の技術が可視化しやすい面があります。

1-3-3. 分野と人数が違う

認定看護師の専門分野は、現在21分野があり、2016年7月時点で17,443名の方が認定されています。専門看護師の約10倍の人数が、主に病院を中心に活動しています。

また、分野名も「緩和ケア」「皮膚・排泄ケア」「不妊症看護」「脳卒中リハビリテーション看護」などと、実践する看護分野が限定しやすいことも、専門看護師との違いです。

例えば、専門看護師は「がん看護」分野であり、がんに関すること全般に関わることを求められますが、「緩和ケア」や「がん放射線療法看護」であれば、緩和ケア病棟や放射線治療室での看護ケアの向上を目指すことが求められることになります。

こう見比べてみると、いろいろな違いがある専門看護師と認定看護師。ですが、専門看護師は全体的に人数が少ないこともあり、その違いが見えにくいようです。

認定看護師について詳しく知りたい方は、日本看護協会の「認定看護師」に詳しく解説されています。

2. 専門看護師になるには

専門看護師と認定看護師の違いについての説明の中で、教育課程の違いについて簡単に触れましたが、専門看護師になるには、専門看護師コースがある高度実践看護師過程を持つ大学院修士課程を卒業する必要があります

これは、平成27年2月から新たに変更になった部分です。つまり、看護系の大学院を卒業しただけでは、専門看護師にはなれません。ここでは、専門看護師になる最速の方法について、ご説明します。

2-1. 資格試験の詳細は

専門看護師になるための条件は

A:免許要件
〇日本国の看護師免許を取得している

B:教育要件
〇看護系大学院修士課程修了者
〇専門看護師教育課程所定の単位(総計26単位または38単位)を取得している

C:実務研修
〇看護師の実務研修が通算5年以上(そのうち3年以上は専門看護分野の実務研修)

以上の3つが、専門看護師の認定資格試験を受けるための要件になります。

更に詳しく説明しますと、Bの教育要件は、ほかの領域の大学院修士課程を修了した場合でも、専門看護師教育課程に相当する科目・単位を履修した場合や、教育要件を満たすと判断された場合には専門看護師の資格認定試験を受けることが可能といわれています。

ですが、専門看護師コースは修士課程在学中に行う専門看護師実習もカリキュラムに含まれており、実習先のレベルが教育要件を満たすかどうかも審査が必要なため、がん看護専門看護師などは「がん看護CNSコース」を修了しないと難しいのが実情です。

専門看護師を視野に入れて、大学院を選択するなら、高度実践看護師コースで、なりたい専門看護師コースがあるかを調べてから受験することが、最速で専門看護師を目指すことができます。

さらに、専門看護師になるには、大学院修了だけでは認定をもらえません。最速で専門看護師になるためには、卒業した年に、専門看護師認定試験にエントリーすることが必要です。

専門看護師認定試験にエントリーするとともに、①②③へと課題をクリアしていきます。

①A.B.Cの要件を審査する「申請書類」の提出(一次試験)
②「看護実践報告書」の提出(二次試験)
③筆記試験(二次試験)

この「看護実践報告書」とは、専門看護師の6つの役割を実践した報告書で、2016年の場合には、「実践」1事例、「相談」「調整」「倫理調整」の3つの役割の中の2事例、「教育」1事例以上、「研究」1事例以上でした。

そして、一次試験・二次試験が合格して初めて、晴れて専門看護師として認定されることになります。

「なんだか大変そう…」と思うかもしれません。ですが、以前は、大学院修了後にも実務研修が課せられ、「看護実践報告書」の「実践」「相談」「調整」「倫理調整」の各事例数も多く、そして筆記試験だけでなく「面接」も受ける必要があった時期もあるのです。

そのハードルの高さゆえに、せっかく専門看護師コースを卒業しても、専門看護師になることを断念してしまった方も多かったようです。ですが、今は、大学院で取得する単位数が増加し、大学院教育の質が担保された分だけ、大学院卒業後の実践に関する証明が軽減されました。

認定試験については、日本看護協会>専門看護師>「専門看護師になるには」を参考にして下さい。

2-2. 教育機関(大学院)と必要な単位数は

先程も少し触れたように、今、専門看護師の教育課程は過渡期を迎えています。逆に言えば、今、専門看護師を目指すと、26単位以上で、専門看護師になることが可能ですが、平成33年からは38単位の専門看護師教育課程に移行します。

専門看護師になりたいと思っているのなら、「今でしょ!」なのです。繰り返しになりますが、現在、専門教育課程は、「高度実践看護師教育課程」の中に含まれていますので、受験する際にはよく確認することが大切です。

詳しくは、看護系大学協議会の「平成27年2月16日より、専門看護師教育課程は、「高度実践看護師教育課程」となりました」で解説されています。

また、気になる専門看護師教育を行っている大学院ですが、平成28年度では105大学、288教育課程となり、急速に増加しています。これは、将来性がある資格と考えることができますね。

詳しくは、日本看護協会の専門看護師・教育機関に資料が記載されています。

また、日本看護協会の専門看護師「教育課程数の推移」も参考にしてください。

高度実践看護師については、日本看護系協議会「高度実践看護師 CNS・NPコース」に判りやすく解説されています。

3. 専門看護師の実態を知りたい

では、実際に専門看護師となった後の活動状況はどうなのでしょうか。気になる専門看護師の実態をご説明します。

3-1. 専門看護師の人数は年々増加中

2016年1月時点で、専門看護師は全国で1,678名が認定されています。最も多い人数が「がん看護」の656名、次が「精神看護」の231名、「急性・重症患者看護」の210名になります。

専門看護師は、「複雑で解決困難な看護問題」を抱える対象および周囲の人達に対して介入することを求められる資格、そのため生死に直結する現場や、心と体の問題への対処を求められる領域により多くの専門看護師が必要とされているのです。

また、がん看護専門看護師は、「がん対策基本法」に後押しされている資格でもあり、活動しやすい環境があることも人数が多い理由の一つになっています。

3-2. 専門看護師の年収(給料)は個人の努力

専門看護師は、大学院卒業しているため、学歴によって給与が規定されている病院や企業であれば、大学院卒として基本給が設定されます。

また、学歴以外でも、積極的に専門・認定看護師を採用している場合には、資格手当が付加されている病院も多いです。ですが、その資格手当も病院の規定によるため、数千円から数万円と幅があり、自分の活動を認めてもらった上で交渉する場合も多いようです。

そのため、専門看護師をとっても、病棟などでスタッフとして勤務している場合には、ジェネラルナースとあまり変わらない年収の場合もあります。

ですが、自分の活動を看護部や病院に認めてもらうことで、民間病院勤務の場合には病院外の活動が増え、結果的に年収アップにつながります。自分の活動を、どう看護部やその施設に認めてもらうか、それも専門看護師自身の腕の見せ所といえるかもしれません。

3-3. 専門看護師の求人動向や転職の有利?

専門看護師を積極的に募集している病院は、専門病院や総合病院で、看護教育に熱心な病院が多く、資格を取ったから就職に有利かは何とも言えない面があります。

ですが、大学院を卒業し自己研鑽しながら成長した以前の専門看護師よりも、今後高度実践看護師過程を卒業し、医学的知識と技術が付加された専門看護師は、転職に有利になることは間違いないと思います。

専門看護師は、看護実践はもとより「相談」「調整」「倫理調整」といった目に見えにくい部分での「黒子」的役割を担うことが多く、それが病院や看護部の評価を見えにくくさせていた部分でした。ですが、「高度実践看護師」としての「専門看護師」という立ち位置となることで、活動が可視化しやすくなり、転職に実績を記載しやすくなると期待できます。

3-4. 専門看護師の活動状況や将来の展望

現在の専門看護師は過渡期です。とはいえ、今までの先輩専門看護師が開拓してきた活動は、色々な形で実を結び 日本専門看護師協議会の活動や、CNS看護学会も毎年開催されています。

また、活動状況や活動範囲も、病院だけでなく、地域や施設、教育へと広がり、看護の質向上のために活躍しています。

専門看護師は、看護の開拓者の役割を担う人材でもあります。そのため、5年ごとの認定資格更新で求められる「教育」「研究」活動や自施設以外の活動になります。

自施設で依頼されたり企画した活動だけに止まらず、課せられた6つの役割を果たすために、全国的に活動できるのが専門看護師の強みです。

まだまだ、専門看護師の声は、認定看護師の人数よりも小さいかもしれません。ですが、将来、看護師の多くは、大学卒である時代が来ます。もっと看護を学び、質を上げるために、専門看護師の人数は確実に増えて、その役割がさらに広がっていくはずです。

まとめ

専門看護師の教育課程は、過渡期です。ですがそれは、今後さらに増えるであろう「複雑で解決困難な看護問題」に対応できるより多くの専門看護師を育成するためのものです。

専門看護師は、自分で看護フィールドを開拓できる力を持った看護師です。病院勤務に縛られない、自分のその能力を求められる場所で生かすことができます。患者さんやご家族の思いを実現するためにも、ぜひ、目指してほしい資格です。

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記事更新日:2017年03月04日

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