ECサイト構築の手順まとめ|構築方法やパッケージ・費用の比較から導入まで

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記事更新日:2016年12月08日


ECサイト構築の手順まとめ|構築方法やパッケージ・費用の比較から導入まで

自社商品をインターネット上で販売する場合、フリーマーケット型アプリやネットオークションを利用する方法もありますが、継続的な販売を続けるのであれば以下の2つが主な選択肢として挙がるでしょう。

①楽天・Yahooなどのインターネット型ショッピングモールへ出店する
②自社でECサイトを構築する

今回は特に「自社でECサイトを構築する」方法の概要、メリット、具体的な計画から構築方法について詳細にご説明します。

1.ECサイトとは?

まずはECサイトの簡単な概要に触れ、インターネット上で商品販売を行うメリットやECサイトにおける注意点についてご説明します。

1-1.ECサイトの概要

ECとは電子商取引を表す「electronic commerce」の略であり、インターネット上で自社商品を通信販売するWebサイトを指します。
通信販売の一種であり、消費者庁の定義する特定商取引法に則って販売を行う必要があります。

1-2.ECサイト制作のメリット

楽天・Yahooといったインターネット型ショッピングモールへの出店と比較して、ECサイトを立ち上げた場合にはどのようなメリットが享受できるのでしょうか。以下の表にまとめた通り、ECサイトは低コストでミニマムスタート可能なところが1つの大きなメリットとなります。

メリット デメリット
ショッピング
モール
・非常に強力な集客数
・幅広く用意されている決済処理が利用可能
・安全・強固なセキュリティ
・高コスト
・独自のマーケティングが困難
ECサイト ・低コスト
・独自のマーケティングが可能
・0からの集客活動が必要
・決済処理に制限がある。もしくは1つずつ実装が必要
・仕様によってセキュリティ更新が必須

1-3.ECサイト制作における注意点

ECサイトを制作する上で最も考慮しなくてはいけない点の1つに、セキュリティ面の運用が挙げられます。過去にもヨドバシカメラやJINSといった大手サイトをはじめ、大企業でも不正アクセスによる個人情報流出事件が発生しています。

サイト仕様にも大きく左右されますがECサイトを独自に制作した場合にはオープンソース側、サーバー側など各所脆弱性を都度対処する必要があります。

2.ECサイト制作における構築方法の比較

ECサイトの制作方法は1つでなく複数存在します。主な制作方法は「ASPの活用」「オープンソースCMSの活用」「パッケージソフトを活用」「フルスクラッチ開発」の4つです。以下にそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

メリット デメリット
ASPの活用 ・低コスト
・電話・メールサポートあり
・セキュリティ面が安全
・仕様における制限が多数
・特にカート画面などデザイン的制限を受ける
オープンソースCMSの活用 ・導入が無料
・書籍・Web上に情報が多数あり、独自コミュニティによる問題解決も可能
・プラグインが多数
・対応可能な法人が多く存在
・セキュリティ脆弱性を独自対応する必要がある
・高い技術力が必要
パッケージソフトの活用 ・企業の手厚いサポートあり
・セキュリティ面が安全
・高コスト
・仕様による制限を受ける可能性がある
フルスクラッチ開発 ・柔軟な仕様対応 ・高コスト
・幅広く高い技術力が必要
・セキュリティ脆弱性を独自にテスト・対応する必要あり

それではこの構築方法を次に1つずつ解説します。

2-1.ASPを活用した制作

BASE、カラーミーショップ、STORESなどのASP(アプリケーションプロバイダ)を利用した方法は、イニシャルコストが最も安価にECサイト制作が可能です。

決済方法や配送設定もASP業者側が準備したものしか利用できない為、仕様におけて制限を受ける可能性が高いデメリットがあります。

しかし顧客の個人情報を保有することができず、カート画面のSSL対策などセキュリティ対策はASP業者側が対応し続けてくれる為、自身で行うセキュリティ対策がほぼ発生しないというメリットもあります。

まずは小さく始めたい、手間なく・早く・安く始めたい、扱う商品数が少ない、個人情報を持ちたくないといった方に向いているでしょう。

ASPを活用したECサイト構築ではBASEがおすすめです。

2-2.オープンソースCMSを利用した制作

EC-CUBE、Zen CartといったオープンソースCMSを利用した制作方法では、オープンソースを活用するからこその多くのメリットが存在します。

  • 導入が無料
  • 書籍・Web上に情報が多数あり、独自コミュニティによっても問題解決が可能
  • プラグインが多数
  • 対応可能な法人が多く存在

ソフトウェアに標準で提供されていない機能でも、特定機能であればプラグインの導入で実装可能です。また技術的に解決できない問題でも、書籍・Webを活用するかコミュニティへの質問で解決する場合もあれば、最終的に該当するオープンソースをサポートする個人・法人も多く存在する為、そこに依頼することで解決が可能です。

問題はオープンソース独自の脆弱性が発覚した場合、提供される新しいバージョンに随時アップデート対応するなど継続的な運用が必要なことが挙げられます。

ECサイトに事業として注力されたい方、ASPよりも手間やコストをかけられる方に向いているでしょう。

オープンソースCMSではEC-CUBEが代表的です。

2-3.パッケージソフトを活用した制作

IBMやCOMPANY-ECといったパッケージソフトを導入する制作は、後述するスクラッチ開発を除いて、コストの高い制作方法です。

大きなメリットとして企業が提供するパッケージの為、企業から非常に手厚いサポートを受けられるという点、また独自でセキュリティ対策をする必要がないという点が挙げられます。
ASPに比べると高機能であり考慮するべき機能はほぼ実装されていますが、それでも特殊な場合には、追加開発を依頼する必要があり非常に高いコストが発生します。

ECサイトの構築、運用に高いコストを投下できる大企業に向いているでしょう。

2-4.フルスクラッチ開発

PHP・Java・Ruby・PerlといったWebへの組み込みが可能なプログラム言語を用いて、ゼロからスクラッチ開発する方法です。
全ての仕様を自由に作ることができる為、仕様における制限を受けることなく計画した機能が全て実装できます。

しかし管理者側画面からユーザーのマイページ画面、各種決済モジュールの組み込みなど全ての機能を漏れなく開発する必要があり、Web、サーバー、言語、セキュリティなど関連する幅広く深い技術が要求されます。

またセキュリティ面もプログラム言語、サーバーの脆弱性対策はもちろんのこと、機能部分は全て独自にテストを行う必要があり、テストにおける開発・運用コストも念頭に置く必要があります。

ECサイトをビジネスの主軸とされる企業に向いているでしょう。

3.ECサイト構築の具体例

具体的に上記4つの選択肢をどのように選べばよいのでしょうか。2つの具体的な要件から、ベストな選択を考えてみましょう。

3-1.具体例1「A社 オリジナル雑貨販売の場合」

A社はオリジナルのユニークで便利な雑貨を制作する雑貨店です。1点1点の商品単価は安価であり、実店舗が黒字化できてきた為、インターネット上の販売をミニマムスタートしたいと考えています。

サイト制作予算は100万円以内であり、雑貨という販売商品からもスマートフォン対応したサイトを必須と考えています。

・予算100万円以内でスマートフォン対応をしたい場合
中小企業で最も多い要望はできるだけ予算を抑えたいという金額的な部分です。予算を抑える場合には基本スクラッチ開発やパッケージは選択肢から外します。

残る選択肢はオープンソースの活用か、各種ASPの活用です。オープンソースを利用する場合には予算的に標準機能以外の仕様実装は難しい為、基本は制作するECサイトの仕様に合致するASPを選択することが望ましいでしょう。

雑貨販売の際に利用したいカラー・サイズといったオプション設定や、ギフト有無の設定など基本的なECサイト機能はほぼ全てのASPに標準で準備されています。

スマートフォン対応もレスポンシブ対応したテンプレートデザインを利用すれば低コストで実現でき、あくまで仕様による部分は大きいですが場合によって非常に低コストで制作が可能です。

3-2.具体例2「B社 ハンコ販売会社の場合」

B社は全国的にフランチャイズ展開するハンコ制作・販売会社であり、今回は大体的にEC展開を行いさらなる売上の拡大を考えています。

ハンコ以外にもゴム印やシャチハタといった関連商品をラインナップとして考えています。またA社と同じくユーザーの多くが個人となる為、スマートフォン適用も必須と考え、予算は約400万を計画しています。

・カート画面に多くのフォーム機能を組み込みたい場合
特に会社用ゴム印といった商品を取り扱う場合、商品購入に以下のように多くの入力項目が必要です。

  • 会社名
  • 部署名
  • それぞれのフォント

またゴム印の横幅やフォントの仕様から、最大の文字数をバリデーションする必要も出てくるでしょう。この仕様を実装する為には、基本はカート画面までカスタマイズが可能な、オープンソースを利用した制作か、フルスクラッチ開発となります。

コストが400万円以内ということもあり、フルスクラッチで制作を行うと予算オーバーの可能性が考えられる為、オープンソースを活用して標準で準備されていない仕様部分を追加開発する構築方法が最適だと考えられます。

4.ECサイト制作の手順・構築・運用方法

ECサイト制作の各パターン、具体的な事例を説明した所で、次にECサイト構築の手順・構築・運用方法について順を追って説明していきます。

4-1.事業計画の作成

今回は目的、目標、市場調査といった、ECサイトを立ち上げるかどうかの基準となる事業計画書が完成している前提で説明します。事業計画書はそもそも何故ECサイトを立ち上げるのか、立ち上げた結果のレビューなど、振り返りの際に非常に重要となる資料の為、もちろん制作は必要です。

事業計画ではまずは以下のような基本的情報をまとめます。

  • メインキーワード
  • サイト名
  • 法人向けか個人向けか
  • メインターゲット層
  • 新規開拓したいターゲット層
  • ドメイン名

事前に検討したい基本情報内容は株式会社ロックウェーブが公開しているコンセプトチェックシートが参考になるでしょう。

4-2.事業計画に基づく仕様、予算の決定

コンセプト・基本情報を明確にすることで、サイトの仕様やそれに伴う予算を決定することができます。

例えば完全法人向けのECサイトであった場合、予算が足りない場合にはスマートフォン向けサイトを制作する必要はないかもしれません。また逆に若年層がメインターゲットで予算が足りない場合には、PCサイト制作を後回しにしてスマートフォンサイトの早期着手を進めるべきです。

4-2-1.ペナルティ扱いを受けない為の注意点

商品の特性上色違い・サイズ違いの商品など規格違い商品を数多く取り扱う場合には、1つ注意が必要です。例えば青・赤・黒・黃と合計4色の同じ商品を登録する場合、4商品別に登録を行うと場合によって検索エンジンから重複コンテンツ扱い(検索エンジンの掲載順位が落ちる)を受ける恐れがあります。

またユーザー側から見ても本来商品ページの中でカラーを選択する方がスマートです。仕様上どうしても規格別に登録を行う場合には、例えば最も人気のあるカラーの商品ページへrel=“canonical”で正規化を行うことで重複コンテンツとなる危険を未然に防ぐことができます。

正規化詳細はこちらのサイトの記事「ECサイトにおける色違いやサイズ違いの商品ページのベストプラクティス」を参照してください。

また、ECサイトのみならずCMS(コンテンツマネジメントシステム)の全般でいえるSEO対策のポイントを「CMSのSEO対策|集客を最大化する19のポイント」で紹介しています。

4-2-2.集客最大化の為のカテゴリー設定

SEO的な目線でも集客の最大化を目的としても、商品1つ1つの詳細文章とカテゴリー設定を最適化することは非常に重要です。商品毎の詳細説明は省くことなく、他の商品と同じ文章をコピーして使いまわすようなことなく、詳細にオリジナルの文章とすることが大切です。

また商品名同様に検索回数の多いキーワードがカテゴリー名です。適当なカテゴリー名を設定することなく、例えばGoogleが提供する「キーワードプランナー」を活用して、検索数の多いキーワードをカテゴリーとして設定しましょう。

カテゴリーも含め、検索エンジン向けのキーワード選定方法については「SEOキーワードの選定|18の手順と方法」でも解説しています。

4-2-3.運用フェーズにおける予算を考慮すること

予算決定に考慮する点は構築費用だけでなく、運用においても考慮が必要です。まず必ず必要となる費用が以下の2点です。

・サーバー費用
・ドメイン費用

また随時運用の中で必要となる費用が以下2点です。

・セキュリティ更新保守
・各種キャンペーン・セール対応。その他マーケティング費用

EC-CUBEなどオープンソースを利用する場合には、オープンソース自体の脆弱性に伴うソース更新が発生します。利用しているクレジットカード会社プラグインのセキュリティ向上に伴うアップデートを対応する必要もあるでしょう。フルスクラッチ開発における構築時でもテストにおいて重大なセキュリティ脆弱性を発見する可能性があります。

ECサイトにおいてセキュリティ対策は常に意識するべき課題です。運用費用としても予算に忘れることなく計上しておきましょう。

またセキュリティ更新以外にも各種キャンペーンやセールがあれば、新たなデザインやページ制作費用が必要であり、場合によって販売促進にリスティングなどの広告予算も必要であり、事前に決めておくべきです。

4-3.仕様に合わせた構築方法の選定

仕様が決まればその後は構築方法の選定へ進みます。構築方法の選定で最も左右される点は予算でしょう。

構築費用やデザインといったイニシャルコスト、サーバー・ドメイン代にセキュリティ更新やマーケティングのランニングコスト、そして仕様からベストな選択をします。

この際の注意点としてよくあるのは上記に触れた規格数です。例えば事前にノートパソコンを販売する場合を想定して以下の規格を選択できる様、仕様に含めたとします。

・CPU
・メモリ
・色
・内蔵カメラの有無

この場合4つの規格となりますがASPの場合には、商品に設定できる規格数が2つまでなど制限があり仕様どおりの設定ができません。この場合には上記で説明したrel=“canonical”の正規化などが必要となりますが、同じくASPの場合にはこのような細かな設定もできない場合がある為、ASPを選択する場合にはその機能で仕様が網羅できるか事前の調査が必要です。

4-4.ECサイト実装と商品登録

仕様と構築方法が決まれば、デザイン、コーディング、EC機能の組み込みと実装を行うだけです。事前に決めた計画や仕様が不明確な場合、デザインフェーズやその他構築フェーズで決定に時間を要する、別デザインの作成など無用なコストが増加する恐れがあります。

また商品登録は思った以上に多くの時間が必要な為、事前に写真撮影や商品詳細文章を準備しておきましょう。ASP、オープンソース、パッケージの場合にはCSVによる一括登録がほぼ可能な為、事前にCSVファイルを用意しておくことをおすすめします。
フルスクラッチ開発においても、CSV登録を実装するのであれば同様です。

4-5.ECサイトの運用フェーズへ

構築後の商品登録が完了して、ECサイトをリリースしてからが本当のスタートとなります。リリースしたばかりのサイトを放置していても、売上が勝手に上がることはありません。

4-5-1.ECサイト運用における法律の理解

ECサイトを運用する前に重要なことが、法律を理解しておくことです。著作権上、商品写真やサイト内で利用するテキストをWeb上からダウンロード・コピーして使ってはいけません。

またECサイトは商品・サービスを販売するサイトである為、「特定商取引法」に基づく記述を行うとともに、それに準拠することが求められます。

クレジットカード会社との契約にも、特定商法取引に基づく記述の準備は必須です。

4-5-2.解析ツールを活用してPDCAを廻す

ECサイトでは目標はほぼ売上になるでしょう。運用を仕組み化してPDCAを廻すことで、目標の売上達成を目指します。

PDCAのC、チェック段階に利用できるツールとして「Google Analytics」があります。
Google AnalyticsはWeb解析の定番ツールであり、アクセスの集中する人気商品や参照元情報など多くの情報を取得できます。例えばキャンペーンでLPを着地点とするリスティング広告や、リマーケティング/リターケティング広告を出向した際の効果測定も可能です。

またA/Bテストの効果測定結果や、Webにおける解析情報であればほぼ全てGoogle Analyticsから情報を取得できます。

4-5-3.定期的に必要なセキュリティ更新

ASPではカート部分に機能的変更はできず、不正アクセス対策もプロバイダ側が定期的に更新し続けてくれます。その為、自分達でシステム的なセキュリティ対策を行うことはほぼありません。

しかし上記でも触れたようにスクラッチ開発はもちろん、オープンソースを活用したECサイト構築の場合には、サーバー、OS、ミドルウェア、オープンソースソフトウェアなど様々な箇所に脆弱性が発見され対策されていきます。

定期的に脆弱性対策を行わなければ、いつか不正アクセスによって個人情報が抜き取られてしまうかもしれません。不正アクセスは発生した後には警察対応も含めて、非常に多くのコストが必要となる為、事前に運用で滞りなくセキュリティ対策を行うことを取り決めておくことが重要です。

まとめ:ECサイト構築には入念な計画と、リリース後の継続的な運用が不可欠

既に商品やサービスが手元にある場合、すぐにでもECサイトを作りたいと焦ってしまいがちですが、計画が不十分に制作されたECサイトは予算に合致しない、仕様に合致しないと後戻りも多く、最終的にリリース時期が遅延する、また最悪リリースができないといった事態になりかねません。

ECサイトは制作することが目的ではありません。計画した仕様から最適な構築方法を選択し、売上の達成に向けてスピード感のある制作を行いましょう。

そしてECサイトは継続的運用も不可欠です。ECサイト構築段階で運用フェーズの流れも明確としておき、目標を達成する為にPDCAを効率的に廻し運用を続けていきましょう。

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記事更新日:2016年12月08日


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