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記事更新日:2017年03月12日

臨床検査技師をご存知ですか?
将来この資格を取得して職業したい人や、初めてこの名前を聞いたという人に、臨床検査技師とはどんな仕事なのか?臨床検査技師になるにはどうすればいいのか?働く魅力や実情まで現役の臨床検査技師が解説します。

これから臨床検査技師のことを知りたい人はぜひ参考にしてみてください。

1. 臨床検査技師とは

1-1. 資格および職業の定義

臨床検査技師は、医療機関などにおいて分析機器等を使って患者から採取した組織などの検査を行い医師に検査結果を提供する職業です。そのデータなどを元に、医師は病気の診断、治療方針を決定をします。

臨床検査技師という資格は厚生労働省認定の国家資格です。従って、国家試験により合格した者に与えられる免許となっています。

1-2. 臨床検査技師の人数

臨床検査技師は、一年に一回の試験により合格した者では毎年平均3,000名程度を輩出しています。平成元年から平成28年までの合格者合計は、全国で約90,000人です。

平成元年から10年ごとに区切ると、約32,000人ずつの合格者で、平成20年から28年までは約27,000人の合格者数となっています。受験者数は毎年4,000人を超え、ますます増加傾向をみせています。

現在ところ、ここ10年の合格率は平均で、約74.8%です。また、就職率に関しては現在のところ、卒業する大学や専門校の発表では100%ですので、ますます臨床検査技師の人気は衰えないといえます。

2. 臨床検査技師の仕事内容

2-1. 医療の現場での仕事

臨床検査技師の主となる仕事として、まず病院など医療の現場があげられます。臨床検査技師による検査は大きく二つに分けられます。

検体検査」と「生理学的検査」ですが、これらの検査を行い結果を医師に提供することが臨床検査技師の仕事です。臨床検査技師の最初の就職先の第1位であり、某大学の調べでは全体の78%ほどとなっています。

その理由として、学校での知識がすぐに活かせることや医療の現場で「人の役に立ちたい」という気持ちが反映していることなどがあげられます。

2-1-1. 検体検査とは

検体検査とは、人の身体から採取した血液、胃液、尿などを様々な方法で検査することです。更にくわしく説明しますと、それらの検査を行うには血液学や免疫血清学、微生物学など医学的な専門知識が不可欠です。

エイズ、癌などの難病やDNAなどの遺伝子検査、臓器移植の際の適合検査など最先端医療に関わる仕事もあります。

2-1-2. 生理学的検査

生理学検査では、医療の現場で患者と直接接することになります。

検査内容は、心電図、脳波、超音波、眼底検査など様々ですが、MRIなどの最先端の医療機器による検査も含みます。それらの検査には検査機器論、医用工学概論、画像検査学などの知識が必要です。

これらの医療の現場では、医師に検査結果について報告するだけではなく、時にはディスカッションや精密検査項目のアドバイスをすることもあります。

2-2. 検査センターでの仕事

日本衛生検査所協会に登録している検査センター全国各地にあります。これらの場所も検査技師の職場です。

比較的大きな病院では施設内に検査部門を置き、検査技師による検査が可能ですが小規模な医療機関では検査部門を設置することが難しいのが現状です。その場合の検査は検査センターに依頼し、検査結果を医師に何らかの方法でお知らせすることになります。

こういった検査センターで臨床検査技師が仕事をしています。某大学の臨床検査技師の就職先の第2位で、全体の17%にあたる人が勤め先として選んでいるという結果です。

3. 検査技師になるには?

3-1. 学校に行く

臨床検査技師になるためには、まず養成校や大学に入学、卒業した後、国家試験に合格するという手順が不可欠となります。詳しくご説明しますと、国家試験を受験するには「受験資格」が必要です。

受験資格は、文部科学大臣か都道府県知事が指定した学校、または臨床検査技師養成所で3年制の短期大学、養成校(3年制または4年制)、大学(4年制または6年制)を卒業することが必要です。

臨床検査を学べる学校は、「日本臨床検査学教育協議会」に加盟した施設で全国に78校ありますので、パンフレットなどを取り寄せて自分に合ったところを選ぶことができます。

また、受験資格は「臨床検査技師等に関する法律」で細かく決められているのですが、一般的には高校卒業後に次の三つの学校のいずれかで資格を得る方法があります。

  • 大学4年卒業
    保健衛生、臨床検査、医学、歯学、薬学、獣医、衛生技術などの学部を卒業した者
  • 短大3年卒業
    衛生技術、臨床検査などの学部を卒業した者
  • 養成所、専門校3年卒業
    臨床検査技師の専門科を卒業した者

3-1-1. 学校選びについて

上記の大学4年を卒業すると、「保険衛生学士」の称号と臨床検査技師国家試験受験資格が与えられます。

いずれの学校も共通したことがいえるのは、就職を見据えた授業内容になっていることです。細かいカリキュラムは学校により多少の違いはありますが、国家試験の内容に沿ったものに加えて各学校の特色を生かしたものになっています。

大学では、4年という期間を活かし、教養科として英会話などの外国語やコミュニケーション科、心理学、哲学などの授業も取り入れ、人間形成にも力を入れているところもあります。

臨床検査技師が医療の現場で即戦力として少しでも役立つようにという学校側の努力により、DNA検査や不妊治療に関わる検査や高度な医療機器の使用を想定したところもあります。

そのような検査にも対応できるようにそれらの検査を授業に取り入れ、機器設備を用意している実践的な学校も増えてきました。また、どの学校も卒業前の1~2年は医療の現場での実習は必須です。

注意していただきたいことは、これらの学校に入学することは高校時代に数学、物理、生物、化学など理数系の「基礎」またはそれ以上選択して勉強しておいた方が良いということです。

大学では、入試にこれらの科目を選んでいなくても、入学して1年次にカリキュラムに入っていることが多くあります。

偏差値では、学校により差がありますが、これから人の命に関わる医療という仕事に携わるということを真摯に考え、苦手科目があったとしても一生懸命取り組む姿勢が望ましいでしょう。

また、学校選びをする場合、授業料や立地条件、国家資格合格率などの他に、卒業生の就職先についてどのようなノウハウ(就職支援についてのアドバイスや直接の就職先とのバイブ)を持っているかも確認することをお勧めします。

3-2. 国家試験に合格する

3-2-1.受験日、場所など受験概要

上記でご紹介しました学校や専門校を卒業した人に「受験資格」が与えられます。現在では、国家試験は、年に一回、毎年2月下旬に実施されます。

試験地は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県の指定会場において、午前、午後に分けて行われます。配点は1問1点で合計200点満点とし、総得点120点以上が合格です。

試験内容は、医用工学概論(情報科学概論及び検査機器総論を含む。)、公衆衛生学(関係法規を含む。)、臨床検査医学総論(臨床医学総論及び医学概論を含む。)、臨床検査総論(検査管理総論及び医動物学を含む。)、病理組織細胞学、臨床生理学、臨床化学(放射性同位元素検査技術学を含む。)、臨床血液学、臨床微生物学及び臨床免疫学です。

引用:厚生労働省「臨床検査技師国家試験の施行

3-2-2. 合格率について

大学や学校では、パンフレットなどにそれぞれの卒業生の国家試験合格率を紹介していると思います。

学校にもよりますが、一般的に80%以上であることが多いようですが、日本全体で見ると平成20年から28年までの受験者約36,000人に対して合格者約27,000人で、75%の合格率となっています。人数では毎年約4,000人が受験し1,000人ほどが不合格となる計算です。

4. 臨床検査技師の職事情

4-1. 仕事場の種類と特徴

臨床検査技師の職場は、上でご紹介しましたように医療の現場が主なものになります。

国公私立の総合病院、大学病院、診療所の検査部門で「検体検査」や「生理学的検査」や、検査センターで各地から送られた検体の検査や最先端のDNA検査などを行う仕事の他、下記のような職場があります。

・臨床検査技師のその他の仕事場

  • 医療、化学、食品系の職場
    医療機器や試薬、治験関連、生物化学系、食品などの企業において商品開発や研究者の補助など、医療に直接携わるのではなく奥から支えます。
  • 公務員の職場
    保健福祉事務所や衛生環境研究所などで、地方公共団体の職員として地域の人々の健康を守ります。また、警察関係では、科学捜査研究所(通称 科捜研)なども活躍の場があります。他には国立大学医学部内の法医学教室などで、死因についての専門家の一員として働くこともできます。

4-1-1. 臨床検査技師の年収について

厚生労働省の平成27年度賃金構造基本統計調査によりますと、臨床検査技師の平均年収は男性では約472万円、女性では約418万円となっています。

臨床検査技師の年収については、残念ながら職場の規模などにより格差があるのが現状です。

病院などの医療機関と検査センターでは、ほぼ同様で初任給で約260万円ほどです。これは徐々に上がり30歳代で360万円から400万円、40歳代で460万円から520万円ほどで後は560万円ぐらいというところもあります。

これに比べ、医療機器メーカーや試薬開発の企業などではもっと高いといわれています。はっきりとした統計は得られませんでしたが、初任給は360万円以上というところもあります。

これは、医療は人件費や施設費が膨大になり経営が厳しいという現状があるためですが、医師や看護士に比べると臨床検査技師の年収はかなり抑えられていることが理由といえるでしょう。

また、一般的には、勤務する事業所の規模の大きさに左右されることもわかっています。まとめると、操業人数が1000人などの安定した企業に勤めることが臨床検査技師にとって年収が高いことになるようです。

4-2. 検査技師の仕事の社会での役割や魅力

4-2-1. 法令と歴史

臨床検査技師法は昭和33年法律第76号によるものが最初です。

当初は「衛生検査技師法」という名称で、厚生大臣による試験に合格し都道府県知事から免許が与えられるというものでした。仕事内容は寄生虫や血液検査などの検体のみで、患者から直接採血するというものではなかったのです。

昭和45年には業務内容に「生理学的検査」と「採血」が加わりました。また免許取得に関しても都道府県知事免許から厚生大臣免許に変更されています。

まとめますと、検査技師の国家試験は昭和34年第一回衛生検査技師国家試験が開始され、昭和46年第一回臨床検査技師国家試験が開始されましたが、この二つは昭和62年に一元化され現在に至ります。

また、その後平成17年に現在の「臨床検査技師等に関する法律」という名称に改正されました。この法律では、福祉・厚生法により免許、業務内容、試験、罰則などが細かく決められています。

臨床検査技師の資格の歴史は、最初の法の設定から、検査技師の国家試験の内容や業務内容などはより幅広くなっています。平成26年には、採血以外の様々な検体採取が加わり、実際に患者に接する場も増えるなど、ますます幅の広い仕事ができるようになりました。

4-2-2. 団体

一般社団法人 臨床検査振興協議会」という団体があります。

「日本臨床検査薬協会」「日本臨床検査医学会」「日本衛生検査所協会」「日本臨床検査専門医会」「日本臨床衛生検査技師会」の5つで構成されており、社会に臨床検査の重要性、適切な活用の促進などを広めることを目的とした団体です。

  • 日本臨床検査医学会
    臨床検査医学として研鑽を積む医師や技師などが会員となっており、専門医の認定などを行っています。
  • 日本臨床検査薬協会
    約120社の製薬会社や医療機器メーカーなどが加盟している団体です。衛生管理された環境で、品質を第一に考え製造して医療機関に提供しています。
  • 日本衛生検査所協会
    検査センターの団体です。検査センターというのは、医療機関より検査依頼を受けた検体を厳格な管理の元で迅速に検査し、その検査結果を依頼者に届けるところです。国内に約400の検査センターが加盟されており、全国各地の医療機関より検査を委託しています。
  • 日本臨床衛生検査技師会」(通称「日臨技」)
    現在約52,000人の臨床検査技師が加盟しています。医学検査の専門家として人々の健康維持と医療に貢献し、安全で正確な検査データを提供するという目的の元、発足しました。
  • 日本臨床検査専門医会
    臨床検査の専門医と専門医を目指す医師が加盟しています。臨床検査医という立場から医療に貢献しています。

尚、臨床検査振興協議会では、毎年11月11日を臨床検査の日と制定しています。これは、臨床検査による病気の早期発見と治療の重要性を人々に広めるために作られました。

この日にちである理由は、検査をイメージした十(プラス)と-(マイナス)を組み合わせた十一月十一日からの語呂合わせということです。

  • 都道府県の臨床検査技師会
    各都道府県には、地域の活動を行う臨床検査技師会がそれぞれあります。上でご紹介しました日本臨床衛生検査技師会は地域を越えた活動や学術面での交流を行っており、この二つの団体はそれぞれ相互に関係があります。
  • 臨床検査技師連盟
    臨床検査の質の向上や業務に関する「法改正」などに向けて活動している組織です。臨床検査技師の仕事を充実させることで医療をより良くするという目的において政治的な活動をしています。

4-2-3. やりがいについて

臨床検査技師のやりがいは、やはり医療の現場で検査により病気の判明につながることから直接「やりがいを感じ取れる」ものです。

国家資格を取得しているという強みから、「技術があるから年をとっても働ける」という自信や誇りを持って仕事ができることも「やりがい」となっている人もいます。

「何かの病気を発見したり、初めて見る所見により仕事の実感を得た」また、「絶えず勉強する必要があるほど範囲が広いので学びたい放題である」という学ぶ喜びを得るという人もいます。

また、周囲の医療スタッフから「技師さんが検査結果を出してくれるから、私たちが診察できる」と感謝を言葉で伝えられやりがいを感じたということもあるのです。

常に前向きに向上心を持って日々勉強していく、という姿勢は周囲の人たちにも伝わり、より良い医療サービスの提供ができることにつながると感じます。

4-2-4. つらいことや悩み

「臨床検査技師の業務独占がないため、極めて地位が低い」という悩みが検査技師の間で多くある意見です。ただ、同じ臨床検査技師でも職場により待遇が違うこともあるので一概には言えないこともあるでしょう。

希望の部署に配属されないという悩みもありますが、他業種でも起こりえます。しかし、検査技師という仕事に関して内容を理解していない医師や看護士など、周囲の理解度がまだ低いという悩みは、本来の検査技師の仕事に支障をきたします。

「関係のない雑用をさせられた」などの仕事自体に関しての不満がある人が多いようです。また、医療技術、医療の新しい情報に関して知識を常に得ることも検査技師の仕事です。

検査技師としての知識を向上させるための努力も必要であることから、勤務時間外の時間的な余裕がないことも悩みになっている人もいます。

4-3. 将来性や今後の課題について

いずれの職場も検査技師としての活躍の場が設けられており、常に進化し発展する医療の分野で需要は増えていくといえるでしょう。

最先端の医療では、不妊治療や臓器移植、DNA検査、IPS細胞など続々と新しい発見や開発が行われており、臨床検査技師の仕事もそれらに伴い広がっていくと予想されます。

しかし、問題点は、まだまだ臨床検査技師の地位や業務内容が確立していないことであるといわれています。日本臨床衛生検査技師会長の宮島喜文氏も以下のように述べています。

「パラメディカル(医療従事者)からコメディカル(医療協力者)へというものを越え、目標をメディカルスタッフとしてしっかりと周囲に認知してもらうことが必要です。これらを解決するためには、法律的な問題や社会の意識の改革が必要です。検査技師も患者との接し方に対して力を入れ、直接患者に検査結果を説明し相談にのるなどの医療の現場にスタッフとして出るということを目指したい」

「引用:一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会新入会員向けビデオより」

まとめ

臨床検査技師は3年から4年の医療や検査の専門的な勉強をし、厳しい国家資格を得てやっと活躍の場に出ることができるという難しい資格です。

医療の検査の専門家として信頼性の高い検査を提供していますが、同時に知識や技術の習得も日々努力し、地域の人々の健康管理に貢献する活動などもしています。メディカルスタッフの一員としてチーム医療という新たな医療体系を目指し頑張っています。

やりがいと将来性、日々勉強する楽しみもあり希望ある職種といえます。もし、ご興味がありましたらぜひ学校の門をくぐってください。新たな人生の一歩を踏むのにふさわしい仕事であるとお勧めいたします。

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記事更新日:2017年03月12日

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