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記事更新日:2017年03月27日

「サラリーマン大家さん」などという言葉もすっかり定着するようになりましたが、不動産投資と耳にすると「資産家が手を出すことで自分には縁がなさそうだ」と思われる方も少なくないようです。
それでも、年金制度や終身雇用制度が実質的に崩れ去っている現在、安定した収入源を確保するために不動産投資を考えたいのも確かですよね。
この記事では現役の不動産投資家が、初心者が不動産投資を始める前に押さえておくべきことをご紹介します。これから不動産投資をしたいと思っている初心者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. 不動産投資とは

不動産投資とは利益を獲得する目的で、不動産事業に資金を投資する行為です。
具体的には、不動産(アパート・マンション・一戸建て・駐車場など)を個人・法人に貸し出す対価として、賃料収入という利益を得るインカムゲインと、所有不動産を購入した金額以上で売却して転売利益を得るキャピタルゲインの2種類の利益に期待して投資を行います。

1980年代後半以降のバブル経済期には、キャピタルゲインに期待して、短期間で売買を繰り返すスタイルの不動産投資が流行りました。昨今では毎月の安定した家賃収入(インカムゲイン)を期待しての、長期的視点に立った堅実な不動産投資が主流となっています。

1-1. 不動産投資と株式・FX投資の違い

全ての投資行為にはリスク(危険性・不確実性)と、リターン(期待される見返り)とが同時に存在します。一般論としては、双方の度合いは比例するものであり、ハイリスク・ハイリターン、ミドルリスク・ミドルリターン、ローリスク・ローリターンとなる傾向にあります。

これを踏まえ、不動産投資と株式投資・FX投資とを比べてみましょう。不動産は価格が下落してしまったり、天変地異で倒壊してしまったりなどのリスクを内包しているものの、短期間で価格が大きく変動する株式やFXに比較すれば、不動産投資のリスクは小さく、期待できるリターンも安定していると言うことができるでしょう。株式投資やFX投資では、数日間、場合によっては数時間で大きな利益を確定できることもあれば、逆に大きな損失を蒙ることもあります。

他方、低リスク金融商品の代表格は預貯金でしょう。これに比べると、不動産のリスクは高いですが、期待できるリターンが遥かに高いことは間違いありません。
つまり不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンであるといえます。

2. 不動産投資のメリット・デメリットとリスクについて

不動産投資にもメリット・デメリット、そしてリスクが存在しています。ここを理解すると、自分に不動産投資が合っているのか否か、ある程度見えてくるものです。

2-1. 不動産投資のメリット

不動産投資のメリットは以下の6つが代表的です。

①毎月の安定収入が見込める

インカムゲインが最大のメリットでしょう。優良な入居者が安定的に確保できれば、長期に渡り毎月安定した家賃収入をもたらしてくれます。

②売却益が期待できるケースもある

これはキャピタルゲインですが、経済情勢の好転や、周辺地域の再開発の理由で地価の上昇があれば、転売して売却益を見込めることもあり得ます。ここは読みにくいところなので、不動産投資の初心者は期待しない方が無難です。

③自分の裁量でコントロールしやすい

他の金融商品への投資と異なり、購入する不動産の選定、融資を受ける金融機関の選定、パートナーとなる不動産会社・管理会社の選定など、オーナー自身が勉強して、積極的に事業に関与することで、安定した大きな収益原に育てることが可能です。

④インフレーション対策になる

資産の性格上、預貯金や生命保険はデフレーションには強いのですが、インフレーションでは目減りしてしまいます。その点、現物資産である不動産は、貴金属などと共にインフレーションでは価格上昇が見込めますから、対策となるのです。

⑤金融機関から融資を引き出しやすくなる

自己資金(頭金)が比較的少ないケースでも、購入する不動産の価値、及びそこから期待できる収益を担保として、金融機関から融資を引き出しやすくなります。毎月の家賃収入から、不動産ローンの返済を賄うことができるのです。とりわけ大手企業勤務者や公務員が不動産を購入する場合、社会的な信用力が高いと看做されて、より融資付けがしやすくなります。

⑥税制上の優遇措置を受けるケースもある

所有不動産から生じる家賃収入に対する所得税と、オーナーが亡くなった際に賦課される可能性がある相続税とについて、他の金融商品とは異なり、税制上の優遇措置を受けられるケースがあります。より具体的には、みずほ銀行系列のみずほ不動産販売株式会社が運営するHP「不動産投資と税効果」に分かりやすい解説がありますので、ご参照頂くのも良いでしょう。

2-2. 不動産投資のデメリット

不動産投資のデメリットとしては、以下4つが代表的に挙げられます。これらは不動産投資に内在しているデメリットとして、始めるに当たり甘受すべきだと言えるでしょう。

①資産としての流動性が低い

資産としてみた場合、所有不動産を即時にキャッシュと交換することできません。不動産投資には、長期的な資金計画が必須となるでしょう。

②メンテナンスコストが発生する

建物や設備周りは経年劣化しますし、自然災害などに因り傷むこともあり得ます。これらの修繕費用はオーナーの負担です。ただし、借主の不注意や故意で傷付けられたものなどは、その責を借主に負わせることが可能です。

③管理コストが発生する

建物の管理、テナント付け(入居者探し・入居審査・契約締結)、賃貸契約の管理(家賃収受・解約対応)など、オーナー自らが行うのであれ、管理会社に業務委託するのであれ、必ず工数(コスト)負担は生じます。

④税負担が発生する

家賃収入に課される所得税(オーナーが法人化していれば法人税)、所有する不動産に課される固定資産税、不動産を取得・売却する際に課される不動産取得税・消費税が、オーナーの直接的な税負担となります。また、税率は将来的に変動する可能性があります。

2-3. 押さえておくべき不動産投資のリスクと対策

不動産投資にもリスクは存在します。その反面、効果的な対策も存在していますので、リスクを限定してコントロールすることは可能です。

・長期間の空室が続くリスク

空室が長期に渡れば、当初予定していた家賃収入が得られず、資金計画が破綻する可能性も生じます。ただし、家賃保証サービスを活用したり、入居条件を柔軟に見直したり、管理会社を変更したりなどの方法で、相当程度のリスクコントロールは可能です。

・家賃相場下落のリスク

設定家賃が近隣の同クラス物件と比較して割高になっている場合、空室が長期化するのを防ぐため、契約更新や借主が交替するタイミングで、家賃を下げざるを得ないことがあります。結果的に、想定していた利回りが低下し、資金計画に影響が出る場合があります。建物のメンテナンスを怠らず、マーケット分析やエリア選定をしっかり行うことで、ある程度防ぐことができます。

・家賃滞納のリスク

借主の経済状況の悪化や、借主と管理会社・オーナーとの間に生じるトラブルに因り、家賃が予定通り支払われなくなるリスクがあります。家賃滞納の場合は、借主・連帯保証人への支払い督促が必要となり、さらに家賃不払いを理由に退去させる際には、管理会社や弁護士への報酬が発生するなど、余計なコスト負担が生じます。その間は新たな借主を確保して、家賃収入を得ることもできませんので、空室リスク以上に避けたいリスクです。借主・連帯保証人に対する審査基準をあるレベル以上に保ち、家賃保証会社を活用するなどで、相当程度は回避することが可能です。

・自然災害・犯罪などに巻き込まれるリスク

地震や台風による建物損壊や、不審火による焼失など、不動産投資にはこれらのリスクも付いて回ります。ここは火災保険(地震保険)への加入や、耐震性能・防火性能が高い建物を入手するなどで回避できます。

・資産価値(転売価格)が減少するリスク

経済情勢の悪化や、近隣地域の衰退の理由で地価が下落し、所有不動産の資産価値が下がる可能性があります。また、不良テナントの居座りなどでも、転売価格は下がります。マーケット分析やエリア選定を行うこと、入居者の審査をキチンとすることで、ある程度は回避できる可能性があります。

3. 不動産投資の種類

不動産投資とは言っても、ワンルームマンション一室に投資するものもあれば、アパート・マンション一棟に投資するものもあります。新築か中古によっても期待される利回りや内在リスクは違ってきます。自らの投資目的、自己資金、投資経験・スキルなどを考慮して、身の丈に合った不動産投資のスタイルを選ぶことが大切です。

3-1. 新築区分マンションへの投資

所有マンション一室でも、れっきとした不動産投資です。金融機関の担保評価次第ですが、高評価の新築マンションであれば、物件価格の9割以上の融資付けが可能になるケースもあります。つまり、新築区分マンションならば、自己資金が比較的少なくても、不動産投資を始めやすいケースが多いです。

また20年間以上の長期空室保証を付けられるなど、長期に渡る空室リスクへの対策も講じやすいのが、新築マンションへの投資です。「家賃収入で不動産ローンの返済が可能です」というのは、不動産会社や金融機関の謳い文句ですが、それは空室が出なければの仮定です。区分マンション1室へ投資する場合、借主交替のタイミングで必ず家賃収入が途絶える時期があります。不動産ローン返済には自己資金を充当するか、空室保証でカバーするか、いずれにせよ手を打っておく必要があります。

3-1-1.新築ワンルームマンションは不動産投資向き

現在、わが国の総世帯数の3分の1が単身世帯となり、年々増加傾向にあります。少子高齢化、離婚率の上昇、晩婚化などが原因ですが、総務省など行政サイドも、当面この傾向が続くとみているようです。加えて、ワンルームマンション需要が特に高い東京都では、ワンルームマンション規制が存在しており、新たな建設がし難いのが実態です。この需要と供給のアンバランスを考慮すると、不動産投資の対象としてワンルームマンションは適している、と言えるでしょう。

ワンルームマンションにも新築物件・中古物件があります。新築マンションの方が不動産投資としては初心者にはベターな選択でしょう。中古マンションのメリットは、物件価格が比較的安いことです。利回りは見かけ上は高くなりますので、投資効率に優れた物件である、と錯覚しやすいものです。しかし、実際には突発的な修繕費用が嵩んだり、テナント付けが難しくて空室期間が長期化したりで、実質的な利回りは悪化するケースも少なくありません。

投資用の中古マンションが市場に出る理由を、冷静に想像してみてください。
あなたが不動産オーナーだとして、高利回りな物件をおいそれと手放すでしょうか?手放したくはないはずです。
家賃滞納、空室の長期化、高額のメンテナンスコストなど、手放そうとする具体的な理由は必ず存在します。その上、中古マンションは一部屋ごとに販売会社が異なっており、管理レベルも千差万別ですから、同エリア・同クラスの物件でも借主への訴求力、資産価値には大差が生じます。
オーナーの立場からすると、中古マンションは当たり外れのブレが大きく、投資としてリスクコントロールが難しいのです。

他方、新築マンションの場合、保証やサポートが充実した信頼できる不動産会社とパートナーシップを組めば、家賃の空室保証・滞納保証などの活用や、メンテナンスコストのミニマイズなどで、収益悪化リスクを比較的容易にコントロールすることが可能になります。

3-1-2. 新築ファミリータイプマンションは難しい

2LDK、4LDKなどのファミリータイプマンションは、一般的に不動産投資向きではありません。
ワンルームタイプに比べて取得価格が数倍になることも珍しくありませんが、家賃を同エリアのワンルームマンションの数倍に設定できることは通常あり得ず、自ずと利回りは低くなります。仮に、現時点の見掛け上の収支が良好でも、ファミリータイプは管理費・修繕積立金などのオーナー負担が比較的大きく、かつ経年増額率も高いので、途中から収支が大きく悪化してしまうケースも見られます。

さらに、退去時のクリーニングや、リフォーム工事もワンルームマンションに比べて高コストとなり、作業期間も長期化します。自ずとオーナーの収支を圧迫し、空室期間が長くなる原因となります。加えて、ファミリー層がターゲットなので、ワンルームマンションに比べて通勤・通学・通院・買い物など、契約締結前に多くの条件を借主は検討する必要があります。これも空室期間が長期化しやすい原因です。

「ファミリータイプならば、もし借主さんが見付からなくても、最悪はオーナーさんご家族が住んでしまえば良いのですよ。」不動産会社の営業トークとして時折耳にしますが、これはナンセンスです。投資用物件と、自ら住まう物件とは選択する基準が根本的に異なります。ファミリータイプマンションだとしても、現時点のオーナー家族の生活スタイルにマッチすることは稀です。そもそも空室期間が長期間続く可能性がある時点で、不動産投資の対象としては不適格でしょう。

3-2. 中古区分マンションへの投資

新築マンションへの投資と、中古マンションへの投資とでは内在するリスクが大きく異なります。中古マンションは取得価格が比較的安い物件が多く、内見して実物を確認してから購入できる魅力があります。他方、付帯設備が陳腐化している上、節税効果が期待できないケースなども見られます。以下3つのポイントは、中古マンション購入を検討する際に留意した方が良いでしょう。

3-2-1. 物件自体の履歴・現況に注目する

破産者の競売物件であったり、同一建物内に反社会団体の関係者が出入りする部屋があったりすれば、不動産としての資産価値は毀損されます。また、前オーナーが管理費や修繕積立金を滞納しているケースも珍しくなく、その場合は、新オーナーの負担となることが一般的です。さらにマンション全体の管理状態は、マンション管理組合と管理会社の活動状況次第で、大きく差が出る部分です。全体の管理状態が悪い中古マンションは、資産価値が大きく目減りする上に、借主への訴求力も下がります。

3-2-2. 建てられた年代で建物の品質・保証内容が異なる

耐震基準は1981年に大きく強化されています。これ以降に建設されたマンションを選ぶことが好ましいでしょう。またバブル経済期前後に建設された物件は、建物自体の保証期間が2年のみしかないケースが多く、欠陥物件に当たっても補償を受けられないこともあり得ます。2000年に制定された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が適用されて以降の物件ならば、10年間保証の対象になっていますので、こちらを選ぶべきでしょう。

さらに2001年に制定された「マンション管理の適正化の推進に関する法律」に拠り、分譲段階で適切な修繕計画が必要とされるようになりました。このように見てくれば、物件が建設された年代の確認が極めて重要であると気付きます。

3-2-3. 購入前の余計なコスト負担やローン付けの難しさ

投資目的で中古マンションを購入するためには、多くのチェックポイントがあり、プロの業者でも難易度は高いものです。専門の調査会社に依頼することも可能ですが、相応のコスト負担が必要です。
また、中古マンションは担保評価が低くなるので、不動産ローンを組み難いことも、投資物件としては不利になります。
キャッシュ払いで購入するか、オーナー自らローンを組める金融機関を探すか、いずれにせよ資金繰りの面での制約は付きものです。加えて、減価償却済み物件は帳簿上の経費として算出し辛く、節税効果が期待薄なことも難点です。

3-3. 一戸建て・マンション一棟への投資

ファミリー層向けの一戸建てや、マンション一棟への不動産投資も存在します。ただし、これらは初心者には難易度が高く、元来資産家で自己資金が潤沢であったり、資産価値の高い土地を所有していたりする方のみが対象と考えた方が良いでしょう。

3-3-1. 一戸建てへの投資はハイリスクで収益性が低い

一戸建て住宅は、地方部などへ行けば、比較的低額で投資できる物件も存在します。借主はファミリー層なので、条件次第では長期に渡って入居してくれる可能性はあります。ただし、物件取得価格に比べれば家賃は低めに設定せざるを得ず、クリーニング費用・リフォーム費用・修繕費用などが高額になりがちです。また、ファミリー層向けであるが故に、一度空室になると、すぐに新しい借主が見付からないケースも少なくありません。

3-3-2. マンション一棟への投資は潤沢な資産があることが前提

マンション一棟への投資であれば、部屋数が多いため、空室リスクを分散できます。さらに管理も一括して行えるので、問題のある借主と契約してしまうリスクもミニマイズ可能です。しかし、物件取得費用は高額になり、メンテナンスコストや管理コストなどオーナー負担も嵩みます。既にある程度の資産を築かれている方や、不動産投資に熟達された方でないと、おいそれとは手を出せない投資でしょう。また、物件を転売したい際も高額、かつ運用ノウハウが要るが故に、買い手が見付かり辛い傾向になります。

3-3. アパート一棟への投資

アパート一棟と土地を購入して、家賃収入で不動産ローンを返済しつつ、収益を確保する投資スタイルが主流です。初期投資額は比較的大きくなるので、ある程度の自己資金を準備できる必要があります。以下2つの特徴があります。

3-3-1. 空室リスクを分散しやすく安定経営しやすい

一般的なアパートは1棟当たり4~10部屋はありますので、空室リスクを分散することができ、収支を安定させやすくなります。また不動産を所有していない方がオーナーになる場合、アパート一棟と土地を同時に購入することになるので、建物の減価償却が終わった後でも土地が残る魅力があります。

3-3-2. 不動産会社と管理会社の選定が重要

多くのオーナーが不動産ローンを利用しますが、金額が大きくなるケースが多く、自ずと将来の金利上昇リスクが高くなります。このリスクをカバーする収支計画を立てることが可能な物件を入手する必要があります。また鉄筋コンクリート造のマンション一棟への投資とは異なり、こちらは木造・軽量鉄骨造のアパートが主流となりますので、管理状態が悪いと耐用年数が短くなります。信頼できる不動産会社、管理会社を選定することが大切です。

4. 不動産投資の収益性

不動産投資で成功するためには、安定して利益を確保できる、収益性に優れた物件を入手する必要があります。投資に適切な物件を見極めるためには、利回りの考え方を理解することが必要不可欠で、ここの正しい理解が成功の大きなポイントになります。

4-1. 利回りが投資の収益性を決定する

利回りとは「投資額に対して、一定期間内にどの位の利益を見込むことが可能なのか」を示す一般的な指標です。
「年間利回り(%)=1年間の利益額÷初期投資額×100」というのが基本的な考え方です。
例えば、1000万円の投資額に対して、1年間の利益額が100万円のケースならば、年間利回りは10%ということです。利回りの考え方を理解していれば、収益性に優れた投資先を客観的に選択することが可能です。

4-2. 表面利回りと実質利回り

利回りの基本の考え方を理解したら、不動産投資には表面利回りと、実質利回りとの2つが存在することを意識しましょう。この2つの利回りが表す数字の意味合いの違いを正しく認識することが、不動産投資で成功するための前提となります。

4-2-1. 実質利回り(純利回り、手取り利回り、ネット利回り)

実質利回りは、年間の家賃収入から諸費用(管理委託費、修繕費、固定資産税など)を差し引いた数字を、物件価格に購入時の諸経費(調査費、登録免許税など)を加えた数字で割ったものです。

「年間実質利回り(%)=(1年間の家賃収入額-1年間の必要経費額)÷(購入時物件価格+購入時諸経費)×100」

という計算式で算出されます。

例えば、東京23区内のワンルームマンションで、1年間の家賃収入額が96万円、1年間の必要経費額が26万円、購入時の物件価格が1,300万円、購入時諸経費が100万円であったとします。上の式に当てはめて計算すれば、年間実質利回りは5%です。実質利回りは、ランニングコストも考慮した上で算出するので、経営の実態に近い数字になります。

4-2-2. 表面利回り(グロス利回り)

表面利回りは、年間の家賃収入を購入時の物件価格で単純に割っただけのものであり、ランニングコストは一切考慮されない数字です。

「年間表面利回り(%)=1年間の家賃収入÷購入時物件価格」

で表されます。

上で述べた東京23区のワンルームマンションの例で見れば、年間表面利回りは約7.4%となります。これは実質利回りよりも、5割近く高い数字になっています。不動産経営の実態とは、相当乖離した数字になるケースも多いことに留意しましょう。

4-2-3. 実質利回りも瞬間的な仮定の数字

表面利回りは実用的ではなく、不動産投資をする際は実質利回りのみに注目すれば良いように思えます。しかし、実質利回りも、あくまでもある時点での瞬間的な数字であることに注意する必要があります。
実質利回りの数字は、家賃収入やランニングコストといった変数次第で、いつでも変化する可能性があります。
特に築年数の古い中古物件であれば、突発的な修繕費用が生じたり、長期の空室を避けるために適宜家賃を下げたり、変数部分が読み難くなるものです。

そこで不動産業者が物件広告を打つ際には、表面利回りを用いることが多くなるのです。投資用物件を選ぶに当たっては、表面利回りを先ずチェックして、次に実質利回りを計算してみる手順が一般的です。それでも、表面利回り、実質利回り共に、年間を通して満室経営であることが前提の仮定の数字です。投資用物件を選ぶ際の、最初の段階の目利きツールだと考えておけば良いでしょう。

4-2-4. 利回りの一般的な目安とは

参考までに、東京23区内で流通している投資用マンション(主にワンルームタイプ)の実質利回りは、新築物件で2~4%程度、中古物件ならば4~6%程度とされます。
意外に低いと感じられる方もいらっしゃるかも知れません。実際、地方部へ行けば、もっと高い実質利回りの数字が出てきます。しかし、実質利回りが高ければそれで良い、と言う単純な話ではありません。

年間実質利回りも、1年間に少しでも空室期間が生じれば、その時点で数字は実現しなくなる訳です。つまり、実質利回りが高くても、高めの空室率が想定されるエリアの物件や、築古物件で借主への訴求力が低い物件あれば、不動産投資の初心者が手を出すのは考えものです。逆に、見かけ上の実質利回りが低くても、都心部の新築・築浅ワンルーム・1Kマンションなどのように、常に高い需要が見込める物件であれば、投資用物件として適したものになり得ます。

5. 不動産投資の始め方

一般的には、不動産投資は難易度が高いと思われがちですが、ミドルリスク・ミドルリターンの投資です。初心者でも仕組みを理解して、ポイントを押さえて始めれば、誰でもある程度は成功する可能性が高い投資なのです。

5-1. 初心者でも失敗しない方法を押さえる

不動産投資の初心者は、安定した家賃収入(インカムゲイン)を得ることに集中するのが得策でしょう。現在の経済情勢を鑑みれば、転売利益(キャピタルゲイン)狙いはハイリスクと言えます。そもそも、現物資産である不動産は、築年数を経るに従い市場価値は下落する、と考える方が自然です。転売利益は加味せずに、家賃収入のみでの収支計画を立てるべきでしょう。

設定家賃は時々の経済情勢や、物件状況によっては、多少変更しなければならないこともあり得ます。それでも、株式のように半額になるようなことは、まずあり得ません。家賃は経済情勢よりもエリアの賃貸需要に大きく左右されるものです。都心部にある単身者向け物件など、賃貸需要の多いエリアで、需要の多いタイプの物件を入手することが肝要です。

5-2. 不動産投資を始める目的を明確に

初心者に限って、不動産投資の目的が曖昧なケースが少なくありません。「不動産投資をやっている同僚がいるから。」「大手企業勤務で不動産ローンを組みやすいから。」このような主体性に欠ける副次的理由があるだけで、投資の目的がはっきりしないことが多いです。

まず、家賃収入で叶えたいことは何か、何のための不動産投資なのかを最初に明確にしましょう。ここがクリアでないと、投資する不動産選びの判断軸もブレてしまいます。「何となく始めてみたけれど、結果的に長期に渡り上手くいっています。」というケースは、不動産投資にはありません。

そして、叶えたいことを実現するためには、どの程度の家賃収入があれば良いのか、具体的な数値目標を決めてください。ここから逆算して、どのような不動産を入手すべきか、どのような不動産経営を行うべきか、どのように不動産購入資金を用意すべきかなどが決まってきます。

5-3. 自己資金と融資についての考え方

「自己資金ゼロ(フルローン)で不動産投資が可能です。」と謳う不動産業者もあります。否定はできませんが、不動産投資の初心者にはハイリスクとなります。融資を受けて不動産投資を行う場合、家賃収入を毎月のローンの返済に充当する訳です。従って、空室期間が長引き、想定していた実質利回りが実現できなくなると、赤字経営に転落する可能性があるのです。特に区分マンションへの投資を始めたばかりの初心者は、空室リスクの分散ができませんから、一層そのリスクは高まります。

理想的には、不動産投資の初心者は、購入する物件価格の3割程度は、自己資金(頭金)で賄いたいところです。つまり、不動産ローンで調達する資金は、物件価格の7割程度までにしておくのが無難です。頭金を用意したり、繰上げ返済をしたりすることが可能な資金余力が自らにない場合、不動産投資を始めるタイミングではないのかも知れません。

もちろん初めから全額自己資金で物件購入ができるならば理想的でしょう。現実的には、多くの方が不動産ローンを活用して、不動産投資を実行しています。「史上空前の低金利時代の現在、ローンを最大限活用して不動産投資を行うことは、資金のレバレッジ効果を生み、望ましい投資スタイルである」とする考え方も、不動産投資に熟達した方の間には存在します。

それでも、区分マンションを1室だけ所有するような不動産投資の初心者であれば、金利水準が低い今の内に繰り上げ返済に努め、不動産ローンの早期完済を目指す方が無難です。歴史的に長い眼で俯瞰すれば、現在の金利状態は極めて異常なものです。将来に渡り、今の超低金利が維持される保証はありません。金利負担がジワジワと大きくなれば、想定していた実質利回りは簡単に崩れます。その時、空室を出さずに、家賃をスンナリと値上げできるでしょうか。資金余力の乏しいオーナーは、厳しい経営状態に甘んじることになりかねません。

5-4. 自身のリスク許容度を知っておく

自身のリスク許容度を測る目安として、「ローンの返済負担率」があります。
額面年収(家賃収入含む)に対するローン返済の割合を意味しており、一般の住宅ローンであれば、金融機関は30%以内を安全圏と看做す傾向にあります。投資用物件向けの不動産ローンであれば、40~50%以内を安全圏とする方も多いです。

「年間ローン返済負担率(%)=1年間のローン返済額÷額面年収額(家賃収入含む)×100」

で算出できます。

仮に自己資金ゼロ(フルローン)で物件購入をしていても、返済負担率が安全圏内なのであれば、過剰に恐れる必要はない、という考え方も存在します。金融機関がフルローンで融資してくれるケースでは、担保物件(購入する不動産)の実質利回りが10%を超えていることが多いでしょう。これでローン返済負担率が40%以下、ましてや30%以下であれば、自己資金ゼロ(フルローン)であるからリスキー、とも単純に言い切れないのも確かです。ある程度不動産投資のノウハウを蓄積したオーナーならば、敢えてフルローンで所有不動産を増やす方もいます。

逆に、自己資金(頭金)を物件価格の5割入れていたとしても、返済負担率が60%以上などとなっていれば、リスキーな不動産投資となります。満室経営時の家賃収入に対するローンの返済負担率が低いほど、借入に対するリスクが低い不動産投資が可能になりますから、初心者はこちらを目指す方が無難だと考えられます。

5-5. 不動産投資の基本の流れを押さえる

基本は以下のような流れですので、予め頭に入れておくと良いでしょう。

  • 不動産業者の選定
  • 物件情報収集・情報照会
  • 内見・現地確認
  • 運営計画の立案
  • 収支計画の立案
  • 資金計画の立案
  • ローン審査申込み
  • 買付証明書の提出
  • 売買契約の締結
  • 管理業務委託契約の締結

不動産投資の初心者は、まずは信頼できる不動産業者と出会うことが大切です。
昨今では、インターネットで情報収集するのが一般的になりましたが、不動産業者からの物件紹介もあるでしょう。興味がある物件があれば不動産業者に照会し、内見・現地確認を行います。
ある程度、ターゲットになる投資物件が絞り込めてきたら、運営計画、収支計画、資金計画を立ててゆきます。この段階以降は、信頼できる不動産会社に積極的に関与してもらい、計画作成のアドバイスを受けます。
金融機関に不動産ローンの審査を申込み、パスすれば物件の買付申込みです。その後、売買契約の締結に至れば、物件を管理してもらう業者を選定・業務委託契約の締結へ進みます。

6. 初心者に適した投資物件の選び方

不動産投資の初心者は、信頼できるパートナー選び(不動産会社・管理会社)と、何よりも極力リスクの低い投資物件を購入することが肝要です。以下のポイントに留意して、購入する準備を進めると良いでしょう。

6-1. 信頼できる不動産会社をパートナーにする

不動産投資の初心者が自分の視点からのみで投資物件を探すと、投資対象として不適切な物件や、自分の力量にはアンマッチな物件を選択してしまう可能性があります。

例を挙げれば、マンション管理組合が機能せず修繕積立金の管理も杜撰な物件、ご近所トラブルを起こす近隣住民がいる物件、問題ある入居者が居座る物件など、パッと見では分からないリスクを抱えた物件も少なくないのです。
そのような物件に投資してしまえば、いきなり大きな空室リスクを抱えたり、資産価値の毀損に直面したりする羽目になります。

初心者は良い投資物件を選ぼう、掘り出し物を探そうとするよりも、まずは信頼できる不動産会社と出会うことに注力するのが正解です。
メールや電話で何度か遣り取りをしながら、不動産投資の初心者に対しても、長期的な視点でキチンとアドバイスできる不動産会社を何社か絞り込みます。
加えて、先方のオフィスには積極的に足を運んで、担当者や会社の雰囲気を掴むようにすると効果的です。ポイントは、異動のあり得る担当者にのみ注目せず、組織・会社として初心者にも適切なアドバイスができるか否かに注目することです。
投資用物件オーナー仲間の口コミ情報も軽視できません。これは、後に管理会社を選択する際にも言えることです。

6-2. 賃貸需要の高いエリアにある賃貸需要の高いタイプの物件を選ぶ

初心者は、東京都心部の物件などをターゲットにするのが無難でしょう。不動産投資では、今現在だけでなく、長期的な賃貸需要にも注目する必要があります。わが国では昨今は急激な勢いで少子高齢化・非婚化が進んでおり、地方部にあるファミリー向けタイプの物件のオーナーなどは、経営に苦労することも珍しくありません。
対して、都心部のワンルームや1Kタイプのマンションであれば、将来に渡って安定した需要が見込めるでしょう。

6-3. 高い利回りに注目した物件選びをしない

不動産投資の初心者は、利回りにのみ注目した物件選びはしない方が無難です。利回りの数字が大きければ、投資資金をそれだけ早く回収できる理屈になりますので、初心者ほど利回りに目が行きがちになります。しかし先に述べたように、年間表面利回りであれ、年間実質利回りであれ、あくまでも1年間を通して満室経営(空室期間は皆無)であることが前提になる仮定の数字です。
新築物件でもテナント付けが上手くいかなかったり、中古物件でも空室期間が長引いたりすれば、アッと言う間に仮定の数字は崩れ、資金計画の見直しが必要になります。

初心者であれば、利回りの数字は大きくなくても、賃貸需要の高いエリアにある、賃貸需要が高いタイプの物件に絞って購入するのが堅実です。安定した確実な家賃収入が、不動産経営の基本になるからです。

6-4. 自分が住む目線で投資用物件を選ばない

オーナー自身が住みたい物件の基準と、借主が契約したい物件の基準とは異なります。不動産投資に慣れていないと、オーナー自身が住みたい基準で物件選びをして、失敗するケースが見られます。借主が物件を選ぶ基準は、先ずは家賃、次に立地条件だと覚えましょう。

現在のご時世では、デザイン性の高い建物であることや、間取りや内装がお洒落であることなどは、多くの借主にとって優先順位が下がります。また、オーナーが物件の近所に住んでいることを忌避する借主は一定割合いますので、頭に留めておくと良いでしょう。

まとめ

不動産投資について興味がある方や、これから始めようと考える方にむけて全体感をご紹介しました。
経験値や資金力は人それぞれですし、不動産投資自体の目的もオーナーによって違うものです。自身にマッチした不動産投資のスタイルを見極めることが、成功の一番のコツかも知れません。そのためには、情報収集や勉強の労を厭わない姿勢が不可欠です。
その意味で家賃収入は決して不労所得ではありませんが、魅力的な投資方法のうちの一つです。

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記事更新日:2017年03月27日

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